魔法科高校の優等生 7話ネタバレ注意!感想やあらすじ、雫と栞の無口キャラ対決にも注目!

この記事では魔法科高校の優等生 第7話「数学的連鎖(アリスマティック・チェイン)」のネタバレや感想、見どころについて解説していきます。

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「魔法科高校の優等生」は本篇アニメである「魔法科高校の劣等生」のスピンオフ作品となります。

この”優等生”は主役が司波達也から、司波深雪、光井ほのか、北山雫の3人(+1名として明智エイミィ)に変更されているのが特徴です。

ですが、本篇アニメと同じ設定、同じ物語を後からなぞっていく形式となっていることで、作品のほとんどのシーンは本篇アニメと同じになっていました。

しかしこの”優等生”も九校戦が開幕してからは、今までとは違う作風となりました。

それは第三高校の一色愛梨、一七夜栞、四十九院沓子(+水尾佐保)と言う”優等生”オリジナルキャラの美少女たちが登場するからです。

今回の”優等生”7話以降からは本篇アニメではまったく登場しないエピソードが繰り広げられることで、原作小説や本篇アニメのファンだった方々も、まったく新しい展開を楽しむことができます。

また、今回のタイトル「第7話 数学的連鎖(アリスマティック・チェイン)」は今までの法則になかったものとなります。

1話以降で5話までは、1話「一生大事にします」、2話「ご一緒してもいいですか?」、3話「少女探偵団、始動よ!」、4話「友達」、5話「手出しはさせません」と、深雪、ほのか、雫、とエイミィの誰かが口にしたセリフがタイトル名となっていたのですが(6話の「九校戦、開幕です」は該当なし)、今回の「数学的連鎖(アリスマティック・チェイン)」は第三高校の一七夜栞のオリジナル魔法の名称となっています。

そのことで今回の主役は実は栞ではないかと思えるような展開になっているのが特徴です。

この第7話では、その「数学的連鎖(アリスマティック・チェイン)」である、歩くスパコンでクール・リケジョの栞が、ひたすら寡黙な雫と『スピード・シューティング』で激突します。

また、大舞台に弱いあがり症のほのかと対戦することになる古式魔法の使い手、四十九院沓子が緊張しまくりのほのかをなぜかリラックスさせてやると言う”敵に塩を送る”行為をします。

今回は三高の愛梨、栞、沓子と一高の雫、ほのかを中心に様々な思惑が絡まり合うドラマとなっています。

魔法科高校の優等生 第7話のあらすじ要約


今回の「魔法科高校の優等生 第7話 数学的連鎖(アリスマティック・チェイン)」は冒頭からいきなり九校戦のシーンとなります。

本日で九校戦は4日目となり、行われているのは、新人戦『スピード・シューティング』女子予選となります。

出場しているのは第一高校の北山雫です。予選なので他の選手の姿はなく、ひとりで黙々とクレーを撃ち、その得点で予選通過すれば決勝に出られる仕組みです。

そして出場選手用の通路では達也が雫の試合を観察しています。雫が使う魔法術式は達也が開発し、小銃型のCADも達也がチューニングしたものでした。

やがて予選が始まり、クレーが左右から競技エリア内に飛来し、雫は魔法で大きな仮想立方体の檻のようなものを空間に造りあげました。

そしてその空間に飛び込んだクレーは振動領域魔法を受けて、次々と飛散していくのですが、その様子はクレーが勝手に自爆しているかを思わせるほどです。

「……空中に機雷でも仕掛けているのか?」

「……こんな魔法、見たことない」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、その様子を観戦していた他校の生徒たちが驚愕の表情となります。

このことから、雫が使用している魔法は既存のものではなく、まったくの新しい魔法なのがわかります。

ここで場面が変わって第三高校が使う広い部屋。試合中と言う状況的から見て、各校ごとに用意された野外の作戦テントと呼称される天幕と思いきや、内装がしっかりされていて天井照明や壁の質感から、ホテル内に設置された第三高校専用の会議室のようです。壁には大型モニタがあり、いくつものデスクや椅子、腰掛けが用意されています。

設置されている大型モニタには競技中の雫が表示されています。

ここでもクレーが勝手に自爆しているとしか思えないような雫の魔法に度肝を抜かれたかのように、絶句している三高選手たちの姿がありました。

そんな中、部屋のいちばん奥で腕組みして雫の試合を見ているのが、一色愛梨、そしてその横に並び立つのが一七夜栞でした。

そしてふたりの顔は真剣です。

「栞、今のどういう戦法かわかる?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、愛梨は尋ねます。

「ええ。おそらく北山選手はフィールドをいくつかに区分して、クレーが飛来したエリアに対して振動魔法を発動させている」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、栞は見事な分析で正解を言い当てます。

栞はひとことで言ってしまえば”リケジョ”です。

この雫の魔法を観察し、仕組みを完璧に理解していることで、相当に知能が高いことが、このセリフでわかります。

こういうタイプの魔法師は、第一高校の司波達也、そして栞と同じ第三高校の吉祥寺真紅郎などが該当します。

戦いの中で、相手の魔法を分析し、自分がどういう手順で対抗していくかを、きっちり理詰めするタイプで理数系ならではの高い知性を感じさせます。

ちなみにですが、この栞たちと異なるタイプが熱血や根性で戦う魔法師で、具体的には千葉エリカ、西城レオンハルト、桐原武明などがそれにあたると思います。

気合いと精神力と力任せで相手を倒す肉体派で確かに豪快かつ強そうなのですが、悪い言い方では”脳筋”と言うことになるかと思います。

「――あなたと対戦したら、どうなるかしら?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、不敵な笑みで愛梨が尋ねます。

「そうね。……この戦法から言って、北山選手は細かな範囲指定が苦手」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、いつもの淡々とした無表情で分析を交えて答えます。

「準々決勝以降は二種のクレーが飛び交う対戦方式。そこではより高い精度の魔法が要求される」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

そして雫の試合が終わります。結果はパーフェクトでした。

この魔法こそが『アクティブ・エアー・マイン』で、達也が雫の魔法特性から判断し、構築したオリジナルの魔法術式です。

ただし、この場面では『アクティブ・エアー・マイン』の条件のすべてがそろっていないため、ご案内は後述いたします。

ここで第三高校が使用するホテルの会議室に戻ります。

雫のパーフェクトの結果を見て、栞が発言します。

「そこは私のテリトリーよ。演算能力を駆使すれば、彼女の魔法は無効化できるわ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、栞は自分の強みを活かせば勝てると冷静に判断しているのでした。

ここで競技会場であるスタジアムの廊下となります。試合を終えて帰ってきた雫と達也の前に、栞と愛梨の二人が立ちはだかります。

そしてこの場の雰囲気は緊張でピリピリした感じになります。

「第一高校の北山さんですね? こんにちは、第三高校の一七夜栞です」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、話しかけたのは栞でした。

「はじめまして」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、雫も返答するのですが、暖かい言い方ではありません。

「大変良い腕をされていますね。準決勝で対戦するのが楽しみです」

「……そっか、そこまでは絶対負けないってことなんだね? ――わかった。私も準決勝、たのしみにしてるよ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、ふだんの雫からは見ることが出来ない不敵な笑みを浮かべて挑戦を受けるのでした。

そして場面は再び女子新人戦『スピード・シューティング』予選で、フィールドにいるのは栞でした。

栞は試合開始の前に一度振り向き、後方の観客席にいる愛梨を確認し、

(……見ていて、愛梨。あなたの期待は決して裏切らない)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、心の声で呟くのでした。

こうして栞の試合が始まりました。

「――セカンダリー、クリア。……ターシャリー、コレクト」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と栞は小さくつぶやきながら小銃型CADで射撃を行っています。

その様子は魔法行使と言うよりも、ひとつひとつの数式の確認をしていると表現する方が正しいと思わせます。

クレーは次々とすべてを破壊されていくのですが、その破壊のされ方がふつうではありません。

例えるならば爆薬の誘爆に似ており、連鎖反応的破壊と言うのが正しいようです。

そのため、観客席で敵情視察も兼ねて連なって座っている深雪たちの中で、ほのかが

「……なにこれっ!?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と悲鳴に近い驚きの声を思わず出してしまいます。

すると、ほのかの横に座るエイミィから、

「ひとつめのクレーを破壊するのは振動魔法として、どうして次々と、ほかのクレーにその破片が飛ぶの……?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、訳がわからない、理解できない、と、まるでからくりが判らない手品を見せられたかのような、疑問の言葉が出ます。

「……移動魔法かな?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

この後にこの栞の対戦相手となる雫は、予測込みでそう告げますが、その顔はいつもの雫には見られない緊張を浮かべています。

この雫の言葉を受けて、ほのかが尋ねます。

「あれだけの破片を把握して、それぞれ移動させているって言うの?」

「移動する物体の位置の把握だってムズカシイのに……。一瞬でそれぞれの破片の動きに対応するなんて」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

栞を異形の者でもあるかようなコワさを感じたのか、エイミィがめずらしく真顔になります。

「スーパーコンピュータでもなければムリだよ。……まさかそれをやってるの……!?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ほのかは、ほとんど叫んでいるような口調です。

ほのか、エイミィだけでなく、栞と準決勝で戦うことを約束した雫は、固い表情でした。

この後、場面は雫たち第一高校生徒たちとは別の観客席にいる第三高校の一色愛梨に変わります。

「――更に精度が上がっているようね」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、余裕の笑顔で愛梨は栞をそう評価します。

ここで愛梨の回想シーンとなります。

「やはり、私の目に狂いはなかったわ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

時は2092年(3年前)で、『リーブル・エペー』の試合となります。

(リーブル・エペーは魔法を使用するフェンシングに似た競技だと思って、ほぼ間違いなさそうです)

