魔法科高校の優等生 第11話ネタバレ注意!愛梨や深雪の会話にも注目!

この記事では魔法科高校の優等生 第11話「お兄様、ご武運を」のネタバレや感想、見どころについて解説していきます。

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今回の第11話も引き続き九校戦での物語となります。

一年生が参加する新人戦も残りわずかとなり、男子の『モノリス・コード』、女子の『ミラージ・バット』を残すのみとなりました。

第11話「お兄様、ご武運を」は、第10話の終了間際で起こった予期せぬ事故――殺傷能力Aの禁止魔法《破城槌》によるフライング攻撃――で森崎たち第一高校一年生チームが重傷を負ってしまった場面からのつづきとなります。

そしてこの「魔法科高校の優等生」の前半に登場した『少女探偵団』が再復活とばかりに少女たちが達也を守るために奮戦し、更に今まで戦う相手に過ぎなかった第三高校三人美娘たちが力を貸してくれるという熱い展開があります。

そして魔法科シリーズでは数少ないオトナのキレイなお姉さまキャラのひとり藤林響子も登場することから、お姉さまファンの方にも楽しめる物語となっています。

また、もちろんネタバレを含みますので、お読みくださる場合はその点をご注意願います。

魔法科高校の優等生 第11話のあらすじ要約


魔法科高校の優等生 第11話「お兄様、ご武運を」は継続中である九校戦が舞台です。

冒頭のシーンは「第10話 負けたくない」の終わりで登場した『モノリス・コード』新人戦である第一高校と第四高校との試合開始直前の事故が舞台となります。

選手用テント村にある第一高校の天幕の中では大型モニタを前に一年生女子チーム6名がそろって観戦していました。

市街地ステージに立ち並ぶ廃ビルのひとつの最上階から爆煙とコンクリート片が噴火のごとく飛び散ります。

この中には第一高校一年男子チームの森崎駿を含めた3名が選手として位置していました。

「森崎くんっ!!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

和実が叫びます。

「……なに、これ? なにが起きたの……?」

ほのかは理解が追いついていません。あまりにもあり得ない光景に脳が理解を拒絶しているようです。

「破城槌。殺傷能力Aの魔法。しかもフライング」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

雫が冷静に状況を解説します。

このクールさは雫ならではですが、その雫も平静を保てないようで、声に心なしか怒りが滲みます。

《破城槌》とは大きな丸太を繰り返しぶつけることで敵の城門や城壁を破壊する台車に乗った大型兵器です。

丸太の先端に尖った金属が付けられたりと時代や地域によって詳細は異なりますが、大砲が普及する中世の辺りまでは攻城兵器としては最も一般的なものでした。

ですがこの時に第一高校に行使された《破城槌》はもちろん魔法のことで、対象物に事象改変を行い一箇所に過度な圧力をかけて破裂を誘う魔法のようです。

その対象物がコンクリートの分厚い壁の場合、それを一気に崩せる効果が類似していることで《破城槌》と名付けられたと思われます。

そしてこの現代魔法の《破城槌》は雫が指摘したとおり室内で行使された場合は、堅い破片が爆散することから殺傷力Aに指定されています。

そのため九校戦では使用厳禁に指定されているのです。

「完全にルール違反じゃないかっ!!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

いつもクールなスバルでさえ、怒りを抑えきれず拳を握りしめて憤慨します。

「こんなの絶対許せないよぉ!!」

エイミィも相当立腹しているようでスバル同様に拳を握りしめます。

モニタ画面には無残にも崩壊した廃ビルのコンクリ片、曲がった鉄骨が見えます。

「……これは、まさか? ……あ?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪がなにか思い当たるような言葉を発するのですが、そこに達也が現れたことで深雪は達也に向き直りました。

「お兄さま!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪が早口で話しかけました。

場所は変わって第三高校の天幕内。

大型モニタを前に一色愛梨、一七夜栞、四十九院沓子の3人が《破城槌》が行使された試合を観戦していました。

「また一高の選手が事故……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨が疑心を感じたかのような口ぶりでつぶやきます。

「あやつらも災難じゃのう。ウチでお祓いしてやろうか?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

いつもの飄々とした口調で沓子が話します。

それに対して愛梨はなにかを言いたげな表情となりました。

場面は変わって九校戦会場とは離れた大都市にある巨大なホテルと思われる建物。

そこで香港系国際犯罪シンジケート無頭竜《ノー・ヘッド・ドラゴン》の東日本総支部の会合が行われていました。

この”魔法科高校の優等生”では案内がありませんが”本篇アニメ”の方では横浜市内の設定となっています。

「予定通りだ。これで第一高校は『モノリス・コード』を棄権するしかない」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

いかにも悪役めいた男の低い声がそう告げました。

室内は3階まで吹き抜けになっている中華模様で統一された薄暗い部屋です。

その中央に巨大な円卓があり5名のスーツ姿の男性が向かい合って着席しています。

彼らはもちろん無頭竜東日本総支部の幹部たちです。

「だがまだ安心はできん。優勝に最も近いのが第一高校であることに変わりはないからな」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

もうひとりの男が最初の男に意見します。

「九校戦はただの対抗戦ではない。世界中の注目を集める一大イベントだ。それ故に掛け金も青天井で跳ね上がっている」

「本命の第一高校に勝たれたら、我らの負け分は1億ドルを超える」

「そうなったら我々《ノー・ヘッド・ドラゴン》東日本支部もお終いだ。ここにいる全員、楽には死ねんぞ」

「なんとしても第一高校の優勝だけは阻止せねば……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

まさに悪人たちと言える会話です。

このことで九校戦の勝敗が裏社会で巨額の賭け事にされており、優勝の本命である第一高校ばかりが事故に見舞われる原因が判明します。

参考情報としてですが、この《ノー・ヘッド・ドラゴン》東日本総支部のメンバーの名前は代表のダグラス・ウォンと幹部のジェームス・チューの2名だけが”本篇アニメ”では判明しています。

そのためこの5名の中に彼らがいるのは間違いありません。

舞台は変わって選手用テント村にある第一高校の天幕内。

長テーブルの席に着いている達也がPCを操作しています。

おそらく次の試合用に機器の調整をしているものと思われます。

その前に立つほのかとスバル。

ふたりとも上は第一高校指定ジャージを羽織っていますが、下はほのかはフリルがたくさんついたスカート、スバルはスラッとした白い長パンツ姿と一高指定の服ではないことから、中に着ているのはやがて始まる『ミラージ・バット』の衣装のようです。

達也の左のやや後ろには制服姿の深雪がまるで達也の副官のように立っています。

「……あ、あの?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪は気弱そうな表情で達也に小声で話しかけますが、達也にはそれは聞こえませんでした。

「ほのか、里見」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

達也はPCを操作する手を止め、ほのかとスバルに話しかけます。

そしてその声は先ほどの『破城槌』の事件などなかったかのようないつもの声。平常運転の達也でした。

名前を呼ばれたほのかは「ひゃい?」、スバルは「ん?」と応えます。

「決勝だからといって予選と戦い方が変わる訳じゃない。『ミラージ・バット』はとにかく持久力勝負だ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

達也がそこまで言うと、ほのかとスバルは互いに視線を合わせて頷き合います。

「ああ」とスバル、「はい」とほのか。ふたりともなんとなく肩の力がほどよく抜けた感じです。

(……お兄さまは動揺が広がらないよう、あえていつも通りに振る舞っている。私はまだまだですね……)

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪は達也の意図を見抜き己の未熟を自覚したようです。

「お兄さまの言う通りよ。必要なのはあくまで冷静なペース配分。ですよね?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪の言葉の前半はほのかとスバルに、そして最後の部分は達也への確認です。それにしてもやはりこの立ち位置と発言内容は完全に達也の副官です。

「ああ。ふたりとも自分の持ち味を出すことだけを考えていればいい。大丈夫。それでワンツーフィニッシュはいただきだ」

「「はい」」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

達也の言葉に元気よく頷くふたり。

そしてほのかとスバルは極上の笑顔を見せるのでした。

場所は変わって『ミラージ・バット』新人戦決勝となります。

時刻は夜。天蓋のないスタンドには満員の観客が集まりいくつもある照明灯が会場を明るく照らします。

決勝が夜間なのは予選の終了後と言うのもあるのでしょうが、『ミラージ・バット』は明るく光るホログラムを使うことから宵闇の方が映えるのと、そこを飛び交う女子選手たちの妖精のような優雅さや可愛らしさが引き立つのも理由のようです。

「『ミラージ・バット』新人戦決勝、試合開始です!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

男性アナウンサーの興奮気味の声が会場に響きます。

ほのかのコスチュームはピンク色を基調としたドレス姿でスカートは白色、ふわりと広がっているのが特徴です。

一方のスバルは男装の麗人を意識したコスチュームで白いジャケットと白いパンツ姿です。

そして試合が始まりました。

ほのかは”光のエレメンツ”を駆使し開始の合図と同時に跳躍し、誰よりも早くホログラムをステッキで叩き消します。

「さすがはほのか。次は僕が取る!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

こう宣言したスバルもいち早くホログラムにたどり着き他校選手よりも早くホログラムを打ちます。

この『ミラージ・バット』と言う競技ですが、ホログラムの光球がいつも上空に浮かんでいる訳ではありません。

そのため浮かんでいる光球を叩いた選手は跳躍の頂点にいる訳ですので、すぐに落下が始まることから次のホログラム出現まで上空に留まることができません

そのため一度競技場の足場に着地する必要があります。

そのことから作戦として、最初にほのかが跳躍し光球を叩いたのちに着地。

そのほのかの着地に合わせてスバルが跳躍して新たな光球を叩くという作戦を採用しているようです。

これは他校もまず間違いなく同様で、上空にずっと留まれない以上、自校の選手を交互に跳躍させて交互にホログラムを叩くのは定石だと思えます。

観客席には今出場しているほのかとスバルを除いた第一高校一年女子チームの全員がそろっています。

左から滝川和実、北山雫、司波深雪、明智エイミィ、春日菜々美です。

「ほのかもスバルも好調ね」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

安心顔で観戦しているのは深雪です。

「ふたりの調子がいいのはもちろんだけど、司波くんが調整したCADは魔法式の処理が超速くなるからねぇ~」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

