魔法科高校の優等生 5話ネタバレ注意!感想やあらすじ、見どころについても徹底解説!

この記事では魔法科高校の優等生 第5話「手出しはさせません」のネタバレや感想、見どころについて解説していきます。

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「魔法科高校の優等生」は「魔法科高校の劣等生」をベースにして主人公を別の人物にして描かれた「魔法科高校の劣等生」のスピンオフ作品(外伝)となります。

原作の小説「魔法科高校の劣等生」は、全33巻にも及ぶ長編小説で、シリーズ累計発行部数は2000万部と、ものすごい数となります。

そしてラノベ界ナンバーワンである電撃文庫の看板作品のひとつとなっています。

そして、《入学編》《九校戦編》《横浜騒乱編》と原作通りに展開される3つの編はアニメ1期、そして次の編である《来訪者編》はアニメ2期、映画用オリジナル作品として公開された《星を呼ぶ少女》は2期の次となる時系列設定として劇場版と多数アニメ化されていることからも判るとおり、大人気作品となります。

”優等生”は世界観、ストーリー、登場人物たちと言った下地はそのままに、本編アニメの主人公である司波達也から、視点を、司波深雪、光井ほのか、北山雫の3人の美少女優等生に変更したことで、本篇とは微妙に異なる展開を含んだアニメとなります。

視点が変わったことで、本篇アニメ主人公の司波達也が居合わせなかった場面が描かれていることも多々あり、本篇の補完の要素と、本篇にはないオリジナルな展開もあるのが見どころとなります。

今回はこの「魔法科高校の優等生」の第5話「手出しはさせません」の感想やネタバレなどをポイントを絞ってご案内しますので見逃さないように読み進めてくださいね。

魔法科高校の優等生 第5話「手出しはさせません」のあらすじ要約


冒頭のシーンは前回の4話「友達」の最後の場面と重なります。

講堂で生徒会長の七草真由美と「有志同盟」との演説会が行われている場面です。

この弁論対決は、大方の予想通りに真由美の圧勝となり、テロ組織ブランシュの下部組織で、そのブランシュに洗脳された二科生たちで構成された「有志同盟」の工作が物の見事に失敗したシーンでもあります。

この同日同時刻、ブランシュの日本支部長である司一の命令で、銃器を装備した多数の構成員たちが魔法科第一高校の柵を乗り越え不法侵入し、小銃、ロケットランチャーなどの武器を構え、校内を制圧するための実力行使を始めました。

いくら魔法が使える生徒が学ぶ高校とは言え、非武装の民間人であるティーンの少年少女相手にやり過ぎに思える作戦でした。

そして今回の第5話「手出しはさせません」が始まります。

光井ほのかと北山雫のふたりは、本棟近くの外で講堂が見える場所にいました。

ほのかは討論会が気になるようなので、雫がそれに誘いましたが、予想される双方の言い争いは見たくないとのことで、討論会への参加は断りました。

ですがその声は弱くて、差別する側される側の溝を自分の力でなんとかしたいけどできない、と言った無力感が漂っていました。まじめで正義感がある、ほのからしい態度だと言えます。

その後、突如に爆発音が校内に響きました。

それは校舎に命中したロケットランチャーの爆発で、すぐに爆煙が立ち上がります。

そしてそれを合図に大勢のテロリストたちは、銃を撃ち、手榴弾を爆発させて、と、学校側、生徒側からの抵抗がないのをいいことにやりたい放題でした。

そしてほのかと雫ですが、爆煙に囲まれ、もうもうとした煙によって周囲の視界が封じられます。

このあまりにも非現実的な光景となってしまった惨状に、まるで理解が追いつけません。

これは仕方が無いことで、地球の総人口が半分以下に激減した第三次世界大戦終了から、すでに30年が経過しており、ほのかも雫も完全なる戦後の平和な時代生まれなので、こういう砲火が飛び交う戦場に出くわすのは初めてなのです。

そのことから、爆発音と爆煙は理解できても、自分たちが今、この瞬間に、どう言う状況下であり、まずはなにから始めるべきなのかを判断できないのです。そのためただ立ち尽くしていました。