試合こそ愛梨が勝ったのですが、試合中に栞から受けたするどい一撃が競技用のマスクの横ぎりぎりにかすめたのです。

愛梨をここまで追い込む相手はいなかったため、愛梨は栞と言う少女に驚愕したのでした。

そのことがあり、その後、愛梨は壁に背を持たれて床に座りぼんやりしていた栞に声をかけます。

「あなたはもっと、上に行ける才能を持っている。……私と同じ景色を見てみたくない?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

この言葉で我に返った栞は、自分に手を伸ばす愛梨を見上げます。

これはこの後に判明する生家の一七夜家の件で、どん底まで落ちてしまっていた精神状態の栞に愛梨が文字通りに手を伸ばし、身体だけでなく、心まで立ち上がらせたことを意味しています。

この後、また舞台は九校戦、新人戦女子『スピード・シューティング』予選の栞の試合へと戻り、愛梨の声は続きます。

「――栞は金沢魔法理学研究所で、持ち前の空間把握能力と演算能力に磨きをかけた。――その結果、見た物を瞬時に数式化し、魔法に応用する特別な目を手に入れた。

栞にはすべて予測できている。ランダムな要素に見えるすべての粒子の行き先が……。

誰にも真似できない栞だけの魔法。

……それはスーパーコンピュータをも凌駕する演算能力を駆使した美しい数式の旋律《アリスマティック・チェイン》」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

こうして一七夜栞の恐るべき魔法『数学的連鎖(アリスマティック・チェイン)』が観客席にいる雫を始めとした第一高校選手たちに公開されたのです。

ここで栞の予選は終了し、結果は雫同様にパーフェクトでした。

そしてこのポイントを見ての栞の反応ですが、顔には笑みなどなく、いつもの無表情です。そしてこの結果は愛梨も確信していましたし、栞自身も同じだったと思われます。

ちなみに先に予選を終えた雫もパーフェクトの試合結果に笑みはありませんでした。このふたりは似ているところがあると改めて思います。

ここで考察いたしますが、雫にしても同様なのですが、予選ではポイント上位順に通過できるルールなので、奥の手を初手から見せても良いモノか? との疑問も浮かぶのですが、切り札を隠したことで予選に落ちたりすれば本末転倒となりますので、完璧に予選通過できるパーフェクトの方が安心ですし、最初からライバルたちに実力を見せつけることで、折れる心なら、ここで折ってしまえと言う作戦だと考えれば正しい方法と言えます。

この後、舞台は宿舎用ホテル内の第三高校専用の部屋となります。大きなモニタが設置され画面には雫の予選の映像が流れています。

今、ここにいるのは栞と、吉祥寺真紅郎です。

真紅郎は新人戦『モノリス・コード』に出場する選手なので、技術スタッフではないと思われるのですが、真紅郎ほどの人材はそうそういるはずがないので、優勝候補の選手のひとりである栞(もしかしたら、愛梨や沓子なども)の技術スタッフを兼務しているのかも知れません。

真紅郎が大型モニタ画面に向き、真横にはPCを置いた状態で解説をしています。

「北山選手の準々決勝での使用魔法を解析した。自分のクレーを狙いやすくするため、空間に対する自分のクレーの密度を高める収束魔法をかけているんだね。……このように」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

画面には雫側のクレーと思われる4つの白色クレーが起動を変えて一気に同じ座標に集まり互いに激突し、自爆でもしたかのように砕ける動きを見せるのですが、逆に相手側の4つの赤色クレーは、てんでばらばらにあさっての方角へと飛び去る動きを見せています。

「……相手のクレーは、その反動で起動を変えられ得点が伸びなかった。……知っての通り、彼女が使うこの特化型CADに格納できる起動式は最大九つ。北山選手はそれらを使い分けているから、相手選手も惑わされていたんだね。だが、君ならその九つ、すべてに対応できるだろ?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

真紅郎は、そう栞に尋ねますが、尋ねられた栞の顔には珍しく表情が浮かびます。

それは不敵な笑みで、真紅郎の問いに声を出して答えるまでもないほど『アリスマティック・チェイン』には当然のことのようでした。

そして準決勝となります。

雫の相手は栞。予選で見せた得点パーフェクトのふたりが激突することから、事実上の決勝戦で間違いないと思われます。

そのためなのか、観客席は満員です。

フィールドから見て向かって右が一高の雫で白いクレー、左が三高の栞で赤いクレーとなりました。

やがて試合開始となります。

雫も栞も、もちろん序盤から得意魔法での作戦となりました。

フィールド奥にある左右の射出機から発射された4つずつの赤と白のクレーが、空中で交差します。

その瞬間、雫の『アクティブ・エアー・マイン』が、指定した座標エリアに入った4つの白色クレーを一気に粉砕します。

そして目標に該当しない赤色クレーは雫の収束魔法の余波を受けて、それぞれがてんでバラバラの方角へと向きを変えました。

「相手のクレーの軌道が逸らされている。雫の必勝パターンだよ!」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、観客席のほのかは嬉しそうに感想を言います。

しかし、横に座る深雪は硬い表情で返事をします。

それは嫌な予感を察知してしまったかのようでした。

「……いいえ、違う。……あれは……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

深雪の予感は悪いことにズバリ的中でした。

雫の魔法によってバラバラの方角に逸らされた4つの赤いクレーでしたが、その行き先で連続して破壊され、次弾として飛来した4つの赤いクレーも、先に爆散したクレーの破片が激突し誘爆のようにその空間で弾け飛びました。

「……軌道が逸れても連鎖がつづいているっ……!?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

これが一七夜栞の『数学的連鎖(アリスマティック・チェイン)』の本当の恐ろしさでした。

雫が誇る『アクティブ・エアー・マイン』は、空中に大きな仮想の立方体を描き、その空間の中にある座標を指定して該当するモノ(白色クレー)を完璧に破壊し、それ以外(赤色クレー)を異物としてはじき出してしまうことで、自分にとってはチートに近い有利さで、相手選手には不利を強いるえげつない魔法です。

相手選手からすると、目標のクレーがバラバラに飛び去ってしまうことから弾道を予測できず、狙いにくくさせられ、必然的に多数のクレーを墜とせないと言う理不尽を突きつけられてしまうのです。

この、攻守揃った魔法によって雫は『スピード・シューティング』において、無敵と称してもおかしくない力を得ていました。

ですが、その無敵が破られました。

栞の『数学的連鎖(アリスマティック・チェイン)』は、雫の『アクティブ・エアー・マイン』によって弾かれた赤色クレーも、弾かれる前段階の赤色クレーも、どちらも関係なく、空間に存在するすべての赤色クレーに対して、弾道を正確無比に予測し、前弾で破壊し飛び散る破片の行き先を分析し、正確に次の赤色クレーにそれを激突させて連鎖的に次々と破壊が連続するという離れ業なのです。

これは栞だけが持つ、高度な空間把握能力と超絶な演算能力がなせる技です。

この『アリスマティック・チェイン』を初めて見たときに、ほのかが「スーパーコンピュータ」と称したのは、決して大げさではなかったのです。

もともとスーパーコンピュータとは、天文気象(地震、台風、火山噴火)や、軍事(大砲、ミサイルなどの弾道計算)など、最先端の科学技術分野での膨大な計算に必要なコンピュータです。

科学技術分野での計算は、お店での買い物の会計と同様に、あるモノの正確な数値を求めること自体は同じなのですが、そこに至るまでのプロセスが気が遠くなる程に複雑で、対象となるモノの規模や質量、数量だけでなく、天候、気圧、気温、湿度、風位や風量、そして重力などなど、結果に影響を与える大小さまざまな数多くの要素のすべてを加味した上で、初めて最適解が求められるものです。

そもそもコンピュータの開発目的そのものが、大砲の弾道計算と言う当時の最先端科学技術分野での使用のためでした。

第二次世界大戦終了の翌年である1946年にアメリカが開発した世界最初のコンピュータであり、尚且つ世界初のスーパーコンピュータでもあるENIAC(エニアック)がそれになります。

もともと弾道計算目的がコンピュータの開発理由となりますので、栞の『アリスマティック・チェイン』も目的は同じなのですから、ほのかが称したように、栞は歩くスパコンと言えるのかもしれません。

舞台を準決勝の試合に戻します。

そして単純な放物線を描いて飛来するクレーであれば、弾道計算は容易なので比較的狙いやすい標的と言えるのですが、二色のクレーが入り乱れた状態となり、更に雫の魔法の影響で、バラバラに飛び去る複数の目標をすべてロックオンして破壊し、その破片の行方までも、わずかな間に計算し尽くして、次のクレーに当てて、そしてそれを連鎖的に繰り返すと言うことはもはや人間業ではなく、ほのかが形容した”スーパーコンピュータ”とは言い得て妙となるのです。

「……雫の魔法を覆したってこと……!?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ほのかが驚愕の声になり、深雪も落ち着かない声を出します。

「雫もすごいけど、それ以上に一七夜選手が点数を伸ばしてる!!」

「……そんな」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ここで試合中の栞の心の声(モノローグ)となります。

(……北山雫。世界的に高名な魔法師の母と資産家の父を持ち、そのバックアップを受けて魔法の才能を開花させている。私とはまるで正反対……)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

画面はモノクロとなり、場面は強い雨が降る広い庭と塀瓦がある長い塀を持つ大きな和風屋敷です。

庭には雨に打たれているセーラー服の中学生、栞がいます。

栞は顔や腕に湿布や包帯があり、痛々しい姿です。

その栞の手前には縁側に立つ和服姿の男性と女性の後ろ姿が見えます。

このふたりは栞の両親でしょう。

そして、次の言葉で栞の怪我の原因は両親からの虐待によるものだと想像できます。

(――数字落ちして荒んだ家。喧嘩が絶えない両親。なにもかも捨ててしまいたいと思っていた、あの時……)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ここで場面が変わります。