自身も達也の恩恵を受けているエイミィは経験者として語ります。

「これならどっちも優勝狙えるよ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

拳を握って力説するのは菜々美です。

「自分の持ち味を出すこと」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

今まで黙っていた雫が誰に言うともなくつぶやきました。

「……え?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

左隣に座っていた深雪が気づき聞き返します。

「達也さんが言ってた。その言葉通り持ち味を出すためのサポートを達也さんはしてくれた。ほのかたちにも私にも」

「うんうん。司波くんがいなかったら私もあそこまで頑張れなかったもん」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

エイミィが雫に同意します。

「みんな、司波くんに感謝してるよね」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

和実も同じ意見です。

「うん」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

雫ももちろん感謝しています。

そのみんなの感謝を聞いた深雪はとても嬉しそうな笑顔になります。

「その言葉、お兄さまに直接伝えて差し上げて。きっと喜ぶわ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ここで終了のブザー音が鳴り響きます。

「試合終了! 優勝は第一高校、光井ほのか選手! 準優勝は同じく第一高校、里見スバル選手です!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

巨大な電光掲示板には、ほのか、スバルの名前が表示されています。

「やったあ~!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

頭上高くそびえる円柱の櫓の上で、ほのかが歓喜の声を上げます。

「おめでとう、ほのか。司波くんの予言通りだな」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

スバルも実に嬉しそうです。

櫓の上でスバルは白衣の男装の麗人姿でほのかはピンクと白のドレス姿なことで、抱擁しあうふたりはまるで美男子、美少女の宝塚歌劇団の舞台を見ているようです。

そのふたりを遠くで達也が見つめています。

そしてその達也に向かってほのかが叫びます。

「達也さ~ん、やりました~っ!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そして、そんなほのかを見て微笑になった達也は手を上げて応えます。

この『ミラージ・バット』の試合は達也が予言したように、ほのかとスバルのワンツーフィニッシュで幕を閉じました。

ほのかが1位、スバルが2位となったのは、やはりほのかの”光のエレメンツ”が大きく作用していたと思えます。

達也がほのかとスバルのCAD調整に差を付けることはまずありませんので、ほのかの能力がスバルを上回ったからと言えます。

観客席では真由美やあずさが笑顔で拍手している様子も見えました。

そしてその真由美ですが、不意に真顔になり左手で耳の通信機を押さえます。

どうやらなにか重要な連絡が入ったようでした。

そしてその後。

選手たちが宿泊しているホテルの一室に深雪を除く第一高校一年女子チームの6名が集まっていました。

「うええっ!? 司波くんが『モノリス・コード』に出るのっ?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

エイミィが驚きの声を上げます。

「森崎たちの事故で『モノリス・コード』は棄権すると思ったんだがな。……どうやら生徒会長は新人戦も優勝を狙いたいらしい」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

真剣な表情でスバルが意見を述べます。

「それで達也さんを『モノリス・コード』の代役に?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ほのかは心配顔で言葉を口にします。

「……う~ん」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

とんでもない展開について行けないのか、6名全員が唸ってしまいます。

そして同時刻のホテル廊下。

そこには達也と美雪だけの姿がありました。

達也は第一高校技術スタッフの作業着のままで、深雪は淡い水色のワンピース姿です。

「確かにお兄さまなら、選手としても存分にご活躍されると思いますが……。何故お兄さまなのでしょうか?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

不安の表情で深雪は尋ねます。

納得できる理由が思い当たらないからだと思えます。

「俺もその点は主張した。選手は他にもいるのに、なぜエンジニアの俺を選ぶのか、後々しこりを残すのではないか、とな。だが……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

「甘えるな! 司波!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

舞台は達也の回想シーンとなります。

場所はホテル内の第一高校用大会議室。

そこには生徒会長の七草真由美はもちろん、十文字克人、渡辺摩利、市原鈴音、服部刑部、中条あずさ、五十里啓、桐原武明と言ったそうそうたるメンバーがそろっています。

これはそんな中で克人が達也に浴びせた有名なセリフです。

これは”本篇アニメ”である「魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》」でも登場したまったく同じ言葉でした。

この場面、達也は別に甘えで代役を辞退した訳ではありません。

ですが克人のこの言葉は強烈に達也に届きました。

もしかしたら克人も達也が甘えてなどいないことがわかった上で、敢えて心に届くこの言葉を選んだのかも知れません。

克人は強い言葉を強烈にたたみかけます。

「――お前はすでに代表チームの一員だ。そしてリーダーの七草がお前を選んだ。メンバーである以上、リーダーの決定に従うのは当然。逃げるな、司波。例え補欠であろうとも選ばれた以上はその務めを果たせ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

場面はホテル廊下に戻ります。

「――あそこまで言われたら、さすがに断り切れなかった。……不安か?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

視線を落とし黙って聞いていた深雪が顔を上げて答えます。

「『モノリス・コード』に出場するだけなら心配などいたしません。……問題は」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ここまで言いかけた深雪は言いよどみます。

次に述べる言葉にためらいがあるようです。

「……一高に対する妨害の件だな?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪は頷きました。

「あれはいったい何者の仕業なのですか? お兄さまはなにかご存じのはずです」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

悲痛な表情で深雪は訴えます。

もちろん達也がこのことを知らないとは思っていません。

「香港系の犯罪シンジケート《ノー・ヘッド・ドラゴン》。これまでの妨害工作はすべて奴らの仕業だ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

「はっ……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪は息を飲みました。

まさか自分たちが悪の組織に狙われていたなんて思ってもみなかったのではないかと思われます。

場面はホテル内の一室に戻ります。ほのか、雫たち6名がいる部屋です。

この部屋の中も深雪同様に重苦しい雰囲気に包まれていました。

「……森崎くんの怪我。あれってただの事故なのかな?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

視線を落としたまま和実が問います。

「どういうこと?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

横に座る菜々美が和実に問い返します。

「事故ではなく悪意を持った妨害とでも言いたいのか?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

立ったままでいるスバルが和実に問います。

「そ、そこまでは……。でも偶然にしては色々おかしい」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

和実の中ではもう払拭できない疑念があるようです。

「フライングに加えて、屋内だと殺傷性ランクAの《破城槌》の使用。あれは事故じゃない。間違いなく故意だよ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

雫の確信を込めたするどい声が響きます。

部屋の空気は一層重苦しくなります。

「……でも反則した四校は失格になっちゃったし。あれじゃなにもメリットがないよね?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ベッドに座るほのかがスバルを見上げて問いました。

「確かにそうだな」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ほのかの意見にスバルは同意します。

「もしかしたら四校は利用されただけで――」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

雫が仮説を立てます。

「――真犯人は別にいる? 一高に対して悪意を持って妨害する誰かが?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

エイミィは雫の真意に気づいたようで、まくしたてます。

「うん」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

雫はエイミィに頷いて肯定します。

「司波くん、明日『モノリス・コード』に出るんだよね?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

つぶやくように菜々美が言います。

「もし今日みたいなことがあったら――」

「――やめてっ!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

和実の心配をほのかが首を大きく振り拒絶します。

達也のこととなると人一倍心配になるほのからしいです。

「こうなったらっ!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

強い決意を感じる声でエイミィが立ち上がりました。

場所はホテルの廊下に戻ります。

そこには先ほどのように達也と美雪が向かい合って立っています。

「《ノー・ヘッド・ドラゴン》は、なぜ一高だけを狙うのでしょう? 目的はなんなのですか?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

視線を床に落としたまま深雪が尋ねます。

「まだわからない。だがひとつはっきりしているのは一高を勝たせたくないと言うことだ」

「では、お兄さまが出場されることになった『モノリス・コード』も、また狙われる可能性があるのではないですか?」

「だろうな。だからここで棄権したら奴らの思う壺だ。標的が俺になるなら俺自身が阻止すればいい」

「……ですが」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪はもちろん達也が無敵なのを知っています。

ですがそれでも不安を浮かべずにはいられないのです。

そしてそれから深雪はひとりで廊下を歩いています。

(――お兄さまなら大丈夫。そう信じていても、やっぱり深雪は心配です。なにかお力になれるといいのだけど……)

「深雪っ!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

すると前方から、ほのかの声が聞こえてきました。

見るとほのか、雫、エイミィ、スバル、和実、菜々美の6名が立っていました。

みんななにかに決意した緊張感ある表情です。

「……あ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪は惚けたように口を開けて立ち止まってしまいました。

「――と言う訳で、みんなで司波くんを守りましょう~!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

場所はホテル内の第一高校会議室で、高々と宣言したエイミィに一同は賛同の声を上げます。

「お~っ!!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

賛同したのは、ほのか、雫、スバル、和実、菜々美の5名。

どうやらこの部屋を借りたようです。

「……なあに、これ?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪は訳がわからずポカンとした様子です。

「深雪。私たちは今日の『モノリス・コード』の事故は、一高を狙った誰かの意図的な妨害じゃないかと睨んでる」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

エイミィの説明に驚愕の表情のまま物言えぬ深雪。

「と言うことは、明日の試合に出場する達也さんたちも狙われるんじゃないかと思って」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