「……なんなの、これ?」と、ほのかがつぶやくのは無理ありません。

そして雫が「……いったいなにが?」とつぶやいた時でした。

雫が視界に入ったなにかに注視すると、そこには3人のブランシュ構成員、つまりテロリストたちがいました。

テロリストたちは、雫とほのかを視認すると、ふたりはコンバットナイフを持ち、残るひとりは小銃を抱えた姿勢で走り寄ってきます。

それがどう意味なのか、と今度は正しく理解できた雫は、驚きと恐怖のあまり立ち尽くす、ほのかの腕を取り走り去ろうとしますが、ほのかは足がすくんでしまい動けません。

そこへナイフが迫り、思わず目をつむるほのかでしたが、目前でテロリストのひとりが魔法で弾き飛ばされます。

魔法を放ったのはエイミィでした。エイミィは小銃型のCADを使い、後続のテロリストたちや周囲に展開していたテロリストたちも魔法で追い払います。

「狩猟部のCAD、借りちゃったぁ!」と得意気な顔で言うエイミィです。

エイミィが使用した魔法は圧縮した空気を高速で放つ風系のようです。そして人間を吹き飛ばす攻撃力はありますが、このCADには皮膚を裂いたり貫通したりする威力はないため、殺傷能力はないようで、そのことからエイミィは遠慮なくぶっ放したのだと思えます。

通常CADは用途によって威力の調整が可能ですが、エイミィが借りてきた小銃型のCADは競技用のため、殺傷能力までの威力は出せないようにリミッターが付いているのだと考えられます。

補足となりますが、先日、司甲を追っていて路地裏に誘い込まれたとき、ほのかたちがブランシュの構成員4人に襲われた事件がありました(魔法科高校の優等生 第4話「友達」)。

このときは、ほのかは足がすくむことはありませんでした。それは前回と今回では条件がまったく異なるからです。

それはCADの有無の差でした。

路地裏のときは放課後の校外なのでCADを装着していましたが、今回は校内であることと、下校時間にはまだなっていないことでCADは学校に預けてあるのです。そして、風紀委員でもないほのかはCADの装着が認められておりません。

そのため、規格外である深雪とは異なり、CADなしでは身を守るための魔法が使えない無力さを悟ってしまったことで、大の男でしかも武装したテロリストたちが迫ってきたために、恐怖で心が折れてしまったのだと思われます。

ですが、いち早くこの異常事態に気がついたと思われるエイミィは、おそらく手近にあった狩猟部の競技用CADを現地調達したようです。

ですが、あらかた掃討したあとに「……なんなの? コイツら」と言ったことから、敵の正体を見抜けず、敵の数や目的も確認できなかったにも関わらず、押っ取り刀でほのかと雫の助けに向かったのは友達思いとも言えますが、後先考えない直情型なエイミィらしい、とも言えます。

周囲にテロリストたちが視認されないことから、とりあえず安堵する、エイミィ、ほのか、雫の少女探偵団の3人ですが、そこへ煙の中から手榴弾がこちらに転がってきました。

視界が効かぬ状態の今に、かなり有効な攻撃方法でした。

とっさのことで避難できない状況でしたが、雫が物理防御のバリア魔法を使うことでギリギリ間に合いました。

至近距離での手榴弾の爆発に巻き込まれれば、まず死にますし、良くても五体満足ではいられません。

そのことから、雫が防げなかったら、3人ともに死亡と言う大惨事になりかけるところでした。

残酷なようですが、それが戦争に使われる兵器と言うモノなのです。

手榴弾の爆風で、辺りの煙が晴れ、周囲にテロリストたちがいないことで、ほのか、雫、エイミィの3人はようやく安堵できました。

そして、ほのかが改めて自分の無力さから、俯いてしまうのですが、雫が、そんなほのかに声をかけます。

「……大丈夫。私も怖かった。……ほのかが危なかったから体が勝手に動いただけ」

すると、エイミィも言います。

「……私だって、怖かったよ。相手は武装してるし、殺傷能力がないとは言え、人に向かって射撃なんて始めてだったし」

そんなふたりの言葉に、ほのかは怖かったのは自分だけじゃなかったこと、ふたりが『友達を守りたかった』の一念だけで動いてくれたことを知ったほのかは、「ありがとう」と言い、そしてようやく笑顔を見せます。