中学時代の栞が一色愛梨と初めて出会った『リーブル・エペー』の試合後です。

愛梨に一撃を与える直前まで攻めた栞に対して、愛梨が手を差し伸べたシーンです。

競技場の隅で座っている栞と、心がどん底状態の栞、その両方に愛梨が手を差し伸べると言う比喩的な名場面です。

(――あの手が、私を光の中へ導いた。あの手を取ったとき、私は決めた。もう二度とあんな所には戻らない)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

場面が雫との試合に戻ります。

(愛梨といっしょに勝利に向かって進むだけよ!!)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

得点掲示板には雫54ポイント、栞57ポイントと表示され、栞優勢となっています。

観客席では第一高校生徒会長の七草真由美と風紀委員長の渡辺摩利が、この状況を見て、

「マズそうな雰囲気ね」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と会話しています。

また、友人思いのほのかは、自分が戦っているわけでもないのに意気消沈してしまい、

「……雫」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、つぶやくのですが、それを見た深雪が明るく言い、笑顔を見せます。

「大丈夫よ、ほのか。雫の担当技術者を誰だと思っているの? ――お兄さまが対策を考えていないはずがないわ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、言うのでした。

雫の予選の結果が圧倒的だったため、優勝確実と思い込んでいた第一高校。

そこでノーマークだった(情報不足だった)第三高校の一七夜栞と言う一年生の少女が出現し、予選を雫と同じパーフェクトで通過した。

それでも雫の勝利は揺るぎないと根拠なく信じ込んでいたこの準決勝で、雫が栞に敗れてまさかの敗退……。

と、第一高校の大勢が覚悟をし始めたときに、その誰もが忘れていた事実を深雪が声にしてくれたのでした。

北山雫の担当技術者は、あの”司波達也”です。

達也が雫と同様にオリジナル魔法を使って予選をパーフェクト通過した選手やその魔法を見落とすことは決してあり得ません。

まして達也は展開された起動式から魔法の内容をすべて読み取れる能力を持っており、そのことですでに『アリスマティック・チェイン』は丸裸にされ、その仕組みや特徴のすべてが解析されているのは確実です。

また、栞が通う第三高校には、『カーディナル・ジョージ』の吉祥寺真紅郎と言う高名な魔法学者で頭脳派の選手がいることも勘定に入れて作戦を立てているのも間違いありません。

競技に戻ります。

そこでは快進撃で得点を重ねる栞の姿がありました。

ですが、内心には疑問がムクムクと湧き上がっていました。

(……おかしい。予想以上に疲労している。アリスマティック・チェインがいくら消耗しやすい魔法だとしても、北山選手の戦法をシミュレートして最適に調整してるはず……。なのになぜ?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

栞の表情は硬く、すでにかなり疲労しているのがわかる表情です。そして、

「――まさかっ!?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

となにかに気づきます。

そして”リケジョ”の栞なので、その”なにか”が、予期せぬ最悪の”なにか”であることに気づいた可能性が高いです。

そこにはただ平然とした表情でもくもくと小銃型CADを打ち続ける雫の姿がありました。そして口元には勝ち誇ったような笑みが浮かびます。

雫も栞が予期せぬ”なにか”に気づいたことがわかったようでした。

ここで舞台はホテル内に設置された第三高校専用の部屋となります。

壁に設置された大型モニタを見ていた一条将輝が隣で座る吉祥寺真紅郎に話しかけます。

「……マズいな、ジョージ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

その不安な将輝の声に真紅郎が応えます。

「ああ……。北山選手のCAD、あれはおそらく汎用型だ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

今度は試合会場の観客席付近にある選手用の通用廊下となります。

ここには資料を手にした司波達也がいました。

「――予想通り、特化型と思い込んで作戦を立ててきたな。残念だが、あれはドイツで発表されたばかりの照準付汎用型CAD。

格納された起動式の数は99。それらすべてに対策されていないのであれば……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

場面は急展開で、今度は競技中の雫となります。

「――私の勝ち」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

その表情はすでに勝利を確信した様子です。

そしてフィールド上では、ここで初めて赤色クレーが無傷で飛び去ります。

「――外したっ!?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

栞が焦りを含んだような声でそう言います。

初めて見せた栞の痛恨のミスでした。もちろん原因は疲労です。

そして先ほど気づいた”なにか”が、雫が使用する小銃型CADが汎用機だと判ったことも心労に繋がったのは間違いないようです。

今度はまた、ホテル内の第三高校専用の部屋に舞台が移ります。

「――迂闊だった」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

してやられた感で苦悶の表情となった真紅郎が言葉を告げます。

「あれだけの起動式は特化型に収まる数じゃない……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

その言葉を受けた将輝が自分の考えを述べます。

「だが、準々決勝で展開された魔法の出力規模は限定されていた。わざと少ない起動式で戦ってたって言うのか?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

それに真紅郎が応えます。

「そう。おそらく誤認させるための作戦だったんだ。特化型だと思わせて九つの起動式にだけ対応させるためにっ!!」

「だが、実際の起動式は99。完全なオーバーワークだ。こんな作戦を立てて、次世代汎用型CADを用意したヤツがいる……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

その、こんな作戦を立てて、そんなCADを用意した”ヤツ”に不気味さを覚えたのか、将輝は顔に冷や汗を浮かべます。

「一方、特化型だと見紛うばかりの魔法の発動速度は、選手自身の魔法力がなければ成り立たない。本人の特性を活かした唯一無二の策。

……一高はこんなすごい技術者を隠していたのか……?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

真紅郎が、一高の技術者が新技術の汎用型CADを用意しただけでなく、選手の能力までもしっかり理解し引き出している事実に驚異します。

「……今の一七夜は、意識しないままテニスでコートを端から端まで、常に走らされている状態。……そろそろ限界だ……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

将輝が適切な分析を告げ、三高と栞の敗北を覚悟した言葉で締めました。

一条将輝の分析の正しさを示すように、クレーを黙々と打ち続ける栞の意識は段々と朦朧となっているようです。

いつの間にか得点も雫に逆転されているのですが、もうそのことすら栞は認識していないようでした。

そんな中、栞の使命感だけは正常動作しています。

(――私は、こんな所で立ち止まる訳にはいかない。私は……)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

思考はモノクロの過去へと栞を引き戻します。

(……イヤ)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

雨に打たれている左頬に湿布薬を貼ったセーラー服姿の中学生の栞。目はうつろで焦点が合っていません。

(――もう、あそこには戻らない)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

和服姿で握りこぶしをつくり、怒鳴りつけている様子の栞の両親。

栞を叱責しているのだと理解できるのですが、きっと栞の落ち度は些細なことに過ぎないのに、過剰な激高していることがわかります。

ですが、それはたぶん自分たちが数字落ちしてしまったことに対しての八つ当たりと思えます。

転落した我が家の鬱憤を、我が子と言う弱者に晴らすことで、留飲を下げている最低の父親と母親……。

もはや完全崩壊した家庭そのものだと言えます。

(――戻りたくない。……私は愛梨と……)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

我に戻った栞ですが、小銃型CADを構え直し、飛来する赤色クレーを狙い、弾道予測して『アリスマティック・チェイン』を発動させます。

ですが、発動した『アリスマティック・チェイン』の脇を無傷ですり抜けて4つの赤色クレーは遠くへと飛び去りました。

魔法は発動したのですが、発動された魔法にもはや威力がなくなってしまっているのか、それとも弾道予測の演算を間違えたのか、とにかく『アリスマティック・チェイン』はもはや正常に動作していないことだけは確かでした。

――そして試合は終了しました。

結果は北山雫は96ポイント、そして一色愛梨は92ポイント。

栞が最後の最後で逃した4つのクレーが勝敗を分けてしまいました。

「勝者、第一高校、北山雫選手ぅ!! 決勝進出だあっ!!」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

アナウンスの男性が興奮気味に、そう告げました。

射撃用ゴーグルを外した雫は微笑をたたえ満足げです。

しかし敗れた栞は、今ここで起きた現実が受け入れられないようで、両手を地につけ茫然自失とした表情となってしまったのでした。

時が少し経過し『スピード・シューティング』新人戦女子の競技はすべて終了となりました。

会場にある大きな結果表示スクリーンには、1位、北山雫。2位、明智英美(エイミィ)。3位、滝川和美と言う第一高校が1~3位独占と言う前代未聞の偉業が表示されており、第三高校の一七夜栞は4位と言う順位でした。

舞台は第三高校が使用しているホテル内の会議室となります。

「――予想以上に一高が得点を伸ばしている」

「さすがにスピード・シューティング女子の上位独占は予想もできなかった……」

「優勝確実なはずの一七夜さんが4位で終わったのは痛かったわね……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

第三高校の選手たちが、『スピード・シューティング』新人戦女子の結果について口々に感想を漏らします。

この会議の名目は作戦会議だと思えるのですが、雰囲気は暗くお通夜のような空気となっていました。

会議は長い円卓を囲んで大勢が出席し行われているのですが、席がひとつだけ空いています。

それはもちろん一七夜栞の席でした。

(――栞、三位決定戦はふだんのあなたなら苦もなく勝てる相手だったのに……。あんなあり得ないミスを連発するなんて……)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

空席に語りかけるように一色愛梨が心の声でつぶやきます。

そして愛梨が言う三位決定戦の相手とは、第一高校の滝川和美のことです。

和美も九校戦に選ばれていることから、決して弱い選手ではないのですが、愛梨の言う通り栞と和美ではレベル差があり過ぎます。

準決勝で雫が栞を破りましたが、決して楽な戦いではなく薄氷の勝利でした。もし雫のCADが第三高校の吉祥寺真紅郎が誤認した通りに特化型だった場合は、それこそ大差で栞が勝っていてもおかしくなかったのです。