雫がエイミィの言葉を補足します。

「私たち、みんな新人戦では達也さんにすっごくお世話になったから、お礼に達也さんのためになにかできないかって考えてね」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ほのかが真正面に座る深雪に伝えます。

「そこで決まったのが、この作戦っ!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

エイミィが言葉を締めます。

すると会議用大型壁面ボードに表示された第一高校のエンブレムから画面は変化して《司波君に恩返し大作戦》になりました。

まったく用意がいいのですが、この文言のセンスからしてエイミィの作かと思われます。

「ずっと裏方で支えてくれた司波くんが表舞台で戦うんだもん。今度は私たちが支えないと。で、考えられる妨害工作としてはこの3つ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

エイミィの操作で画面がまた次のように変わります。

――想定される妨害工作――
☆試合中の外部からの直接攻撃
☆会場のステージに罠
☆CADへの細工

「CADは運営委員会が厳重にチェックするし、私たちじゃどうにもできないから他の2つについて対策を考えたの」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

雫が深雪に伝えます。

「試合中の警備は万全なはずだけど、それでも今日はあんなことがあった訳だしね」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ほのかが説明をします。

「5つあるステージを事前にチェックしているが妨害が目的なら当然バレないように工作するはずだ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

スバルも補足します。

「だからまず試合が始まる前に私たちがステージの安全確認」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

和実も補足です。

「そして試合中は会場周辺の警戒」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

菜々美が締めました。

「これが今回の私たちのミッションだよぉ。どう? 深雪?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

笑顔のエイミィ。

どうやら今回のこれは《少女探偵団》の拡張版のようです。

「ありがとう、みんな。お兄さまのために。私も喜んで参加させてもらうわ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪は友人たちの好意にとても感謝しています。

その反応に全員も嬉しそうです。

「……でも、お願いがふたつあるの」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

急に場に水を差すように深雪が発言します。

「え?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そのことから全員が深雪に注目します。

「ひとつは、このことはお兄さまには内緒にしておきたいの。私たちが影でなにかをしていると知ったら気を遣われるでしょうから。もうひとつ、危険なことだけはしないで。もしみんなが怪我でもしたら、お兄さまは悲しむわ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

「うん」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

全員一致で納得の可決でした。

場所は替わって都会の大型ホテル。

《ノー・ヘッド・ドラゴン》の会議室となります。

「代役だと! どうする? さすがに第一高校だけが二度も事故と言うのは怪しまれるぞ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

幹部のひとりがそう叫びます。

「案ずるな。要は第一高校を勝たせなければいいのだ。方法は他にもある」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

夜。街灯もなにもない真っ暗闇のこの場所は、九校戦会場である広大な富士演習場の中にある草むらです。

そこで頭から目出し帽を被った工作員7名が指揮官の合図で各地へと散る姿が見られます。

この連中、《ノー・ヘッド・ドラゴン》の武装工作員に違いありません。

動きや装備品を見るに、軍の特殊部隊にも思えます。危機の到来です。

翌日。2095年8月10日『モノリス・コード』新人戦最終日です。

テント村に幕営されている第一高校の天幕内で、エイミィが大あくびをしています。

ここには深雪、エイミィたち一年女子チーム7名全員と『モノリス・コード』新人戦に出場する司波達也、西城レオンハルト、吉田幹比古の3名がいます。

「どうしたエイミィ、寝不足か?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

達也がエイミィに尋ねます。

「ああ、うぅん。早起きしてステージをチェックに……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

余計なことを口走りそうになるエイミィに、ほのかと和実が咄嗟に手でエイミィの口を押さえます。

両側からの平手クロス状態でエイミィは発言を止められました。

「――ななな、な、なんでもないんですぅ!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

大慌てのほのかがごまかしました。

どうやらなんとか気づかれなかったようです。

「お兄さま、ご武運を」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪が微笑をたたえて達也に告げます。

この言葉は今回の「第11話」のダブタイトル「お兄様、ご武運を」にもなっている象徴的な言葉です。

深雪は達也が競技などで誰かに負けるとはまったく思っていません。

ですが『モノリス・コード』が団体戦なこと、そして今回は《ノー・ヘッド・ドラゴン》が妨害工作を行う可能性が高いことから万が一の可能性もあります。

そのこともあり戦いに向かうに相応しい言葉として

「お兄様、ご武運を」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

となったのだと思えます。

「ああ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

達也は短い言葉で応えました。

数多くの言葉で語らなくても伝わるからです。

「ま、代役とは言え、選ばれた以上はがんばらないとな。行こうぜ幹比古」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

と、レオが幹比古に声をかけます。

「やれるだけやってみるよ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

幹比古もそう告げてレオ、幹比古、達也は天幕から去って行きました。

「それじゃみんな計画通りに」

「うん」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ほのかの号令に深雪たち6名の一年女子チーム全員が頷くのでした。

そして舞台は九校戦会場へと移ります。

場所はホテル1階の廊下、もしくは競技場外壁付近と思われるコンクリートの高い壁の通りです。

「あら、深雪さん」

「藤林さん、来ていらしたのですね」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪が国防陸軍独立魔装大隊の藤林響子少尉と出会います。

このふたりは達也を通じて面識があります。

「ええ、お仕事で。でもお陰で達也くんとクリムゾン・プリンスの勝負が見られそうね」

「……クリムゾン・プリンス? 一条家の時期当主ですね?」

「彼の使う《爆裂》は強力な魔法よ。うふ、達也くんなら問題ないと思うけど」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そう言って微笑する響子です。

(どんな相手だろうとお兄さまが負けるはずがありません。どうかご無事で)

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪は心の声で達也を応援します。

そして場面は変わり、深雪がいる場所は『モノリス・コード』の森林ステージで、樹木の影から監視をしています。

ここはほのかたちと決めた深雪の分担場所だと思えます。

そしてカップルたちばかりが目立つ自然公園のような場所はエイミィと和実の分担で、ふたりは樹木の身を隠して辺りを窺っています。

いか焼きや金魚すくいなどの露店が並ぶ通りでは、辺りを窺うほのかと雫の姿があります。

そして富士の樹海を見下ろす高台では双眼鏡を手にしたスバルと菜々美の姿がありました。

次に登場するのはホテル施設の屋上です。

そこに深雪の姿があります。

どうやら森林ステージから移動して来たようです。

そしてそのときでした。

大きなサイレンの音が響き、続いて男性司会者の大きな声が聞こえてきました。

「試合終了。勝者、第一高校」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

達也たちの勝利を告げるそのアナウンスに深雪は笑顔を見せます。

(おめでとうございます。お兄さま)

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そして場面はまた変わり、今度は露店街にいるほのかと雫となります。

「うわあ、どれもおいしそう」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

笑顔でそう口にするのはほのかです。

「ナインティーワンアイスには、この会場限定にフレーバーがあるからオススメ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

珍しい笑顔を見せる雫。

「さすが毎年来ているだけのことはあるね」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そう感想を言うほのかだったのですが……。

いきなりお尻をなでられました。

「ふええええええぇぇぇぇぇっ!!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

悲鳴を上げるほのかが振り返るとそこには第三高校の四十九院沓子がいました。

その背後にはもちろん一色愛梨と一七夜栞の姿があります。

「うむ、やはりお主であったか」

「もうぅぅ! いきなり触らないでください」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

猛烈抗議をするほのか。

「すまんのう。次からは一声掛けてから触ることにする」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ですが沓子にはどこ吹く風。

まったく効き目がありません。

「それもダメですぅ!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

更にダメ出しするほのかなのですが、こういう反応をするからイジられるのだと思いますが……。

「先ほど、司波達也さんの試合を見させていただいたわ。まさか《グラム・デモリッション》を使えるとはね」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨がクールな表情のままですが、賛辞に該当する言葉を言います。

素直でない愛梨なので、これは純粋に褒め言葉です。

「チームメイトの戦いも見事だった。あれだけの実力があって、なぜ補欠だったのかが最大の謎ね」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

栞もいつもの冷静な無表情で淡々と最大の評価をしました。

恐らく第一高校は代理が出場と聞いていたので、実力は数段下と思っていたのだと考えられます。

そのときでした。

いつものようにおとなしく無言だった雫が愛梨が肩から提げている黒くて細長い袋に気づきます。

「……それは《リーブル・エペー》の?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

形状から思いついたのか雫がそう尋ねます。

その袋にはおそらく《リーブル・エペー》の剣が入っていると思われます。

「ええ。明日の《ミラージ・バット》の練習で」

「愛梨!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨があっさりバラしたことから栞が咎めます。

「構わないわ。作戦を知られたところで私のスピードは超えられない。明日の試合、勝つのは私よ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨は自信満々に返答します。

そのときほのかが妙な反応をします。

この場にいるのに心ここにあらずと言った感じでぽかんと口を開けて目もまん丸に見開かれています。

「……しかし、なんなのじゃここは? 不快な場所じゃのう」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

「え?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

沓子の発言にほのかが問います。

「お主も感じないか? 精霊たちが妙にざわついておる」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

沓子の返答に雫、愛梨、栞が辺りを見回します。

「下の方じゃな」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

沓子にそう言われたほのかは地面を凝視します。

「”光のエレメンツ”のお主なら見えるはずじゃ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そして目をこらすと瞳が緑色に変色し光の粒々が躍動をし始めます。”光のエレメンツ”発動です。

するとほのかには目には見えないはずの地下水脈が見えてきました。

そこには光る揺らめきが多数あります。

「これが……精霊……?」

「本来の精霊たちの動きではないな。この気配は大陸系の古式魔法の類いじゃ」

「大陸系の古式魔法?」

「おそらく何者かが精霊を操るために仕組んだものじゃな」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

沓子はそう推測しました。

そして、その言葉に反応したのがほのかと雫です。

「もしかして、……妨害工作!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ほのかが思い当たったことを発言します。