ですがこの笑顔はふたりに対して見せたお礼でした。

そして「落ち込んでいるだけじゃダメだよね。次は私も……」と、俯いて泣きそうな顔で悲壮な決意をするのでした。

そして場面は同時刻の講堂内となります。

講堂では生徒会長の真由美と『有志同盟』との討論会は、真由美の圧倒的勝利で、すでに終わっていました。

ですが、その終了とほぼ同時に校内へ侵入したブランシュのテロ攻撃が始まり、それに呼応して講堂内にいた『有志同盟』が、なんらかの(キャストジャミングと思われる)実力行使を試みようとしたようですが、風紀委員長の渡辺摩利の指揮の下、すでに取り押さえられていたシーンとなります。

このシーンは本篇アニメ(魔法科高校の劣等生 入学編第5話)の方が詳しく描かれており、校舎の爆発と同時に『有志同盟(本篇アニメでは「エガリテ」と呼称)』の構成員たちが一斉に立ち上がり行動を起こそうとしたところ、適切な位置に配されていた達也たち風紀委員メンバーが、摩利の号令の下に有志同盟全員を取り押さえます。

これでこの場に限っては一件落着と思いきや、講堂の窓ガラスを破って発煙弾が講堂内に入り込んで来ます。

煙を出すガス弾なので、爆発こそありませんが、内部にいる生徒たちの行動の自由を奪う催涙ガスなど可能性が高いため、緊急に対応しなければならないところだったのですが、生徒会副会長の服部刑部が、発生したガスを収束系統魔法で抑え、そのガスごと発煙弾を移動系統魔法で外へとはじき出すという離れ業を見せてくれます。

また、風紀委員長の摩利がテロリストたちを気体操作の魔法で昏倒させるシーンも見所になります。

これらのシーンは本篇アニメ「入学編第5話」で見ることが出来ます。

そして講堂内で行われた捕り物劇の次の場面となります。

爆発が起こった実技棟方面へと駆け足で向かう達也と美雪ですが、ふたりの目の前にほのか、雫、エイミィの3人がいました。

3人は失神させたテロリストたちを地面で押さえ込んでいるのですが、その様子から魔法使用でどんどん倒したと思えます。

ここでなにか大変なことが起きたと気づいた深雪は「みんな、これは……?」と尋ねるのですが、エイミィは「訊きたいのはこっちの方だよ。なんなのコイツらっ!!」と語気も荒く気を失っているテロリストをドスンと地面に突き放します。

怒りに身を任せるエイミィですが、いつもの明るくて笑顔が似合うエイミィと同一人物とは思えないふて腐れ方です。

そして突き放されたテロリストの向こうには何体もの意識のないブランシュ構成員たちの身体が横たわっていました。

3人のことなので死なせてはいないのでしょうが、その光景は死屍累々と言う言葉がいちばんぴったりな陰惨なながめで、ここが本物の戦場だったことが伝わってきます。

そしてほのかと雫もいつものふたりではなく、顔には明確な怒りがあり、それをなんとか押さえ込んでいると言った表情です。

勝手に乗り込んできた謎の連中に我が物顔で学校が破壊され、自分たちも殺されそうになった理不尽に納得ができないと言う感じです。

この『少女探偵団』の3人は、この場の戦いに勝利したのです。ですが、そこには勝ち鬨はなく、あるのは顔や服が汚れていることにも気づかずに、ただ憤っている少女たちでした。

そして、その3人を見た深雪は、身が震える程の激しい怒りを感じていました。

ようやく見つけた自分の居場所である魔法科高校、そして出会った親しい友人たち。

それらを傷つけた相手に憎悪し、このままだとひとりで敵討ちに行きかねない雰囲気でした。

それを達也が「深雪、落ち着け」と肩に手をやります。ですが深雪は「ですがっ!!」と反論します。

達也の言いつけを守らないなど、深雪にはあり得ないことですが、それだけこの事態に怒りを抑えきれないことが伝わります。

そして達也はさらにほのか、雫、エイミィに向かって、「3人とも、ここは危険だ。生徒会の誘導に従って早く避難した方がいい」と、現実的な行動方針を伝えるのですが、驚いたことに雫が強い意志で発言します。