そのことから栞がミスを連発して和美に敗れてしまったのは、雫との戦いに敗れてしまい、心を寄せる愛梨の期待を裏切ってしまったことへの後悔と、自分の手を取って受け入れてくれた愛梨との心地良い居場所を失ってしまうのではないかと言う恐怖で、心が折れてしまったからなのは間違いないと言えます。

ここで真紅郎が発言します。

「――一七夜と北山選手に実力差はなかった。僕と将輝はあの試合を見て、ひとつの結論に行き着いた」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

それまで腕組みをし、目をつむって軽く俯いていた一条将輝が、顔を上げ言います。

「……ああ。一高の勝利はまぐれじゃない。CADの性能を二、三世代引き上げるバケモノのような技術者がついている……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

将輝のその言葉を聞いた愛梨は、一度目をつむり、その後表情を引き締めました。

それまで心の中では栞が負けてしまったことが、どうしても信じられなかった愛梨だったのですが、この将輝と真紅郎と言う三高が誇る超天才コンビの言葉に、栞の敗北した真の理由に気づいたのだと思われます。

この会議室での将輝の言葉にあった”CADの性能を二、三世代引き上げるバケモノ”とはもちろん達也のことなのですが、その達也が調整した雫の『スピード・シューティング』用の小銃型CADに触れたいと思います。

それは特化型と汎用型のいいとこ取りをした照準補助付小銃型汎用デバイスのことです。

当初、雫が使用していたCADは特化型だと思われていました。

それは、この競技に”特化”した特化型でないと魔法発動が遅くなり、高得点を狙えないからです。そのことから特化型以外はあり得ない結論となります。

ですが、特化型は最大九つの起動式しか格納できないことから、試合での使い方を検証すれば、第三高校の真紅郎が行ったように、対策が可能となるのです。

一方の汎用型CADですが、収納できる起動式が多く最大99を格納できます。

この点は有利なのですが、発動までに時間がかかることで、この『スピード・シューティング』の試合では実用的ではないようです。

ですが、その発動までの時間の短縮は、選手に対応できる魔法力があれば話は別です。

その雫の魔法力ですが《魔法科高校の優等生 第6話 九校戦、開幕です》で、親友で学年総合順位が雫の上だった2位のほのかが、「雫も力押しでなんとかできる魔法力がある」と、自分よりも強いことを証言しています。

そのことから、雫は汎用型でも特化型同様の速度で魔法を発動できるのがわかります。

また、達也がその程度のことを見抜けないはずもありません。

ここで”特化型”と”汎用型”の違いをご案内したいと思います。

その違いは例えるならば、コンピュータゲームをどの機器を使ってプレイするかに似ています。


特化型 ← ゲーム機(ゲーム専用機)

“ゲーム機”は、ゲーム専用に作られている”特化型”です。

ゲームが収録されたメディアやダウンロードなどでゲームを入手し、スイッチを入れればすぐに起動します。

そして専用のゲームパッドも最初から付属しているなどゲームをプレイするための機能はすべて付いています。ですが、ゲームに特化した機器なので、ゲーム以外のことは基本できません。

また、ストレージ容量は少ないので、収録できるゲーム数やセーブデータ数も少なくなります。

汎用型 ← PC

“PC”は、”汎用型”の最たるモノとなります。

ご存じの通り、ゲーム以外でも、文章、計算、写真、絵、CG、音楽、ネットなどなど、ほぼ無限大にやりたいことが可能となります。ですが、PC本体だけでなく、必要なソフトウェア、ハードウェアを別途購入する必要がありますし、操作方法も初心者にはかなりムズカシイです。

また始動に時間がかかることや、さまざまなトラブルが発生しやすいと言うマイナス面も多いです。

しかし、ストレージ容量はいくらでも増設できるので、収録できるゲーム数やセーブデータ数はほぼ無限に近いと言っても差し支えありません。

このように、”特化型”と”汎用型”にはどちらにも得手不得手があるのですが、ゲーム機の使いやすさにPCのストレージ容量無限が加わり、それを使いこなせればとても便利なことがわかります。

乱暴な例えではありますが、雫が試合で使った”特化型”と”汎用型”を兼ね備えたCADとは、こんな感じかと思われます。

舞台は変わって会場内に幕営された各校の天幕設置場所(作戦テント)となります。

そこのいちばん端にある第一高校のテント内です。

「――すごいじゃない!!」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と感嘆の声を上げているのは生徒会長の七草真由美です。

「快挙よ、これは。一高が3位まで独占なんてぇ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

これ以上はないと言える極上の笑顔で、真由美は達也の肩をパンパン叩いていました。

「選手ががんばったからですよ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、表情を変えずに淡々と達也は応えます。

「……それもあるけど、達也さんの力が大きいって、みんな判ってるよ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

こう応えたのは雫でした。雫たち一年女子チームと、真由美、摩利が達也を囲んでいます。

「うん。自分がここまで来るなんて、思ってもみませんでした」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

素直で控えめな感想は滝川和美です。

「司波くんには感謝してるよぉ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

エイミィも同じ感想です。

「私の魔法、『アクティブ・エアー・マイン』も、達也さんがいなかったら完成しなかった。ありがとう」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、雫は達也と自分を頂点まで届けてくれたオリジナル魔法『アクティブ・エアー・マイン』に感謝しています。

「俺はエンジニアとして、やるべきことをしただけだ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、達也はいつも通りに表情を変えずに返事をします。

「もうっ、ご謙遜」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ご機嫌顔の真由美が、またまた達也の方をパンパン叩きますが、今度は達也も不快なようで顔をしかめます。

「そう言えば、『アクティブ・エアー・マイン』は、あの魔法大全『インデックス』に登録されるんだよね? 達也さんの考案した魔法として」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、嬉しさのあまり弾んだ声で話すのは、もちろんほのかです。

「うりやぁえ? ホントにぃ?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

少々謎言語が交えながら言うのはエイミィ。

「うん」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

めずらしく嬉しげな顔で頷くのは雫です。

補足となります。

魔法大全『インデックス』とは、国立魔法大学が管理編纂している魔法の種類をまとめた百科事典のようなものです。

新たに作られた魔法が優秀であり、なおかつ過去に登録された魔法と重複しないものであれば、新魔法として収録されます。

そしてこれに収録されるのは、魔法師としてこの上ない栄誉となるものです。

「ああぁん、名声がますます高まっちゃうわねぇ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

両頬に手を当てて言う真由美のご機嫌は止まらないようです。

「困るなあ、ウチの秘密兵器なのに」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、摩利もおどけて、そう言います。

そこで場の空気をひっくり返すような言葉を放ったのは達也でした。

「いえ、『アクティブ・エアー・マイン』は北山さんの名前で登録しています」

「ええっ……!?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

真由美、摩利、ほのか、雫、エイミィ、和美の驚き声が重なりました。

ただひとり、声をあげなかったのは深雪で、達也の言葉に意表を突かれた驚き顔を見せた後、達也の真意を察し悲しみの表情を浮かべます。

達也の言葉を聞いて摩利が口を挟みます。

「謙遜も行き過ぎると、イヤミだぞ」

「いえ、謙遜では……。俺は自分が作った魔法を自分で使用できないという無様を晒したくないだけですよ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

その説明に深雪はいっそう悲しみの色を濃くしました。

達也が行った『インデックス』の登録者を雫にしたことと、それを知った深雪が見せた悲しみの表情は、四葉家に対しての問題となります。

達也を軽んじて、深雪のガーディアン(護衛)役としてしか達也を見なしていない四葉家の意向が関わってくることから、達也が目立つことを避けるため、四葉家に忖度した形となります。

四葉家に兄の実力を認めさせ、兄の地位を向上させたいと常日頃考えている深雪にとって、達也の忖度は強い悲しみと自分の力不足をも痛感させたことから浮かんだ表情だと思われます。

また、達也にとっては『インデックス』に名前が掲載されるのを避けた理由は四葉家への忖度だけでなく、隠さなくてはならない正体が他にもいくつかあることも大きな理由だと思われます。

達也は、現四葉家当主である四葉真夜の甥であり、正真正銘の十師族四葉家の人間であること。

そして高名な魔法工学機器FLT(フォア・リーブス・テクノロジー)の専属で、謎の魔法工学技師である天才CADエンジニア『トーラス・シルバー』本人であること。

国防陸軍に属し、士官の階級を持つ超極秘扱いの戦略級魔法師であること。

これらのどれもが、決して明らかになってはならないことから、常日頃目立たぬようにしなけらばならない事情もあるからです。

舞台は変わって、各校が宿舎にしている国防陸軍のホテル内の廊下となります。

そこには、第三高校の一色愛梨と、四十九院沓子の姿があります。ふたりがいるのは友人である一七夜栞が宿泊している部屋のドアの前となります。

悲痛な顔をした愛梨がドアをノックします。

「栞、いるでしょ? 開けて……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

場面は部屋の中となります。もう暗くなっているにも関わらず、照明も点けずに塞ぎ込んでベッドに座る栞の姿がありました。相当に落ち込んでいる様子がわかります。

(――あれは私の心の弱さ。私の弱さがあの敗北を招いてしまった……。愛梨のためにも負ける訳にはいかなかったのに……!!)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

廊下では愛梨が再びノックをする姿勢をとって立っています。

すると部屋の中から栞の声が聞こえてきました。

「――私はもう駄目」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

その声を聞いた愛梨は声を荒らげます。

「情けないこと言わないで。あなたは私が認めたの。あなた自身の、その輝きを……!!」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