「妨害工作?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨が怪訝な声になります。

「どういうことじゃ?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

沓子が厳しい顔を見せました。

そして場面は変わります。

競技場外周をひとりでパトロールしている深雪がいます。

「精霊を使って地下水脈を?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪は携帯端末を使ってほのかの話を聞いています。

「うん。目的がなにかわからないけど」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

場面は戻ります。

ほのか、雫と愛梨、栞、沓子がいる露店街です。

ほのかは携帯端末を沓子に向けています。そこへ沓子が話しかけます。

「精霊たちの力は微弱なもので水脈を操ると言っても、せいぜい地上へ染み出す程度じゃな」

「ぬかるんだり霧が出たぐらいじゃ大した妨害にはならない」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

雫が現状考えられる妨害の結果を述べます。

「わざわざ大陸系の古式魔法を使ってまですること?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

栞も腑に落ちない点をあげます。

「水……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨は”水”が引っかかるようで、そうつぶやきます。

そして通話向こうの深雪。

「試合会場に”水”を……? ”水”……。はっ!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

なにかに気がついた深雪は驚愕の表情となります。

「まさか……!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨も驚きのあまり目を見開きます。

「……爆裂?!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪が叫びます。

「一条家の魔法《爆裂》は液体を気化させて爆散する術式。会場に染み出した地下水は彼にとってすべて火薬のようなものに」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨が答えに行き着きました。

「……ああ。じゃあ、この古式魔法は三高が有利になるための?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ほのかが険しい表情になります。

また、ほのかの隣に立つ雫の表情も厳しくなっています。

「儂らではない。儂らはこんな卑怯な真似はせんっ!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

甚だ心外であるとばかりに沓子が腕組みしながら反論します。

ほのかたちも、そして当然、沓子たちもこの妨害工作を行っているのが《ノー・ヘッド・ドラゴン》だとは知りません。

なので状況的にほのかたちに疑われていると沓子は早とちりしたのだと思えます。

「うん。わかってます」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ほのかが強く頷きます。

「敵の狙いは一高を勝たせないこと。そのために三高を勝たせようとしている」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

雫が的確かつ短い言葉で状況を伝えました。

「……敵?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨はそうつぶやくと栞と顔を見合わせました。

場面は変わって《モノリス・コード》新人戦試合ステージ。

第三高校の一条将輝は地面に染み出た水たまりを利用して拳銃型CADでつぎつぎ《爆裂》を発動させています。

発動される度に地面には爆発と大きな爆煙が連続で上がります。

それは自走砲の榴弾の着弾を思わせることから相当に威力があるのがわかります。

「……あぁ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

大画面モニタで試合観戦している深雪はその爆発を見て極度の不安を感じるのでした。

そして対戦相手の選手たちも、その爆発の威力におののいています。

「……これが、一条家の……爆裂」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そして将輝は《爆裂》の威力に満足げな表情を浮かべます。

「どうやら運命の女神は俺を勝たせたいらしい」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

もちろんこの”運命の女神”とは地面の水たまりのことです。

将輝はこの”水たまり”が仕組まれて染み出てきたことなどまったく知りませんので、素直に天佑と思っているのも仕方ありません。

そしてモニタの試合を見ていた深雪は携帯端末を使い急いで通話します。

「ほのか、急いでこっちに来て。三高と当たる前にステージへの工作をなんとかしないと」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

「わかった!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そしてそのほのかなのですが、携帯端末は先ほど使ったスピーカー通話に切り替えたままなので、その声は雫だけでなく、その場に居合わせている愛梨、栞、沓子にも伝わるのでした。

そしてほのかは深雪の元へと走り出しました。

「知らなかったわ。あなたたちがそんなことに巻き込まれていたなんて」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨の発言です。

「一高がらみの事故が多すぎる気はしてたけど……。まさか妨害とは」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

栞は不思議に思っていたことの原因がわかり納得したようです。

「もしやバスの事故や《バトル・ボード》の事故も?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

沓子はこの場に残っている雫に問います。

「最初はそこまでは考えてなかったけど、おそらくは……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

雫がそう答えると沓子は憤慨します。

「なんと卑劣な!」

「九校戦は同世代の魔法師たちが全力でぶつかり合う真剣勝負の場。それを妨害するなんて!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨も激しい憤りを見せます。

《リーブル・エペー》をこよなく愛する愛梨なので騎士道精神に反するような卑怯な行為を人一倍許せないのです。

そして場面は廃ビル街でビルに囲まれた広場のような空間になります。

ここには深雪とほのかの姿があります。

「ほのか、あなたの目で見た情報を私に教えて」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

「うん」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪の依頼にほのかは頷きます。

そしてほのかは”光のエレメンツ”の目を使いコンクリ地面の一箇所の地下に水脈を見つけます。

「そこ!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ほのかが指し示した箇所に深雪が魔法を行使します。

(地下水脈の動きを止める!)

引用:魔法科高校の優等生 第11話「お兄様、ご武運を」

《ニブルヘイム》と思われる魔法が発動し水脈が沈黙します。

これでこの水脈は古式魔法に呼応しません。

「次行こう。ステージは残り4つ。急がないと」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

「ええ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ほのかの呼びかけに応じて深雪は返事をします。

そのときでした。

上から飛び降りて来た目出し帽を被った黒ずくめの男たち6名(画面外におそらくもう1人います)が深雪とほのかを包囲したのです。

「何者です?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪が誰何すると眼前の男は腰から拳銃を抜き出しました。

この男たちは侵入してきた《ノー・ヘッド・ドラゴン》の武装工作員に間違いありません。

そしてひとりの工作員が深雪に銃口を向けた瞬間でした。

なにかの打撃を受けたその工作員が身体も拳銃も宙に突き飛ばされ悲鳴を上げました。

その攻撃は愛梨でした。

エクレール《稲妻》の異名を持つ愛梨が得意の超高速移動系魔法を使いながら《リーブル・エペー》の剣で男を攻撃し、男も拳銃も宙高く弾き飛ばしました。

このフェンシングの剣《エペ》に似たこの剣ではそこまで飛ばせるとは思えないので刺突の他に相手に移動系魔法も使っていると思えます。

そして超高速移動系魔法で超加速してきて到着した愛梨は急激な制動をかけて急停止します。

停止の際には足元に魔法陣が広がり、その上で勢いを止めた反動で翻るスカートと地にグリップさせて体制を整える両足の動きがとてもカッコイイです。

そして愛梨が抜き身の剣を持ったまま深雪たちに告げます。

「ここは私に任せて草原ステージに向かいなさい!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨がそう告げたとき、栞と沓子、そして雫も到着しました。

「森林ステージと渓谷ステージは処理済みだよ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

雫の報告です。

「儂の精霊魔法でな」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

得意気に言うのは沓子です。

まさかの一高と三高の共闘です。

「……どうして三高のあなたたちが?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪の疑問は当然です。

「この九校戦、すべては私たち選手同士が試合の中で正々堂々決着をつけるべきものよ。そうじゃなくて?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨が深雪に九校戦の意義そのものを問います。

すると深雪は微笑を見せます。

「一色さん。ありがとう」

「お礼ならすべて終わった後で聞くわ。早く行きなさい」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨は深雪をせかします。

「わかりました」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そして深雪とほのか、そして雫の3人は足早に去って行くのでした。

残ったのは愛梨と栞と沓子の三高美娘3人です。

そして愛梨が超高速移動系魔法を駆使し工作員たちのすべての拳銃を弾き飛ばします。

そして画面には見えないのですが、栞と沓子もなんらかの魔法を行使していると思われます。

「ここは私たち魔法科高校の生徒だけの戦いの場。あなたたちに参加の資格はないわ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨は啖呵を切るのでした。

そして場面は『モノリス・コード』で使用する草原ステージとなります。

ここには深雪とほのかのふたりがいるのが見えます。

”光のエレメンツ”を使ったほのかの指示で深雪が水脈を凍らせました。

「やったね深雪」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

「ええ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ふたりは笑顔になりました。

これで香港系国際犯罪シンジケート無頭竜《ノー・ヘッド・ドラゴン》の東日本総支部が企んだ妨害工作は無事に防ぐことができました。

場面変わって森の中。

そこには愛梨によって無力化された7名の工作員たちが後ろ手で膝立ちの姿勢にさせられていました。

「この連中どうするの? 何者なのか吐かせてみる?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨がそう尋ねます。

尋ね先は深雪です。

そしてここには愛梨、深雪以外に栞、沓子、ほのか雫の姿があります。

「おそらく何も言わないでしょうね。ふつうの拷問程度では……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪がそう言い放ち魔法起動を始めます。

まず間違いなく《ニブルヘイム》です。

そのときでした。

「そういうことなら、私に任せてもらえるかしら?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そう言いながら森の中から登場したのは藤林響子です。

響子は国防陸軍独立魔装大隊の士官で軍人ではあるのですが、能力的に戦闘には不向きです。

しかし諜報に長けていることから、この経緯すべてをすでに熟知していると思われます。

それにこの場面では工作員はすべて捕獲してある状態なので戦闘が生じる機会はないでしょうし、すぐ近くに柳連などの仲間が潜んでいるはずなので逃亡を許すこともありません。