「質問に答えてもらってない。この人たちはなんなの? いったいなにが起こっているの……?」

積極的に発言することでさえ珍しい雫ですが、それ以上に達也の提案に対して拒否に近い態度を取るのは意外中の意外です。

雫にとって、この事態にここまで関わってしまったからには、これ以降は安全地帯で守ってもらうのではなく、最後まで関わりたいと言う強い意志の表れだと思えます。

その雫の発言を受けたことで達也は判断し、真実を伝えることにしたのです。

「そいつらは恐らく、反魔法国際政治結社ブランシュ。有志同盟もその仲間だ。そして俺を襲ったヤツも……」

この達也の発言で3人は声を合わせて「ええっ!!」と驚きを口にします。

「ほのかたちの行動には気づいていた。すまない、危険な目に遭わせてしまって」と謝罪も合わせて告げました。

達也が最初に生徒会に従って避難することを勧めたのは、3人に情報を与えすぎることで危険に巻き込まれることを配慮したからです。

3人は非魔法師が相手であれば、まず負けません。この場の地面に意識を刈られて横たわる死屍累々(死んではいませんが……)を見ればわかることなのですが、これらのテロリストたちは銃とナイフだから対抗できたに過ぎないのです。

そのことからここで避難をしなければ、これから先に魔法師対策(キャストジャミング)がしっかりとできているチームと鉢合わせしてしまったら、先日の路地裏での戦いの二の舞になるのは、簡単に理解できることで、達也はとうぜん深雪からその詳細は聞かされていることから、安全策を提案したのだと理解できます。

そして、自分や深雪であれば、キャストジャミングは効かないが、自力で対抗できない3人は、正直足手まといで、もし捕まったりしたら人質にされかねないことも理由だと思います。

達也の発言を受けて、ほのかは理解します。

「じゃあ、今起きていることはぜんぶ……」

雫も疑問が解消され、納得できたことで吐き捨てるように言葉を発します。

「自分たちの意見を押し通すために、こんなことをっ……!!」

つづいてエイミィも怒りを浮かべたまま、

「意味わかんないっ!! こんな形で主張しても、なにも変わらないよっ!! こんなの絶対間違っているっ!!」

目を伏せ、つぶやくようにほのかが言います。

「ちゃんと伝わるのに……。成績や才能なんかじゃ計れない大切なモノ。私たちは同じ一高の生徒だもん。……なのに、……どうして」

ほのか、雫、エイミィたちの言葉を受けた深雪は右手をスッと上げ、あちこち汚れてしまった顔や手、そして制服に清浄の魔法を使います。

そのことで3人はまっさらでキレイになり、このような生活用魔法まで使える深雪を改めて驚くのでした。

この魔法を使ったのは、目の前の3人が汚れているからもありますが、それ以上に、この大切な友人たちが二科生を見下すことなく、一科生も二科生も同じ学校の仲間であると言う良識を持っていることが嬉しかったからだと思われます。

そのことから、深雪は「今の言葉、七草会長が聞いたら喜ぶでしょうね」と、満面の笑みで応えるのでした。

そして達也が走り去り、深雪も「あとは私たちに任せて」と、伝えると達也を追う形で駆けて行きました。

当初の目的地であった実技棟方面に向かって走る達也と美雪がいます。

そこで達也にしてはとても珍しい発言をします。

「深雪、俺たちは幸せ者だな。価値観に縛られない友人と、尊敬できる先輩たち。どちらも求めて得られるものじゃない」

「ええ、そうですね。私はこの学校に入って本当によかったです」

と、深雪も心の底からの感想を述べるのでした。

それは深雪にとって、魔法師だからと言って色眼鏡で見られることもない、周りがすべて魔法師だけの居心地の良い学校。そして得がたい友人と先輩たち……。

中学時代までの深雪には、ともになかった特別を与えてくれるこの国立魔法大学付属第一高校は、どうしても守りたいモノとしてなくすことができない貴重な存在となっていたのが窺えます。