暗い部屋の中にいる栞は愛梨の声を聞いていますが、俯いたままで目には力がありません。

「――あなた自身がそれを信じないでどうするの?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ここまで言葉にした愛梨ですが、栞からの返事がないことに唇を咬みます。

舞台は、ホテルの受付前ロビーとなります。辺りには誰の姿もありません。

「やれやれ、あれでは儂のお祓いも効きそうにないのオ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

沓子が、言葉通りに、やれやれと言った口調で話します。

「あんな栞、初めて……。このままだと代役を立てることになるかも……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

愛梨は泣いているのではないかと思ってしまうほどの悲しげな声で、ふだんの毅然とした態度からは見られない一面を見せてくれます。それだけ親友の栞の様子が気になっているのがわかります。

「いや、それは大丈夫じゃろう。根拠は儂の直感じゃ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、沓子は愛梨にウインクしてみせます。

沓子は楽天家でポジティブな性格なことから、やや悲観的な要素がある愛梨や栞にはないこの長所で、3人の中のムードメーカー役であろうと想像できます。

「そうね。沓子の直感なら、きっとその通り」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

愛梨の顔に笑みが戻りました。

「うむ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、満面の笑みを見せる沓子。彼女はとても気遣いができて、思いやりがある少女だとわかります。

場面はまた競技場に戻ります。

新人戦『バトル・ボード』女子が始まりました。

そんな最中、『バトル・ボード』の競技場廊下にて、檻の中のクマのように、あっちへ行ったりこっちへ来たりを忙しなく繰り返しているのは、第一高校のポンコツ系美少女、光井ほのかでした。

「……ううぅ。もうすぐ始まるよぉ……。午前は雫の試合に集中してたから、考えないでいられたけど、今になって急に緊張してきたぁ……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、焦りまくった顔でつぶやいています。

そして、手のひらに”人”と書いて飲むと言う、おそろしく古風な緊張を解くおまじないを行う様は、大舞台に弱いほのからしいポンコツさです。

すると、

「――お主」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、どこからともなく声が聞こえ、ほのかはいきなりお尻をなでられました。

「ひいっ……!! だ、だ、誰っ!?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、飛び跳ねそうなほどに驚いて涙顔を見せるほのかですが、そこには第三高校の四十九院沓子の姿がありました。

「なにをそんなに緊張しておるのじゃ?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

まん丸目を大きくして、沓子は興味津々とほのかを見上げます。

まだ驚きが止まらない様子のほのかが、心の中で声をあげます。

(……この子、確か三高の……。偵察? まさか、妨害工作? ……そ、そう言えば、渡辺先輩の事故も、まだ原因がわかってない……)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ほのかの態度に怯えと疑いがあることを見抜いたようで、ほのかの目をしっかり見つめていた沓子は、にっこりと微笑みます。その自然な様子はけがれのない純真無垢さで、悪意はかけらも感じられません。

「心配せんでも良い。事故は起きぬよ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ニッコリ顔のまま、沓子はそう告げます。

「へっ? (――私、声出してた?)」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

考えを見抜かれたと思ったほのかは焦ります。

「緊張することはない。お主の実力を出せば、予選など余裕じゃろうて」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

実に堂々とした態度で沓子は話しかけます。

「……どうして?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

沓子の真意がまったく掴めないほのかは、そうとしか尋ねられません。

「ちょっと人の子を元気づけたい気分だったのじゃ。――ではのう!!」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、沓子は応えると、ほのかに背を向け奥へと走って行きました。”元気づけたい気分”とは、もちろん親友の一七夜栞のことだと思われます。

「えぇっ……!? なんだったんだろう……?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、ひとり残されたほのかは狐につままれたような気分だったに違いありません。

「……でも、少し気が楽になったかな」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、我に返ったほのかはつぶやきます。

なんとも摩訶不思議な沓子でしたが、きっとほのかは感謝したのだと思います。

ここで沓子がなぜ、ほのかのお尻を触って驚かせたのかを考察してみたいと思います。

ほのかがウブで純情ですぐムキになると言う揶揄いたくなる性格であることから、大浴場でエイミィにイタズラされたのは記憶に新しいですが、この沓子の件もそれに近いと思われます。

もちろん沓子は大浴場の件は知りませんが、たった今ほのかの心理状態が読めた洞察力のすごさからすると、ほのかの性格をすでに理解していたのかも知れません。

また、もしかすると、このあとすぐに明らかにされる沓子の出自と関係がある能力を持っている可能性も考えられます。

どちらにしても、このような同性からのセクハラを受けてしまうのは、ほのか以外にはいないことから、当たらずといえども遠からずだと思われます。

元の場面に戻ります。

遠ざかっていく沓子の背中を見ていたほのかですが、急に背後から声がかかります。

「ほのか」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

その声に振り向いた先には達也がいました。

「達也さんっ!!」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ほのかは実に嬉しそうな声です。

「彼女は知り合いか?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

そう問いかける達也。

「いえ。ちょっとしゃべっただけですけど……。三高の人ですよね」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ごまかす必要もないことから、ほのかは事実だけを伝えます。

「ああ。彼女は『バトル・ボード』新人戦の優勝候補、第三高校の四十九院沓子だ……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

場所は変わって『バトル・ボード』の試合会場となります。

試合は予選の最中で、えんじ色のウエットスーツ姿の沓子が爆走しています。高速で進みながらも右に左にと蛇行して、その笑顔はこの上なく楽しそうです。

沓子の前でボードを進ませている周回遅れと思われる他校の選手が二名いたのですが、沓子のボードが接近すると前方から強い波に持ち上げられたかのようにいきなり舳先が天を向き、ボードはひっくり返り、二名の選手たちは次々と背中から水に落下してしまいました。

「――水の上は儂の領域じゃ。道を譲るが良いさ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、ご機嫌な様子です。

それをほのかと達也が会場に設置された巨大モニタで見ていました。

「……これは? あの子の魔法?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

驚き顔でほのかが問います。すると達也が淡々とした様子で説明を始めます。

「四十九院家は神道系古式魔法を受け継ぐ家系で、そのルーツは神道の大家、白川家に行き着くそうだ」

「……しらかわ……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、ほのかはつぶやきます。そしてなにかに急に気づいた様子で「……あ」と小さく叫びます。

「……そう。その名の通り、水に属する魔法を得意としている」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

そして『バトル・ボード』のコースに戻ります。

そこでは単独ぶっちぎりでボードを進める沓子の姿があります。そしてゴール。

「うふふふぅ……。楽しいなぁ!!」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

天真爛漫な笑顔でそう言うのでした。これで沓子は文句なしに予選を通過となりました。

一方のほのかですが、沓子の試合を見届けると驚愕そのものの表情となり、眉毛は”へ”の字に下がり、瞳はうるうると震え、口も”へ”の字です。

どうやら一度解消した緊張がまたよみがえってしまったようです。

「……す、すごい。こんな魔法って……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

すると達也はガチガチになってしまったほのかを案じて、ほのかの肩の上に手のひらを置きました。

「大丈夫だ。恐れることはない。確かに強力な選手だが、ほのかだって決して引けを取っていない。……思い出せ、今日までの特訓を」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

達也からの激励の言葉に、ほのかは瞳うるうるで、震えた声でつぶやきます。

「……達也さん」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ほのかの回想シーンとなります。

第一高校のグランドで、雫とエイミィがランニングを行っているシーンや、里見スバル、春日菜々美が『クラウドボール』の練習をしている様子など、それぞれが九校戦に供えたトレーニングをしています。

ほのかは大きなバランスボールの上に腰を乗せ、背中を反らしてストレッチを行っています。

「……みんな燃えてるなぁ~。深雪は生徒会が忙しそうだけど、ちゃんと練習できてるのかな? ……やっぱり、達也さんと……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、ここまでは正常だったほのかの思考ですが、この先はなぜか妄想モードになってしまいます。

妄想モードでは、全裸の深雪が俯せでベッドに伏せていて、脇に立っている達也が大きめのバスタオルの上から深雪の腰辺りをマッサージしています。

「……お任せします。お兄さま」

「深雪の身体のことは隅々まで知っているからね」

「うわあ、気持ちいい……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

もはや、どうしてこうなる? と、小一時間問い詰めたくなる見事なポンコツっぷりをほのかは披露します。

そしてバランスボールの上のほのかは、自分の妄想に恥ずかしくなってしまったようで、両手で赤面した顔を押さえています。

「……なしっ!! 今のなしっ!!」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

すると、今このタイミングでは非常に気まずい人物に声をかけられます。もちろん達也です。

「ずいぶん練習に精が出ているな」

「へっ!? た、達也さんっ……!?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

大きいバランスボールの上で、逆さまの姿勢だったほのかはあまりの驚きであわあわと慌ててしまい、後頭部から地面にずるずると滑り落ちていきました。

「う、うわああああああああああ~!!」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

後頭部と両肩から落ちたその姿勢はプロレスの大技、バックドロップを受けた体勢です。哀れ、ほのかは、おへそ丸出し、胸の下着も披露してしまう大サービスとなってしまいました。

補足です。

この21世紀末では、女性は人前でなるべく肌を見せないのが普通で、各魔法科高校の女子制服もスカート丈はすべて膝下まであります。

本篇アニメ「魔法科高校の劣等生 入学編第3話」で、「新入部員勧誘週間」の最中、風紀委員の達也は新入部員獲得に燃える上級生たちにもみくちゃにされた千葉エリカを幾重にも包囲した先輩たちの輪から救い出し、人目が付かない場所へと避難させています。

その際に、もみくちゃにされたことでエリカの制服の胸元がはだけた状態になっており、胸の谷間が見えてしまう事故がありました。

もちろんエリカは達也が見てしまったのは不可抗力だったことはわかったいますし、助けてくれたのもわかっているのですが、それでも乙女としては許せなかったようで、達也の脛を蹴っています。