「藤林さん」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

「お知り合い?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪がそう答えると愛梨が尋ねます。

「え、ええ……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

ここで深雪が国防陸軍士官と懇意にしていることが明らかになると、達也と国防陸軍の接点が判明してしまうかもしれません。

そのことから深雪の返答はどうしても歯切れの悪いものになってしまいます。

「こういう汚いお仕事は大人に任せて早く戻りなさい。達也くんの試合始まっちゃうわよ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そう言って響子は全員を見回す仕草をします。

「う~む。いったい何者なのじゃ?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

沓子がそう言うのですが、響子に対しての警戒心はまったくありませんでした。

正体は不明だが、深雪と知り合いなので、ま、いいか、と言うノリでこの場は収まりました。

場面は変わって『モノリス・コード』新人戦決勝の試合です。

第一高校の司波達也、西城レオンハルト、吉田幹比古の3人がこの試合のフィールドである草原ステージにいます。

「なあ、やっぱおかしくねえか? この格好……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

レオが苦々しそうに言います。

「エリカは絶対大笑いしているよ~」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

するとすぐさま幹比古も応えます。

その話し方も困り口調です。

「だよなあ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

これはせっかくの達也が用意したものです。

なのでレオは諦めたようです。

レオと幹比古が身につけているのは黒色の長いマントです。

どこの魔王ですか! と突っ込みたくなる格好なので確かにエリカには爆笑されます。

これは達也が用意した第三高校の吉祥寺真紅郎対策で使用するためのものです。

真紅郎が得意とする『不可視の弾丸《インビジブル・ブリット》』は攻撃対象が目視できないと使えません。

そのことからこの弱点を利用して、いざというときに身を隠すために使用するマントでした。

そして仲間2人のことなど我関せずの達也はしゃがみこみ、手のひらで地面を確かめます。

すると草は乾いていて水が染み出ていないことに気づきました。

「どうした達也?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

レオが不思議そうに尋ねます。

「この試合、どうやら負けられないらしい」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

達也はこう返答します。

ここでレオや幹比古の表情は登場しませんが、おそらくポカンとしていたと思われます。

それと言うのもレオと幹比古は、《ノー・ヘッド・ドラゴン》が第一高校を勝たせないためにあれこれ妨害工作を行っていたことを知らないからです。

そして達也は地面がすっかり乾燥していることで《ノー・ヘッド・ドラゴン》工作員たちが水脈を操作して地面に水を染み出させて一条将輝の《爆裂》の威力増大させていた工作が、何者かに止められたのを理解したのです。

そして達也のことですので、また『少女探偵団+α』がそのために活躍してくれていたことは、とっくに知っていたことを暗示する場面でもあります。

だからこそ『負けられないらしい』と口にしたのだと思われます。

「『モノリス・コード』新人戦決勝! 第一高校対第三高校の試合は間もなく開始です!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

場面は変わって『モノリス・コード』観客席。男性アナウンサーの声が高らか告げます。

ここには深雪や雫たち一年女子チームが観戦のために着席しています。

また場面が変わります。

今度は《ノー・ヘッド・ドラゴン》の幹部たちが集まる一室です。

「第一高校の総合優勝はもはや確定的だ。こうなったら手段を選んでいる場合ではない」

「明日の《ミラージ・バット》では、一高選手に途中棄権してもらう。強制的にな!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

物騒な会話をしている幹部たちの頭上の壁のモニタには、第一高校から出場する三年生の小早川景子と深雪の顔写真が映りました。

そして舞台は再び九校戦《モノリス・コード》に戻ります。

ここの場面はダイジェスト版として静止画となり、各シーンが次々と画面に現れます。

そんな中、深雪と愛梨の言葉のやりとりが流れます。

「さっき言ったでしょう? 私たちは敵同士。お礼なら後でって」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨がきつい口調で言います。

「ええ、ですかれこれは礼ではありません。私からの宣戦布告です。明日の《ミラージ・バット》、正々堂々全力で戦い、あなたに勝ちます」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪はこう返答します。

「楽しみにしてるわ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そして場面は《モノリス・コード》の草原ステージになります。

ここで動画に戻り、司波達也と一条将輝の最後の戦いの場面となりました。

将輝の規則違反の魔法で重傷を負い倒された達也が、《再成》を使って蘇生し将輝の耳もとで指を鳴らし、その音を増幅させたことで、将輝は鼓膜と三半規管にダメージを負い倒された場面です。

この場面はもちろん”本篇アニメ”である「魔法科高校の劣等生 第16話《九校戦編Ⅸ》」に詳しい内容で収録されています。

そして第一高校が優勝となりました。

”本篇アニメ”では両チームの中でレオ以外すべての選手が戦闘不能となったことで第一高校が優勝しています。

この”優等生”では割愛されていますが、同じ結果だと思われます。

試合終了となり会場一帯にサイレンが鳴り響きます。

そんな中、上空を飛ぶ大会運営委員会の飛行船のモニタには口を押さえ涙をこぼす深雪が大写しになりました。

最高に絵になる美少女として撮られたようですが、周囲からは感嘆の声があがりました。

そしてその後、第一高校の観客席からは達也、レオ、幹比古の優勝チームを称える拍手が鳴り響くのでした。

魔法科高校の優等生 第11話の見どころ


●全員が全員で、満面の笑み。

九校戦《モノリス・コード》新人戦の最中、第一高校の森崎たちは第四高校との試合直前に規定違反の《破城槌》の奇襲を受け重傷を負ってしまいます。

実はこれは四校が行った行為ではなく香港系国際犯罪シンジケート《ノー・ヘッド・ドラゴン》が九校戦の勝敗を賭けにした賭博行為のための工作で、第一高校を勝たせないために行われた犯罪でした。

ですがもちろん第一高校の選手たちはそのことを一切知りません。

また一高だけに不運が起きたと不安がる空気が蔓延しているときでした。

次に行われる《ミラージ・バット》新人戦で出場するのは光井ほのかと里見スバルです。

そのふたりの担当エンジニアである司波達也はふたりを前にして試合のアドバイスをするのですが、司波深雪いわく

(……お兄さまは動揺が広がらないよう、あえていつも通りに振る舞っている)

引用:魔法科高校の優等生 第11話

と、述べています。

そして事実その通り、《破城槌》による事故で不安が蔓延するのを避けるために、まるで何事もなかったかのような、いつもの淡々とした口調で話し始めるのでした。

「ふたりとも自分の持ち味を出すことだけを考えていればいい。大丈夫。それでワンツーフィニッシュはいただきだ」

「「はい」」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そしてここです。

ほのかとスバルは達也の言葉に元気よく頷くのですが、そのときの笑顔がふだんでは見られない笑顔でふたりの目尻が下がりたれ目になるくらいのニッコリ笑顔となるのです。

また注目点は他にもあって、そのときほのかとスバルの後ろの画面奥には雫と和実、菜々美がいるのですが、この3人も初めて見せる満面の笑みを浮かべています。

全員が事故に対する不安を抱えたままの中、達也の言葉ですべての不安を拭えはしないかもしれないが、怯えることなくいつも通りにすればいいと言う指標を得たことで、安心からでたニッコリ笑顔だと思えます。

●35秒が気になります。

第一高校への妨害工作。

《モノリス・コード》新人戦で森崎たち一年男子チームを襲った規定違反の魔法《破城槌》による事故や、三年の渡辺摩利が出場した《バトル・ボード》の事故などがすべて仕組まれた妨害工作ではないかと判断した第一高校一年女子チームは秘密裏に《モノリス・コード》に代役として出場している達也を守るために行動を起こします。

その途中で第三高校の愛梨、栞、沓子と出会い、沓子が”水のエレメンツ”の能力で地下の水脈が乱れていることを告げます。

そしてこれは大陸系の古式魔法によるものと断定できたことで、地下水脈を利用した妨害工作が行われていることを知るのでした。

つまり達也を襲う手段は地下水脈の活性化だと判明したのです。

そこで”光のエレメンツ”で水脈の乱れを感知できるほのかと、その水脈を凍らせることで古式魔法による活性化を抑えるのが可能な深雪が対処に当たるのでした。

そして《モノリス・コード》の『市街地ステージ』の廃ビル街で、ほのかと深雪が水脈不活性化処理を行っているときでした。

《ノー・ヘッド・ドラゴン》が放った工作員7名が突如現れて拳銃でふたりに襲いかかろうとしたのです。

そこへ突然現れた愛梨が《リーブル・エペー》の剣で工作員を拳銃ごと弾き飛ばし、残りも次々となぎ倒しこの場を制圧するのでした。

このバトルシーンの演出に関して気になったことがあります。

愛梨が合計7名の工作員たちをひとりで無力化すること自体は問題はないと思います。

愛梨は《リーブル・エペー》の達人で、エクレール《稲妻》の異名を持つ超高速移動系魔法の使い手なので拳銃弾に当たることなく全員を倒すのは可能です。

と、言うよりも超高速移動魔法を使用中の愛梨に弾を当てるのは、まぐれ以外無理です。

ですから愛梨の勝利にはまったく問題はありません。

ですが愛梨がこの場面に登場し、

「ここは私に任せて草原ステージに向かいなさい!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

から

「お礼ならすべて終わった後で聞くわ。早く行きなさい」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

までの約35秒間。

工作員たちが銃撃もせず飛びかかりもせずに、ただ棒立ちしているのが不自然です。

これが深雪や愛梨たちからなんらかの情報を引き出す必要があるのであれば、目の前の少女たちの会話に耳を貸すこともありますが、この場合は排除以外の目的はないはずです。

そうであればどう考えても工作員側は銃撃や捕縛などの実力行使をするのが当然で棒立ちしているのに妥当な理由はありません。

変身ヒーローもので言われる”変身しているのを待つのもお約束”には当てはまらないのです。

また愛梨がひとりの工作員と戦闘をしているときに、別の工作員たちがなにもせずにいるのを画面で確認できます。

愛梨の攻撃が早すぎて目にも止まらないために動けないのであれば、愛梨を視認できない一陣の風のように描けば、対応できないため棒立ちとなっている工作員たちの不自然さもないのですが、そういう描き方ではないためまるで倒されるのをじっと待っているかのようにも見えます。