エリカが気が強い脳筋だからの部分もあるのでしょうが、これがこの時代の当たり前なのだと思います。

そんな状況下で、おへそと下着を達也にお披露目してしまったほのかに対して、達也はただひとこと

「……すまん」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と謝罪しましたが、これ以外に言いようがありません。

そんな達也にほのかは、地面にぺたんと正座して、両手を太ももに挟み、真っ赤な顔であわあわしています。

「……い、い、い、いいえ。だ、だ、大丈夫ですぅ……。うぅぅ……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

肌を見られたほのかですが、相手が想い人の達也でありますし、そもそも勝手に妄想して赤面していた自分がすべて悪いこともわかっていますので、本篇アニメのエリカの場合と同じ条件下とは言えません。

なので、達也を責めるなど露ほども思いません。ただひたすら恥ずかったのだと思います。やっぱりほのかはポンコツが似合う美少女です。

「驚かせてしまったお詫びに、なにか俺にして欲しいことはあるか?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

達也にそう提案されたほのかは、思案顔になります。

「……達也さんにして欲しいこと……?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

まだ頬の赤みが取れていないほのかでしたが、頭の中で強烈なイメージが浮かび上がります。もちろん妄想モードです。

それは先ほど妄想した達也からマッサージを受ける全裸の深雪とまったく同様で、深雪の代わりに今度はほのか自身が裸になって俯せでベッドに伏せていて、脇に立っている達也がほのかをマッサージしています。

「お任せします。……達也さん」

「ほのか……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

するとほのかの思考が妄想から醒めました。

「違うからっ!! ……そこから離れて私の妄想っ!!」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

魂の叫びです。

そして自責の念と羞恥でいたたまれなくなったほのかは、芝生の上を頭を抱えたまま右に左にゴロゴロと転がります。

「うわぅぅぅ……ぅぅぅ……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

すっかり壊れて謎のうめき声をあげて左右に行ったり来たりしているほのかと言う物体を、ただ無言で見下ろしている達也は実にシュールでした。

その後、ほのかと達也はベンチに場所を移します。

「……不安なんです。私なんかが九校戦に出るなんて。……私は雫ほど魔法実技がうまくないし。……きっと他校の選手はすごい人ばかりだろうし……」

「……なるほどな。それなら『バトル・ボード』初戦のスタート時に、この魔法を使用する」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

手元の端末機を操作して達也はなにやらを表示させます。

「ええっ!! 最初に光魔法……!?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ほのかは驚いて尋ねました。

「これまで光の魔法で妨害に成功した選手はいない。だが、ほのかにならできる」

「えっ!!」

「この魔法は、ほのかの光魔法に対する特性から生まれた”ほのかだけ”の魔法だ。誇っていい……」

「……私だけの魔法」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ここで回想シーンは終わり、ほのかが出場する『バトル・ボード』、予選のスタート地点となります。

(……よし、大丈夫)

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ほのかは緊張しすぎで焦りまくっていた感覚はすでに消えていて、強い決意を秘めた表情となります。

このスタート地点には、4名の選手たちが揃っています。ほのかは向かって右から二人目で、紫色のウェットスーツでボードは黄色、そして唯一サングラスを装着しています。

そして第一高校の観客席にいる中条あずさと北山雫、司波深雪も同様にサングラスをしています。

そして達也もここでサングラスをかけました。

そしてスタート開始の号砲が鳴りました。

その瞬間、ほのかは光魔法を発動させ、ほのかを中心に水面がかなり強烈にまぶしく光りました。

そのため他校の3名の選手たちは前を直視できなくなり、反射的に顔を腕で隠して明るさから目を守らざるを得なくなってしまいました。

そして中にはバランスを崩して水に落下してしまう選手もいました。

そんな大混乱を尻目にほのかは猛然とスタートダッシュします。

攪乱作戦は成功し、これでほのかは最初から大幅なリードを得ることになりました。

独走するボード上のほのかは笑みを浮かべています。

「……負けないよ。だってこれは達也さんが私のために作ってくれた、”私だけ”の魔法だから……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

そして終始独走状態だったほのかは、そのまま進み続けて見事に1位でゴールしました。

「やったあ~、やりましたっ!! 達也さんっ!!」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

ほのか、満面の笑みでした。

そして第三高校の観客席では、ほのかの試合を観戦していた四十九院沓子の姿がありました。

「あやつ、なかなか面白い技を使いよるのぉ。……決勝での対戦が楽しみじゃ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、笑顔になりました。その表情は本当に楽しみにしているのがわかる表情でした。

そのとき空には広報用の飛行船が飛んでいました。

そして船体にある巨大モニタでは、明日行われる『アイス・ピラーズ・ブレイク』新人戦女子の選手の名前が紹介されています。

その中には自責の念で引きこもり状態となっている第三高校の一七夜栞の名前もありました。

「――栞。明日の『アイス・ピラーズ・ブレイク』、このままのあなたは出場させられない。必死で練習したチームメイトの顔に泥を塗るようなものだもの。……だから代役を立てることにしたわ……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

場面はホテル内廊下となります。

そこは栞が籠もる部屋の前でドアに向かって立つ愛梨が栞に話しかけていました。愛梨の顔は悲痛です。

「……そう」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

栞からの回答はこの言葉だけでした。

愛梨は栞が示した態度の歯がゆさに怒りを覚えてしまい、とっさに右手を振り上げました。

おそらく怒りにまかせて、栞が顔を出すまで扉を力一杯ノックし続けるつもりなのだと思われるのですが、なんとか思いとどまって右手を降ろしました。

しかし、怒りは消すことができず、肩をふるわせてこらえています。

そしてその怒りは口調に出てしまっているのでした。

「……これが最後よ。もしあなたが出場できると言うのなら、明日の朝6時までに作戦テントに来なさい」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

愛梨ができるだけ手回ししたのでしょう。

朝6時までならば代役の起用を待ってくれるように先輩たちに頼んだのに違いありません。

親友に対しての愛梨の優しさを感じます。

ですが……、心が折れてしまった栞にはそれが伝わりませんでした。

「その必要はない。私はもう駄目だもの」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

栞は、暗い部屋のベッドの上で膝を抱えて塞ぎ込んでいるままです。

その栞の言葉を聞いた愛梨ですが、怒りを抑えつづけていることで余裕がありません。

そのことから心にもないセリフを口にしてしまいます。

「――失望したわ。勝手になさいっ!!」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

足音高く、愛梨は去って行きました。

残された栞が暗い天井を見上げてつぶやきます。

「……これでいい。愛梨が求めていたのは一色の家に相応しい才能ある仲間。才能のない私は必要ない……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

このまま部屋の暗闇に身も心も溶け込んでしまいそうな暗い言葉でした。

そのとき、部屋が再びノックされ、やがてドアが開き、第三高校三年生の水尾佐保が入ってきました。

手にはルームキーを持っているので、これで鍵を開けたようです。

「栞、ちょっといいかな?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

そう言って栞に話しかける佐保は、慈悲深い聖女のような笑顔を見せました。

「……水尾先輩。すみません。ご迷惑を……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

栞が佐保に謝罪を告げます。

栞はベッドから足を降ろして座っていて、手には紅茶カップを持っています。

そして佐保は部屋の机の椅子に座っています。

そして佐保の前にもカップがあるので、どうやら栞のために紅茶を入れてくれたようでした。

「大丈夫だよ。それより愛梨のことだけど……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、佐保が言葉を言いかけるのですが、卑屈になってしまっている栞は、心の余裕がまったくないため、口を挟むように話してしまいます。

「もう私とは……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

そんな栞を見て、佐保が優しく微笑みます。

「あの子とは、中学からのつき合いだよね? 『リーブル・エペー(魔法を使うフェンシング)』の試合で……」

「申し訳ないです。私を見いだして、引き上げてくれたのに……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

完全にブルーになっている栞は、佐保のどんな言葉にも悪い印象を持ってしまうようで、そうとうな手遅れ感が伝わります。

「引き上げられたのは、愛梨も同じだよ」

「えっ!?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

まったく予想だにしていなかった佐保の言葉に、栞は視線を上げて佐保を見つめます。

佐保は静かな微笑を浮かべていました。

「……愛梨とは、家のつき合いで小さい頃からの知り合いでね、一色家としてのプライドと周りからかけ離れた実力もあって、あの子はずっと孤高を貫いていたわ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

回想シーンとなります。

愛梨と栞が中学一年生のとき、『リーブル・エペー』で対戦したときのことです。栞のするどい突きが愛梨のマスクすれすれまで届いたシーンで、今まで敵なしだった愛梨が初めて危うさを経験した試合です。

この試合会場には佐保も来ており、試合を見ていたのでした。

「――だけど、あなたと出会って初めて切磋琢磨できる仲間を得たって喜んでた。……あんないい顔した愛梨、初めて見たよ。仲間と、――栞と競えあえたことが今の愛梨を形作っているんだ。

……愛梨はね、素直に言えないだけ。どれだけあなたを心配しているか、もっと早く代役を立てることもできたのに、そうしなかったのはなぜなのか。もう自分でも気づいているんだろ?」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