どのような意図でこの演出を選択されたのかは不明ですが、愛梨が戦っている最中に仲間たちも愛梨に加勢するなどの演出を入れてさえいれば、第一高校と第三高校のライバルたちによる共闘と言う名場面が産まれた可能性があるだけに残念に思われます。

そしてこれは蛇足となりますが、ここには深雪がいますので、実はテロ組織《ブランシュ》のアジトで見せたようにニブルヘイムを使えば一気にしかも一発で解決してしまうのではと言うのは内緒です。

魔法科高校の優等生 第11話のネタバレ感想


●1 「魔法科高校の優等生」では割愛されていることの補完です。

この『魔法科高校の優等生』では深雪、ほのか、雫たちが主役であり、彼女らが九校戦の代表選手であることで九校戦の裏側で行われていた出来事やそれに関わった人物の描写のかなりが割愛されています。

そのため3つの出来事や人物に対して補完したいと思います。

《モノリス・コード》新人戦で第一高校代表の選手たちが事故で重傷を負ったことで、真由美たち第一高校上層部は選手たちではなくエンジニアである達也に白羽の矢を立てます。

そこで代理出場することとなった達也はメンバーに同じ二科生である西城レオンハルト、吉田幹比古と出場することになりました。

そして以後登場する3つほどの出来事に対してご案内したいと思います。

△レオが手にしているブツ

今回の「お兄様、ご武運を」でも登場するレオが手にしている武器のようなものについてです。

これは8月10日『モノリス・コード』新人戦最終日に、レオがそれを持ち試合会場へと向かうのが描かれています。

『モノリス・コード』は魔法を使って相手を戦闘不能にすることが認められている競技ですが、手足や武具などを使った直接的な物理攻撃は禁止となっています。

そのため硬化魔法を使った殴り合いを得意とするレオにはルール上、相手選手への有効な攻撃手段が事実上ないと言えました。

そこでレオは達也が考案した武装一体化CADを使用することになったのです。

それは形状は剣に見えなくもないのですが、はっきり言えば厚みのある長い金属板のようでもちろん刃はありません。

この金属板のようなCADのいちばんの特徴は、硬化魔法を使用することで板の前半分が分離して宙に伸びることです。

そして宙にある離れて浮いている部分は使用者が手にしている板の残り半分である本体側の動きに連動していますので、浮いて離れている部分を相手にぶつけて攻撃することが可能なのです。

このため攻撃系魔法が苦手なレオでも魔法によって相手へのダメージを与えることが可能となったのです。

そして各予選でレオはこれを使って相手を攻撃するのですが、ほぼ一発で戦闘不能にさせています。

また第三高校との決勝戦では、達也が将輝を倒したがその後自分も倒れてしまい両者戦闘不能。

そして幹比古が真紅郎を倒しましたがダメージが深く、最後の第三高校の選手の魔法攻撃が避けられない状態でした。

そのことでこれで決着と思われたところに、先に将輝の魔法の直撃を喰らって戦線離脱していたレオが復活し、第三高校三人目の選手をかなりの遠距離から武装一体型金属板CADの前半分をぶち当てて一発KOさせたことで第一高校が優勝することになったのです。

この武装一体型金属板CADは硬化魔法が得意なことと、運度神経が抜群なレオとの相性は完璧なようです。

この板のような武装一体型CADを振るうレオの戦いぶりは”本篇アニメ”である「魔法科高校の劣等生 第16話《九校戦編Ⅸ》」で登場します。

△回収係はキレイで謎のお姉さん

今回の「お兄様、ご武運を」で藤林響子が登場します。

響子は国防陸軍独立魔装大隊の少尉です。

8月10日『モノリス・コード』新人戦最終日、ほのかや雫、エイミィたちの提案で達也の試合を妨害する工作が行われないようにひとりで見回りしている深雪は、響子とばったりと出会います。

「あら、深雪さん」

「藤林さん、来ていらしたのですね」

「ええ、お仕事で――」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

このお仕事とはもちろん独立魔装大隊の仕事のことです。

そのことでここには登場しませんが隊長の風間玄信たちも来ていることがわかります。

これは”本篇アニメ”の方で風間たちが幾度も登場するので間違いはありません。

また深雪は達也を通じて独立魔装大隊のことを知っているので当然響子のことも知っていることになります。

そしてその後、第三高校の一色愛梨たちの活躍で武装工作員全員が捕縛されました。

場所は状況からして『モノリス・コード』の森林ステージと思われます。

手を頭の後ろに組み、膝立ちさせられて後ろ向きにされている工作員たちは一列に並んでいます。

「この連中どうするの? 何者なのか吐かせてみる?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨が栞、沓子、深雪、ほのか、雫に問います。

「おそらく何も言わないでしょうね。ふつうの拷問程度では……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪がそう言いと氷を思わせる硬質で澄んだピキピキとした音が聞こえ始めます。間違いなく《ニブルヘイム》発動の予兆です。

「そういうことなら、私に任せてもらえるかしら?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

突然声が聞こえ、森の中から登場したのは響子でした。

「藤林さん」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

「お知り合い?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

深雪がそう答えると愛梨が尋ねます。

「え、ええ……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

響子の正体を教えられない深雪は歯切れの悪い返答になるのですが、

「こういう汚いお仕事は大人に任せて早く戻りなさい。達也くんの試合始まっちゃうわよ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

響子の口調は飄々としていてちょっと小悪魔で他意も悪意も感じさせないことで、愛梨たちは警戒心が抜け落ちてしまった感じです。

「う~む。いったい何者なのじゃ?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

沓子はそう言うものの、疑いのない口調です。

その後、シーンは移って別の場面となることから、全員が響子の提案を受け入れたと理解できます。

そしてこの後ですが、もちろん連絡を受けた独立魔装大隊の面々が到着し工作員たちは魔装大隊の施設に移されて取り調べを受けただろうことは想像できます。

ここでわかるのは、深雪やほのか、雫たちが妨害工作を防ぐためのパトロールをしていたことや、愛梨が工作員を倒したことも含めすべて響子には見られていたことです。

響子は”本篇アニメ”の方では重要な役どころがあり何度も登場するのですが、この”優等生”では割愛されてしまっていました。

ただ”本篇アニメ”にはなく”優等生”オリジナルである工作員7名の捕縛後拷問未遂場面を登場させたことで、誰が彼らを引き取るか尋問するかを考えたときに、”優等生”製作スタッフの方たちが白羽の矢を立てたのが藤林響子だったのだろうと思います。

△二科生たちの存在証明

この”優等生”の主人公たちである深雪、ほのか、雫たちはすべて一科生となります。

そのことからタイトルは”優等生”に変更されています。

そのため達也以外の二科生たち(エリカ、レオ、幹比古、美月)のほとんどは登場回数が割愛されて少なくなっていますが、これは仕方がないことなのです。

しかしそれでは二科生たち抜きにしてストーリーが成立するかと言うと不可能となります。

その理由はこの「魔法科高校の優等生」はあくまで「魔法科高校の劣等生」のスピンオフ作品で、”本篇アニメ”でのストーリーの流れを踏襲しているからです。

そのため、テロ組織ブランシュの襲撃もありましたし、この九校戦もあります。

そして”本篇アニメ”での九校戦の勝敗、優勝選手の変更もできませんし、名前と顔が知れ渡っている競技参加選手を別人に差し替えることもできません。

そして今回の「お兄様、ご武運を」では、負傷した森崎たちの代役で達也たちが『モノリス・コード』新人戦に出場することになりました。

これも”本篇アニメ”と同じ展開です。

するとそれには達也に指名された吉田幹比古と西城レオンハルトが登場せざるを得ないのです。

また同じように”本篇アニメ”通りに千葉エリカと柴田美月もこの会場に来ていることになります。

それがわかるのが『モノリス・コード』新人戦決勝の試合前です。

草原ステージに達也と幹比古とレオがいるのですが、幹比古とレオが真っ黒で長いマントを羽織っています。

これは第三高校の吉祥寺真紅郎の魔法『不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)』対策で、インビジブル・ブリットは目視できない相手には放てないことから、真紅郎に狙われたらマントで身を隠す作戦のための着用でした。

ただその姿がちょっとアヤシイのです。

「なあ、やっぱおかしくねえか? この格好……」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

レオが困ったかのように言います。

「エリカは絶対大笑いしているよ~」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

するとすぐさま幹比古も応えます。その話し方もガックリとした感じです。

「だよなあ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

レオが目をつむり呟きました。

この会話シーンでわかるように会場にはエリカがいることがわかります。

またエリカがいれば絶対に美月を半ば強制的に誘っているはずなので女子2名の存在が証明されます。

このようにこの”優等生”では、尺の都合などで二科生たちが登場できないときは、最小限の情報として人物や会話で存在を証明していることが多いです。

 

●2 完全なる実力主義のようです。

ほのか、雫、エイミィたちが第一高校を対象に妨害工作がされていることに気づき、代役として達也、レオ、幹比古が『モノリス・コード』に出場しました。
その間、ほのか、雫たちは分担して不審者を探し妨害を未然に防げるように行動しています。

そんな中、一般見学者向けに、いか焼きやアイスクリームなどが売られている露店街にはほのかと雫の2人が巡回を担当していました。

そしてそこに偶然通りかかったのが第三高校の三人美娘、愛梨、栞、沓子です。

そこで愛梨から意外な発言を受けます。

「先ほど、司波達也さんの試合を見させていただいたわ。まさか《グラム・デモリッション》を使えるとはね」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