佐保の言葉に思い当たる節がある栞は、そのことにハッと気づき、それまでのどんよりとした目から生気が戻った目つきへと変わります。

「一度負けたくらいで諦めるような魔法師は大成しないよ。大事なのは、心が負けないこと」

そう言われた栞は右手で自分の胸を抑えて、つぶやきます。

「……こころ」

「愛梨は一の家系でいちばんになれないことで諦めたりはしてないだろ? だからきっと、彼女は大きくなれる」

「……先輩」

「あたしに言えることはこれだけ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

2095年8月7日早朝。

外では空が明るくなり始め、富士山の向こうに昇って来た朝陽が九校戦会場を照らします。

各校の天幕が並ぶ中、第三高校の作戦テント前には愛梨の姿があります。

愛梨は手にした情報端末の画面を見ます。そこにはあのときの『リーブル・エペー』の試合後に撮影した愛梨と栞が並んで立っている写真が壁紙にされていました。

強い思いを胸に抱いた愛梨は、画面から目を離すと空を見上げます。

「……遅かったわね」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

すると離れた場所から栞がやって来ます。

「心配かけてごめんなさい。……もう大丈夫よ」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

と、栞も手にしていた情報端末の画面を愛梨に向けます。

そこには愛梨の端末と同じ写真が壁紙になっていました。

愛梨と栞が並んで立つ『リーブル・エペー』のときの写真でした。


魔法科高校の優等生 第7話の見どころ

無口キャラ対無口キャラ

一高の雫が『スピード・シューティング』の予選で、オリジナル魔法『アクティブ・エアー・マイン』を初の実戦投入し、結果、パーフェクトと言う最高の戦果を見せます。

三高の一七夜栞は、その試合を見て雫に対して対抗心がふつふつと芽生えるのでした。

そして競技場の廊下で、ふたりは出会います。

雫は達也と、栞は愛梨といっしょで、この場には2対2の4名が揃いました。

そのなんとも言えない微妙な空気が見どころなのです。

まず、雫と栞が互いに無表情であることで、なんとなく重い空気が漂います。

そして付き添いの達也もほとんど感情を表に出すことはしませんので、当然この場でも雫同様に無表情。

唯一、この場の中ではふつうに感情を出せる性格の愛梨なのですが、この空気に遠慮したのか、口元にわずかばかり微笑を出すだけで、無言です。

つまり、無言の4名が向かい合っていると言う実にシュールな絵となりました。

無口キャラは、すでに美少女のひとつのジャンルとして定着していますが、知名度が高いキャラとして、《新世紀エヴァンゲリオン》の綾波レイや、《涼宮ハルヒの憂鬱》の長門有希などがいますが、この魔法科シリーズの北山雫と一七夜栞もなかなか魅力ある無口キャラだと思います。

JKの友情

新人戦『スピード・シューティング』女子準決勝で、三高の栞が一高の雫に敗れてしまいます。

互いに『アリスマティック・チェイン』、『アクティブ・エアー・マイン』と言うオリジナル魔法を駆使しての戦いで、選手の力量にほぼ差がなく接戦でした。

ですが、雫の使用しているCADを特化型だと思い込み、実は汎用型であったことを見抜けなかった栞、そして三高の吉祥寺真紅郎の作戦ミスが原因となり、栞が魔法力を使い果たしてしまったことで勝負がつきました。

この後、栞は自責の念と失意のため、真っ暗な部屋に閉じこもってしまいます。親友の愛梨や沓子にも顔を見せないと言う天照大神の「天岩戸」状態でした。

この様子では『アイス・ピラーズ・ブレイク』への出場も危ぶまれたのですが、三高三年生の話せるお姉さんである水尾佐保の助言で栞は立ち直り、愛梨との約束の場所に向かいます。

愛梨が指定した時刻は午前6時。

もし、『アイス・ピラーズ・ブレイク』に出たいのであれば、この時間までに三高の作戦テントに来なさい、と栞には伝えていました。

夜が明けました。

愛梨は自分の情報端末の壁紙となっている写真を見ます。

そこには運命の出会いとなった3年前の『リーブル・エペー』の試合後に、親友となった栞との記念写真が表示されています。

「遅かったわね……」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

まもなく指定の時間になろうとしたとき、向こうからやって来る栞の姿がありました。

「心配かけてごめんなさい」

引用元:魔法科高校の優等生 第7話

そう愛梨に応えた栞の手にある情報端末は、愛梨に見せるため壁紙画面をこちらに向けています。

そこには愛梨の端末の壁紙と同じ、3年前に撮った『リーブル・エペー』が切っ掛けで親友となった愛梨との写真が表示されているのでした。

言葉足らずの行き違いがあっても、やっぱりいちばん大事なものは親友との友情だと言うことに、お互い気がついて、その絆がより深まった美しい場面です。

愛梨も栞もまったく同じ思いだったことが、見ている側まで温かい気持ちになれる名シーンだと思います。


魔法科高校の優等生 第7話のネタバレ感想


●「数字落ち」と「金沢魔法理学研究所」

今回の「魔法科高校の優等生 第7話 数学的連鎖(アリスマティック・チェイン)」では、タイトルの通り、この魔法の使い手である第三高校の一七夜栞と言う少女が数多くの場面で登場する重要な役どころとなっています。

そしてこの栞を語る上で外せない設定が2つあります。

それが「数字落ち(エクストラ・ナンバーズ)」と、「金沢魔法理学研究所」です。

栞が”数字落ち”の家系の出で、”金沢魔法理学研究所”にて《アリスマティック・チェイン》を得たことが、今の栞を形作っているからとなります。

○数字落ち(エクストラ・ナンバーズ)

“数字落ち”とは魔法師の名家にとって、とても不名誉なこととなります。

今より昔、まだ魔法師たちが魔法を武器とした使い捨て兵士であったり、魔法実験の実験体であったりした当時、その時代に存在した魔法技能師開発研究所で、実験に成功した生体に、数字が付く苗字が褒美として与えられました。

ですが、その後に一定の成果を上げられなかったり、不祥事を起こしてしまったり、禁忌である人体の動きを奪う魔法の開発、もしくは使用してしまったり、などに該当する”家”に対して課されたのが”数字落ち”で、一種の懲罰となります。

“数字落ち”となった家は、苗字から数字を取り上げられ、代わりに読みが近い漢字を当てられます。

しかし”数字落ち”した家に対する懲罰が、単に苗字が変わっただけで済むはずがありません。

おそらく一門たちから冷遇され、仕事が与えられず、金銭面での援助も絶たれて、すべての面で万事休すとなり、土地や資産の売却を余儀なくされ、どんどん没落して行くだろうことは容易に想像できます。

それが”数字落ち”の実体だと思われます。

“数字落ち”は、原作小説や本篇アニメに登場する人物では下記が確認されています。

★市原鈴音:一花 → 市原

第一高校生三年生で生徒会会計。いつの世の一花家が市原家が”数字落ち”し、そしてその理由も不明ですが、他人の身体の自由を奪い、魔法で操ることが禁じられていることから、一花家が得意とするその魔法が原因となったと考えられます。

事実、原作小説「横浜騒乱編」では鈴音は大亜連合工作員の人質にされますが、その後、工作員の身体の自由を魔法で奪って危機を脱しています。

そしてその驚くべき点は、その魔法行使にCADを用いないことです。

★名倉三郎:七倉 → 名倉

第一高校生徒会長で十師族の七草真由美の専属ボディガード。数字落ちの理由は、能力の低下のため成果未達成とされています。

具体的には液体を弾丸のように打ち出す魔法を得意とするのですが、その生成弾丸数が少なかったことのようです。

真由美のような遠距離からの射撃ではなく、近接射撃での戦闘を得意としています。原作小説「古都内乱編」では、横浜中華街の顔役である周公瑾との死闘を演じて破れ命を落としてしまいましたが、強力な魔法師であることが描かれています。

★一七夜栞

そして一七夜栞となるのですが、苗字を見ても”一”も”七”も残っていますので、数字落ちの痕跡がありません。

そのため調べ直しましたところ、これは当然のことで栞は第三高校入学と同時に一七夜家に”養女”となっておりました。

栞が生まれ育った実家の苗字は不明で、どのような理由で”数字落ち”となったかは判明しておりません。

ですが、この「第7話 数学的連鎖(アリスマティック・チェイン)」で、モノクロでの回想シーンとして、大きな和風家屋、広い庭園、和服姿の両親が登場しますので、それなりの名家だったのは間違いないようです。

中学時代の栞のあちこち湿布や包帯だらけの原因は家が”数字落ち”してしまったことだと推測できますが、没落してしまったことで(――荒んだ家。喧嘩が絶えない両親)と心の中でつぶやいていたことから、このときのどん底生活が栞の影の部分を産み、無口無表情となってしまった元になったのかも知れません。

今は一七夜の家に住み、愛梨たち友人に囲まれて幸せな日々を送っていると思われますが、”数字落ち”した生家でのどん底生活そのものを忘れることはできるはずもありませんので、そのことが栞に暗い影を落としているのは事実だと推測できます。

2095年現在では、”数字落ち”と言う名称は公式に禁止され、差別用語となっていることから若い世代の魔法師たちには耳慣れない言葉のようですが、第一高校で一科生”ブルーム”、二科生”ウィード”のように禁止されている表現であっても根強く残っていることを考えると、依然”数字落ち”は、それを経験した家と家族にとって、いろいろとツライ言葉のようです。

○金沢魔法理学研究所

旧魔法技能師開発研究所の施設のひとつ。魔法師の魔法力強化のために人体実験をも行っていた悪名高い研究施設でしたが、今現在は半数程度が閉鎖されています(全国に十箇所存在しました)。

そして旧石川県金沢市に存在したのが「第一研究所」です。
ここは「第一研」と言うだけあって、実験が成功した魔法師に”一”の数字が入る苗字を与えました。

一条将輝の一条家、一色愛梨の一色家、”数字落ち”する前の市原鈴音の一花家などがそれになります。
そして「第一研」では、”人体への直接干渉”が研究目的で、対人戦をテーマにした研究を行っていました。

★一条将輝:物体に内包された液体を瞬時に気化させる「クリムゾン・プリンス」の異名の元になった発散系魔法「爆裂」がそれになります。人体の血液だろうがエンジン内のガソリンだろうが目標は選びません。