そして栞からも同様の発言を受けます。

「チームメイトの戦いも見事だった。あれだけの実力があって、なぜ補欠だったのかが最大の謎ね」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

愛梨にしろ栞にしろ他人に媚びを売るために喜ぶ言葉を使うような性格ではありません。

まして第一高校のほのか、雫に心証を良くしてもらっても別に利益もありません。

そのことから達也が《グラム・デモリッション》を使ったのはお見事で素晴らしいことであり、そして他の2人のレオと幹比古にもあれだけの実力があるのに、この代役チームの全員が補欠だった意味がわからないと言うのも偽りなき感想だったのは間違いありません。

この代役チームのチーム編成に関しては、残念ながらまたしてもこの”優等生”では割愛されてしまっていることから”本篇アニメ”である『魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》』からご案内したいと思います。

 

——–魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》———

当初は出場を渋っていた達也ですが十文字克人に強く諭され出場を決意します。

その答えを聞いて安堵した表情の七草真由美と満足そうな笑みを浮かべる渡辺摩利の表情が印象的です。

「それで俺以外のメンバーは誰なんでしょうか?」

引用:魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》

「お前が決めろ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

達也の問いに克人があっさりとすごいことを言ってのけます。

これは克人の狙いだった可能性が高いです。

達也は二科生初で唯一の九校戦選抜チームの技術スタッフです。

ですが実戦での実力も相当なモノであることは上層部には知れ渡っています。

風紀委員として魔法に勝っているはずの一科生の違反者たちをまったく無傷で次々と倒しているのは知られています。

また生徒会副会長の服部刑部を模擬戦で瞬殺したことも当然知られています。

そのことから一科生、二科生を問わずおそらく学年首位と言っても過言じゃない実力があると認めている可能性が高いです。

また今回の九校戦技術スタッフとしての試合の作戦面での冷静かつ確実な戦法の考案だけでなく、選手たちのメンタルケア方面にも類い希なる才能があることも知られるようになりました。

克人はそういう達也の優れた戦闘面、作戦面の能力を考慮すると真由美や克人から残っている一年男子チームから選手を提案するよりも、達也にすべて丸投げした方が良い結果が出るだろうと覚悟したのだと思います。

「は?」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

お前が決めろ、と言う意外な克人の言葉はさすがの達也も予想外だったようで、思わず聞き返してしまいます。

「残りの2名の人選はお前に任せる。時間が必要なら1時間後にまたここへ来てくれ」

「いえ、その必要はありませんが相手が了承するかどうか」

「説得には我々も立ち会う」

引用:魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》

ここまで克人とやり取りをした達也ですが、このときイタズラを思いついたような微笑を浮かべます。

「誰でもいいんですか? チームメンバー以外から選んでも?」

引用:魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》

爆弾発言が飛び出ました。これこそが達也です。

達也は自分の思惑を優先したいときは、相手から少しずつ言質を取ることで外堀を徐々に埋めて行き、相手を逃げられなくして追い込む巧妙な軍師のような手法が得意です。

すでに腹を決めている克人は動じませんが、不意打ちを気づいた真由美は動揺します。

「ええっ!! それはちょっと――」

「構わん。この件では例外に例外を積み重ねている。あと一つや二つ増えても今さらだ」

引用:魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》

慌てて却下しようとした真由美の言葉を克人が被せて消し去ります。

「……十文字くん」

引用:魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》

真由美が口をとがらしながら文句を言うものの、仕方がないなあと言った呆れたような表情です。

この2人、なかなか良いコンビです。

「では、1-Eの吉田幹比古と同じく1-Eの西城レオンハルトを」

引用:魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》

遠慮なく悪びれもせず例外のメンバーを選択した達也です。

「おいっ!! 司波っ!!」

引用:魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》

これには服部が思わず諫めようと大声を出します。

もはや達也の実力を認めている服部ですが、さすがにこの人選には注文をつけたいようです。

ですが、市原鈴音が”お静かに”の意味の手のひらを挙げたので不本意な様子ながらもここで黙りました。

「いいだろう」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

克人が承認します。

そこで摩利が挙手をして発言します。

「達也くん、その人選の理由を訊いても構わないかね?」

「無論です。最大の理由は俺が男子メンバーの試合も練習もほとんど見ていないと言うことです。俺は彼らの得意魔法も魔法特性もなにも知りません。試合は明日です。一から調べていたのでは作戦も調整も間に合わない」

引用:魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》

摩利が重ねて質問します。

「今の2人ならよく知っているということか?」

「ええ。吉田と西城のことは同じクラスと言うことだけではなく、よく知っています」

「一理ある。相手のことがわからなければチームプレイは難しいだろうからな」

引用:魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》

達也の理路整然とした回答に摩利はほぼ納得したようです。

ですがもうひとつだけ質問が残っていました。

それを知りたいことから摩利はここでニヤリとほくそ笑みます。

おそらくこれがいちばん尋ねたかった質問に違いありません。

「それで最大でない理由はなにかね?」

「実力ですよ」

引用:魔法科高校の劣等生 第14話《九校戦編Ⅶ》

はっきりと明快に言い切る達也でした。

——————————————————-
このような経緯があり『モノリス・コード』の代役メンバーが選ばれたのでした。

達也が幹比古とレオを選んだのはもちろん親友だからではありません。

真由美や克人たち第一高校の上層部は総合優勝だけでなく新人戦も優勝を狙っています。

それを達也も重々承知していますので、実力がある勝てるメンバーを選んだのに過ぎません。

ではなぜ幹比古とレオを選んだのか? それにはきちんとした理由があります。

それは3人のタイプがまったく異なることで攻撃でも防御でも画一的にならないからです。

例えば3人が強力な炎系魔法を使えても3人がまったく同じでは、攻めるのも守るのも単調で相手に対抗策をすぐに思いつかれてしまいます。

その点、3人全員が得意魔法や戦術が異なっていれば、相手に自軍の意図を悟られにくい戦法を効果的に使うことが可能となり、より試合を有利に進めることができます。

具体的にですが、まず達也は自分がオフェンスを担当することを決めています。

それは達也の身体能力の高さが攻め入るのに有利なことと、また相手魔法を無効化できる《グラム・デモリッション》を行使できるからです。

猛スピードで接近し、相手魔法を無効化して敵陣のモノリスにたどり着くことが容易になります。

幹比古については達也は”遊撃”を担当するように決めています。

臨機応変に動き、攻撃または防御に自己判断で参加することを求めています。

これは発動までに時間がかかるものの、威力が大きく罠のように設置できる自由度の高い古式魔法がもっとも得意とする分野です。

変幻自在な忍者のような活躍が期待されているのです。

そしてレオです。

レオは自軍のモノリスを守る防御を期待されています。

もともと使える魔法が少なくほぼ硬化魔法だけですが、達也が試作した刃の部分が宙を飛ぶ剣で遠距離攻撃が可能になったことで戦闘の幅が広くなり戦力として十分となりました。

ですがレオが守備向きだと言うのはこれだけではありません。

通常魔法師は魔法によって身体能力を高めて、早く走り、高く飛び、重いものを持ち上げます。

ですがレオはそれらの魔法は使いこなせなくても生来の強い精神力と強い骨格、強い筋肉があり、それらを欠かさず鍛えていることでへこたれない精神と鋼の肉体を持っています。

ここが魔法で一時的に強化しただけの一般的な魔法師と異なる部分で、ボコボコにされても常に立ち上がってくるタフさが、エリートである一科生にはない魅力です。

達也が自分が代役チームの指揮を取ることに際して、親友で人となりをよく知っているだけではなく、それぞれの個性、能力を考慮した結果がこの人選だったと言えます。

では第一高校がどうやって九校戦選手を選抜しているかですが、それは”優等生”の第6話『九校戦、開幕です』の冒頭のシーンでわかります。

2095年7月9日。

この日は期末試験の結果が発表されていて魔法実技、魔法理論の総合順位は深雪が1位、2位がほのか、3位が雫となっていました。

「この成績なら3人とも選ばれそうだね。九校戦」

「うん。そのためにテスト勉強がんばってきた。うん、絶対に選ばれたい」

引用:魔法科高校の優等生 第6話「九校戦、開幕です」

と、ほのかと雫の会話があります。

そのことから期末テストの総合順位が基準となるのがわかります。

テストの総合順位が判断基準であれば魔法理論がトップでも魔法実技の成績が悪い達也は上位に入れないことから九校戦選手に選ばれない理屈はわかります。

おそらく同じ理由で幹比古もレオも選ばれなかったのだと思います。

そして冒頭に戻ります。

栞が言った

「あれだけの実力があって、なぜ補欠だったのかが最大の謎ね」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

から判明するのは、おそらくたぶん第三高校は期末テストの総合順位だけで選手を決める制度ではないと考えられます。

だとすると九校戦の競技内容によっては総合順位に関係なく選ばれる生徒がいることになります。

そうだからこそ実力がある選手が選考に漏れると言うことがないのでしょう。

そこから推測すると第三高校には『一科生、二科生』の制度がないのだと思われます。

そのためもし達也や幹比古、レオが第三高校の生徒だった場合『モノリス・コード』新人戦の選手に選ばれたのは、一条将輝、吉祥寺真紅郎、そしてその次の3番目は達也や幹比古、レオがだったのかもしれません。