★一色愛梨:情報では一色家は「体内神経への干渉」とありますが、その魔法のシーンは、まだ第7話では登場しないことから不明とさせていただきます。

★一花(市原鈴音):旧一花家は一色家同様に「体内神経への干渉」との情報があります。鈴音が原作小説「横浜騒乱編」で大亜連合工作員に人質にされた際に使用して、工作員の身体の自由を奪った魔法が「体内神経への干渉」なのは間違いないようです。

そのことからこの魔法が一花家が”数字落ち”させられた原因である可能性が高いです(魔法師界では、人体の動きを操作する魔法を禁じています)。

そして栞ですが、養女となる前の生家が”数字落ち”したことから、元は”数字付き(ナンバーズ)”であったことが判ります。
そのため、”人体への直接干渉”系統の魔法が使える可能性はかなり高いと判断できます。

しかしながら、得意としているのは空間把握能力と演算能力であって、《アリスマティック・チェイン》と、”人体への直接干渉”系統の魔法とは直接の関係はないと思われます。

今回、この「金沢魔法理学研究所」の名前が登場するのは、栞がここで訓練し空間把握能力と演算能力を向上させたと一色愛梨の言葉があったからです。

非人道的な施設だった旧魔法技能師開発研究所の第一研とは異なり、現在は栞のような優秀な魔法師の能力向上に一役買う正しい魔法研究を行っている組織なのが、わかります。


まとめ

●第7話のあらすじ概要

第7話は、九校戦が開幕してから数日が過ぎ、いよいよ一年生だけが出場できる新人戦を舞台にしたストーリーとなっています。

そして今回のタイトルですが『第7話 数学的連鎖(アリスマティック・チェイン)』と、ありますが、優勝候補のひとつとされる国立魔法大学第三高校の一七夜栞が得意とする魔法の名称がそのままタイトル名となっています。

そのことで、栞を中心とした第三高校一年生選手たちと対する第一高校の一年生選手たちの戦いがメインとなっています。

物語冒頭から九校戦となります。

新人戦『スピード・シューティング』女子予選が行われ、一高の北山雫がパーフェクトの得点を叩き出し、予選通過を遂げました。

また、雫の実力を認めた三高の一七夜栞も、パーフェクトの点数で予選通過します

そしてふたりは準決勝で激突します。

最初は栞の方が優勢だったのですが、試合途中で魔法力が欠乏しスタミナ切れとなってしまいます。

ですが雫はまったく疲労の様子がなく、最後まで快調に得点を重ねて最後は逆転で勝利します。

これは、選手の力量差ではなく、雫が使用したCADの性能が勝っていたからでした。このCADは司波達也が調整したものです。

その後、栞は自責の念でホテルの自室の籠もってしまい、愛梨たちが力づけに来てくれても会うこともなく会話らしい会話もしなくなってしまいました。

そして、この栞の物語と並行して、一高の光井ほのかと三高の四十九院沓子のエピソードが繰り広げられます。

間もなく始まる新人戦『バトル・ボード』女子の試合前で、大舞台に弱いほのかが、焦りに焦りまくっていると、この後に対戦する優勝候補のひとりである沓子が、なぜかほのかの緊張を解いてくれる場面があります。

また、沓子が古式魔法の名家出身で水系統の魔法を得意にしていることや、それを知ったほのかがこれまでの特訓の日々のことや、達也が自分だけのために開発してくれた光魔法のことを思い出し、俄然やる気になり、予選を通過できたことなどが展開されます。

一方、引きこもったままの栞に対して、愛梨が再度の訪問をするのですが、やはり栞は自虐的で愛梨と会うことも話をすることもありませんでした。

そしてその後、三高の三年生の水尾佐保が栞の部屋に入り、栞と話をします。

そして愛梨が栞をどん底から引き上げてくれたように、栞も愛梨を引き上げてくれたと言う過去の出来事を交えて佐保は話してくれるのでした。

そして翌日早朝。愛梨が待つ場所に立ち直った栞が向かいます。

愛梨が持つ情報端末の壁紙、そして栞が持つ情報端末の壁紙は、ふたりが出会った日に撮影した同じ写真でした。

 

●見どころは「無口キャラ対無口キャラ」と「JKの友情」

①無口キャラ対無口キャラ

ともに優勝候補である第一高校と第三高校の新人戦女子で最初に激突するのは、『スピード・シューティング』で一高の北山雫と三高の一七夜栞でした。

ふたりは雫の予選後に廊下で出会います。

雫の横には司波達也、栞の横には一色愛梨がいて、4人は2対2で向かい合う形となります。

そこで戦う相手となる雫と栞なのですが、二人とも無表情で無口なキャラとなります。

会話自体はあるのですが、4人とも無言、そして雫と栞は無表情。このシーンはなんともシュールです。

②JKの友情

雫との戦いに敗れた栞は、自責の念と愛梨の期待を裏切ってしまった失意で、ホテルの自室に閉じこもってしまいます。

その後、愛梨と沓子が部屋の前まで訪れて、面会を申し出るのですが、栞は暗い部屋の中から一歩も出ません。

ベッドの上で膝を抱えて俯いているばかりです。

その後も同様で、業を煮やした愛梨は怒りのままに、明日の朝6時までに作戦テントに来ない場合は『アイス・ピラーズ・ブレイク』には代役を立てることを告げるのですが、否定的な反応しかしない栞に「――失望したわ。勝手になさいっ!!」と、強く言い足音高く去って行きました。

愛梨にこうまで言われても、完全に自嘲モードに突入してしまっている栞には、まったく効き目はありませんでした。

ここまで拗らせてしまっているので、もはや自分以外の人たちに思いを馳せるようなことはできなくなってしまっていて、実は愛梨がどれくらい本気で心配してくれているか、などにはまったく気がついていない状態でした。

そこへノックの音がして、三年生の水尾佐保が部屋に入ってきました。

佐保は多くは言いません。ただ、栞が愛梨に見出された、どん底から引き上げてくれたように、愛梨も栞に引き上げられたことを告げます。

佐保は愛梨と幼なじみで、愛梨が一色家のプライド、周りの者たちよりも圧倒的な実力から、自分に見合う相手がいないことで孤独だった幼少時代の話をしました。

そんなとき、中学一年生だった愛梨は『リーブル・エペー(魔法を使用したフェンシング)』の試合で初めて対等に付き合えて互いに切磋琢磨できる栞と言う相手ができたと喜んでいたことを知らされます。

自分が認めた自分に相応しい相手でないと友人にはなれないと言う部分は、愛梨らしい高すぎるプライドですが、正々堂々を信条とした騎士のような愛梨は、こういうときに決して嘘を吐かない性格であることを佐保は子供の頃から知っており、今では栞もわかっている事実です。

「一度負けたくらいで諦めるような魔法師は大成しないよ」

「愛梨は一の家系でいちばんになれないことで諦めたりはしてない」

引用:魔法科高校の優等生 第7話

と、続いて述べられた佐保の言葉は、栞の心に深く染みこんで行くようでした。

翌朝6時。愛梨との約束の時間です。

愛梨は手にしていた情報端末を見ていました。そこには栞と初めて出会った『リーブル・エペー』のときに撮った栞と並んだ記念写真が壁紙として表示されています。

そして、現れた栞ですが、栞は愛梨に自分の携帯端末の画面を見せます。そこには『リーブル・エペー』のときのふたりの写真が表示されていて、それは愛梨と同じで写真でした。

この最後のふたりが同じ写真を大事にしていると言う部分が、ときには笑い合い、ときにはいがみ合う、けれども愛梨、栞の友情は変わらないと言ったすがすがしさが見ていて心地良いです。

 

●ネタバレは「数字落ち(エクストラ・ナンバーズ)」と「金沢魔法理学研究所」

○数字落ち(エクストラ・ナンバーズ)

今回の第7話で、数多く登場し、主役級の大事な役どころになっているのは一七夜栞です。

栞は生家が”数字落ち”してしまったことで荒んだ家庭環境で育ったことが判明します。

“数字落ち”は、成果を上げられなかったり、不祥事を起こしたり、禁忌の魔法に関わったりした魔法師の名家が、その懲罰として苗字に入っている数字を取り上げられ、代わりに読みが近い別の漢字を当てられてしまうことです。

“数字落ち”した家は一門から冷遇され、その後は悲惨な暮らしを強いられることになります。

“数字落ち”の苗字の例は、一高生徒会会計の市原鈴音の市原家が”一花”から”市原”へ、十師族の七草真由美の専属ボディーガードである名倉三郎が、”七倉”から”名倉”へと降格されています。

そして一七夜栞ですが、この苗字には数字が二つも残っていますので、”数字落ち”には見えませんが、それに関してはさまざまな事情とさまざまな人間模様がありました。

○金沢魔法理学研究所

今回の準主役とも言える第三高校の一七夜栞ですが、一色愛梨の言葉によると神業魔法《アリスマティック・チェイン》は栞が「金沢魔法理学研究所」での訓練でもともと素質があった空間把握能力と演算能力にいっそうの磨きをかけた訓練施設になります。

この「金沢魔法理学研究所」は、昔は「魔法技能師開発研究所」の「第一研究所」と呼ばれ、他の研究所と合わせて全国に10箇所ほど存在していました。

そこでは、魔法師の魔法力の強化などの人体実験がされていました。

そして「第一研」では、”人体への直接干渉”系の魔法が研究目的で、その結果、一条家や一色家など”一”が付いた家が誕生した経緯があります。

ですが、現在ではそういう非人道的な研究はされておらず、健全な研究施設となっています。

拙文を最後までお読みくださり、誠にありがとうございました。