まとめ

ここまで「魔法科高校の優等生 第11話《お兄様、ご武運を》」をご紹介して参りました。

ここで今回の内容をまとめたいと思います。

●「第11話 お兄様、ご武運を」のあらすじ要約です。

九校戦『モノリス・コード』新人戦予選、第一高校対第四高校の試合は開始する前に中止という前代未聞のアクシデントとなりました。

試合開始前に第四高校側がフライング攻撃するというルール違反で第一高校チーム3名が全員重傷を負ってしまう惨事となってしまったのです。

しかしこれは九校戦を賭け事の対象として影で巨額のギャンブルを行っている香港系国際シンジケート組織《ノー・ヘッド・ドラゴン》東日本総支部が行った妨害工作でした。

そしてこれまでも第一高校を襲ったいくつもの事故もすべて彼らの企てだったのです。

動揺し浮き足立つ第一高校一年女子チームの選手たちでしたが、そんなときでも達也はいつも通りに冷静で、次の試合である『ミラージ・バット』新人戦女子決勝の選手のほのかとスバルにあえていつも通りのアドバイスをするでした。

そのことで、ほのか、スバルもその他の女子チームメイトたちも平常心と笑顔を取り戻すことが出来ました。

そして始まる『ミラージ・バット』新人戦決勝。

達也のアドバイス、そして達也が調整したCAD、そしてなによりもふたりのがんばりの成果で、ほのか、スバルのワンツーフィニッシュで試合を勝ち取ることができるのでした。

その後、事態は急展開を迎えます。

事故による負傷で出場できなくなった第一高校『モノリス・コード』新人戦に代役として達也たち(達也、幹比古、レオ)の3名が出場することになったのです。

そのことで深雪は、達也が表舞台で活躍できることの嬉しさはあるのですが、それよりも不安の方が大きくなってしまったのでした。

深雪はこれまで第一高校だけに起こった事故のことで達也が心配でなりません。

そして達也はここでこれまでの事故はすべて《ノー・ヘッド・ドラゴン》が起こしたものだと深雪に告げるのでした。

そして、ほのか、雫、エイミィ、スバル、和実、菜々美たち一年女子チームは達也を妨害工作から守るために一丸となって行動を起こすことを決意します。

ノリは4月に結成された『少女探偵団』と同じで発起人はもちろんエイミィです。

やがて深雪もメンバーに加わり、少女たちは『モノリス・コード』の試合会場となる森林・岩場・平原・渓谷・市街地ステージを中心に分担してパトロールすることになったのです。

そしてその間に達也たちの代役チームは予選を勝ち進みました。

いつ、どこから、どうやって、相手の方法がわからないことで一年女子チームたちがなかなか妨害を防ぐための的確な行動ができない中、不意に幸運はやって来ました。

露店街を巡回中のほのか、雫のところに偶然に第三高校の三人美娘である愛梨、栞、沓子が通りかかったのです。

そこで”水のエレメンツ”であり古式魔法の使い手である沓子が、大陸系の古式魔法が使われたことで地脈が乱れて精霊たちがざわついていると発言しました。

そのことですべてが判明しました。

地脈を乱し水脈を活性化させることで地表に水たまりを作ることが妨害工作だと判明したのです。

達也たちの決勝の相手は第三高校の一条将輝たちです。

もちろん水たまりだけでは達也たちに対する妨害にはなりませんが、相手に将輝がいることで話は別となります。

液体を爆発させる”爆裂”魔法と得意とする将輝には水たまりは爆薬と同じことを意味し、それが試合会場に多数出現していれば達也たち第一高校に勝ち目は全くなくなるからです。

精霊と水脈が見えるのは”光のエレメンツ”のほのか、そして地下水脈を不活性化させられるのは凍らせることが得意な深雪。

この二人で『モノリス・コード』の試合ステージのひとつである”市街地ステージ”に向かい、ほのかが発見した水脈を深雪が不活性化させたときでした。

拳銃で武装した工作員たちが突然に襲いかかってきました。

ですがそこへ乱入してきた愛梨が全員を無力化し、最悪を逃れることができました。

やがて深雪とほのかは最後に残った”森林ステージ”の水脈を不活性化させたことで『モノリス・コード』に対して仕掛けたすべての工作を解除でき、ミッションは完了となりました。

深雪は妨害工作排除と武装工作員排除の件で愛梨と話をします。

「さっき言ったでしょう? 私たちは敵同士。お礼なら後でって」

引用:魔法科高校の優等生 第11話「お兄様、ご武運を」

愛梨の口調はキツイです。

「ええ、ですかれこれは礼ではありません。私からの宣戦布告です。明日の《ミラージ・バット》、正々堂々全力で戦い、あなたに勝ちます」

引用:魔法科高校の優等生 第11話「お兄様、ご武運を」

深雪はこう答えました。

「楽しみにしてるわ」

引用:魔法科高校の優等生 第11話

こうして明日に行われる《ミラージ・バット》本戦での戦い前の挨拶は終わりました。

やがて『モノリス・コード』新人戦決勝が終わりました。

結果は第一高校の優勝。三高のエースの将輝は達也の前に敗北したのです。

観客席からは達也、レオ、幹比古の健闘を称える拍手が鳴り響くのでした。

第10話「お兄様、ご武運を」の見どころは「全員が全員で、満面の笑み」と「35秒がやっぱり気になりました」です。

●全員が全員で、満面の笑み。

『モノリス・コード』新人戦予選。第一高校は第四高校のフライング攻撃による事故で選手全員が重傷を負うというアクシデントに見舞われました。

そのことで一年女子チームの選手たちも動揺し不安な空気が蔓延していました。

ですがそんな空気など意にも介さずに達也は次の『ミラージ・バット』に出場するほのかとスバルにいつも通りの冷静で落ち着いた口調でアドバイスを行います。

そのことで心の動揺がなくなったほのかとスバルですが、その場面で最高の笑みを見せます。

まさに満面の笑みとはこの笑顔のことではないかと思わせるすばらしい笑顔です。

●35秒がやっぱり気になりました。

第四高校によるルール違反の攻撃で重傷を負った第一高校の選手たちの代わりに達也が『モノリス・コード』に出場することになりました。

そのため第一高校ばかりに起こる連続事故は何者かによる妨害工作だと結論づけた一年女子チーム全員は『モノリス・コード』の試合会場になる森林・岩場・平原・渓谷・市街地の各ステージをパトロールし妨害工作の排除を行うことになりました。

そしてその途中、ほのかと深雪は謎の武装集団7名の攻撃を受けます。

そしてその危機一髪なときに乱入してきたのが第三高校の一色愛梨です。愛梨は得意の超高速移動系魔法を駆使し細身の剣で武装工作員を弾き飛ばします。

「ここは私に任せて草原ステージに向かいなさい!」

引用:魔法科高校の優等生 第11話「お兄様、ご武運を」

愛梨は深雪とほのかにそう告げます。

その後、後から栞、沓子、雫が到着したり、現状の報告などが行われるのです。

そして愛梨が次の言葉を述べます。

「お礼ならすべて終わった後で聞くわ。早く行きなさい」

引用:魔法科高校の優等生 第11話「お兄様、ご武運を」

この間の時間は35秒。

愛梨や深雪たちの会話が始まって終わるまでです。

その間、敵たちはなにもせずじっと少女たちの話が終わるのを待っていてくれるのでした。

 

●「魔法科高校の優等生 第11話《お兄様、ご武運を》」のネタバレです。

内容は「『魔法科高校の優等生』では割愛されていることの補完です」と「完全なる実力主義のようです」の2つです。

『魔法科高校の優等生』では割愛されていることの補完です。

「魔法科高校の劣等生」のスピンオフ作品であるこの「魔法科高校の優等生」は主人公が深雪、ほのか、雫たち少女であることで視線が達也と異なることや、尺の関係上、”本篇アニメ”である「魔法科高校の劣等生」に登場する出来事や人物、アイテムなどの紹介シーンが割愛されていることが多いです。

そのことからこの「第10話《お兄様、ご武運を》」に登場するいくつかを個別でご説明いたします。

△レオが手にしているブツ

第一高校の森崎たちが重傷を負ったことで代理出場することになった達也、幹比古、レオの3名ですが、その中でレオが手にしている武器らしきものがあります。

これは達也が設計した武装一体型CADでレオの特性を活かし、尚且つ『モノリス・コード』のルールに抵触しないと言うスグレモノでした。

△回収係はキレイで謎のお姉さん

この”優等生”では国防陸軍魔装大隊は登場しません。そのことから今まで登場しなかった魔装大隊少尉の藤林響子が急遽登場します。

それはやっかいなお荷物である捕獲した武装工作員たちの回収でした。

△二科生たちの存在証明

主役が深雪、ほのか、雫たち一科生エリートである少女たちであることから”本篇アニメ”とは違い達也の同級生たちであるエリカ、レオ、幹比古、美月はほとんど登場しません。

ですがこの”優等生”は”本篇アニメ”の物語の流れをなぞっている関係上、どうしても登場が必要な場面に限ってスポット参戦していることをご案内しています。

◇完全なる実力主義のようです。

深雪たち第一高校一年女子チームが達也たちが代役として出場している『モノリス・コード』新人戦への妨害工作を未然に防ぐため、分担してパトロールしていたときに偶然出会った第三高校の一七夜栞が次のように発言します。

 

「チームメイトの戦いも見事だった。あれだけの実力があって、なぜ補欠だったのかが最大の謎ね」

引用:魔法科高校の優等生 第11話「お兄様、ご武運を」

これは達也、幹比古、レオの3名が補欠とは思えない程の実力があることを客観的に見た分析でした。

第三高校の生徒である栞は当然第一高校の九校戦の選手選抜の仕組みなど知りません。

この発言から第一高校と第三高校の違いを推測してみました。

拙文を最後までお読みくださり、誠にありがとうございました。

 

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