達也がそんな深雪の言葉を聞いて尋ねます。

「壬生先輩たちには、そういう人はいなかったんだろうか……?」

「……いるはずです。……壬生先輩にも、有志同盟の人たちにも。ほのかの言うとおり、大切なモノはちゃんと伝わるはずですから」

「そのことに気づいてくれればいいんだが……」

「気づいてほしいです。自分を本当に傷つけているモノは、外からの差別ではないことに……」

達也は高い知性と高い精神年齢から、知らないこと、判らないことが、ほとんどありません。

そのことから、他人に教えを請う機会など、まずないのです。

そんな達也が誰かに尋ねるシーンはとても貴重です。

ですが、相談相手が妹の深雪なので構えることもなく質問できたのかも知れません。

その後、シーンは講堂前となります。

そこでは風紀委員たちが、一般生徒たちの避難誘導を行っておりました。

そんな場所にたどり着いたほのか、雫、エイミィの3人ですが、そこで風紀委員として生徒たち群衆を誘導している森崎を見つけました。

森崎は、その群衆に対して適切な言葉と適切な手振りでキビキビとしていました。

それを見たほのかと雫ですが、いつもと違う態度には感心したものも、やはりいつもの日常に戻ったら、今のキビキビ森崎ではなく、以前の不遜な森崎に戻ってしまうだろうと、辛口の評価をしていました。

そこでエイミィが、「ああっ!!」と叫び、とんでもないものを見つけます。

それはブランシュの構成員たちとともに、駆け足で逃亡を謀る司甲の姿でした。

甲は5名のテロリストたちと、サクラ咲く並木道の向こうにある校門を急いで目指しているのがわかります。

ほのかが厳しい表情になり、「司甲っ!!」と、呼び捨てにすれば、エイミィも同じく厳しい顔で、「逃げる気だよ、追いかけようっ!!」と、提案します。

そしてただひとり平常心顔の雫が、「うん。だけどその前に……」と、なにやら含みのあるセリフを口にします。

そして全力疾走の連続だったのか、息切れした甲とテロリストたちがサクラの木の下で休憩をとっていると、「司せーんぱいっ!」と、なにか裏がありそうな不敵な笑いで声をかけるエイミィと、同じく意味ありげに含み笑いをするほのか、そしていつもの平常運転で無表情の雫がいました。

エイミィは続けます。

「もうぉお帰りですかぁ? そこの怪しすぎる人といっしょにぃ?」

小馬鹿にするような口調で、完全に挑発しています。

その言葉に休憩していたテロリストたちは銃を手に立ち上がりますが、そんなことは当然予想できることから、すでに術式展開していたほのかが閃光魔法で視力を奪います。

そしてほのかの魔法と連携させた雫は移動系魔法でテロリストたちを宙に舞わせ、そこへこれまた見事な連携でエイミィが得意とする対象が例え大きな質量だったとしても高速で動かせる移動系魔法で、テロリストたちをサクラの幹に叩きつけ、意識を刈りとりました。

これで勝負ありです。

たったひとり残った甲は、この事態の展開に怒り心頭です。

「……この学校は、いや、この世界は腐ってる。魔法によって人間の優劣が決まる世界など、俺たちブランシュは断じて認めないっ!!」

と、捨て台詞を吐き、魔法を使っての高速移動で、この場を去って行きました。

この司甲も本篇アニメで、校内テロリストのまとめ役と言う同じ立場で登場します。

ですが、ここまで狂信的ではなく、もう少し知的で控えめな印象でした。

そして原作小説「魔法科高校の劣等生(14)古都内乱編〈上〉」では、このテロ事件の結果、甲は魔法科高校を退学し、その後親戚を頼りに奈良の神社で神職目指して修行中の身として登場し、母親の再婚で苗字が(司)となったが、ブランシュ事件があったことで旧姓の(鴨野)に変更していました。

そして達也に事件のことを謝罪する物静かな青年として描かれています。

甲はブランシュの洗脳も解けたことで、憑き物が落ちたと言った印象でした。

そのことで、義兄による洗脳さえなければ、甲はふつうの高校生として平穏な日々を過ごせただろう、と思い、改めて同じ考えを強要し、他人の人生までも破壊する『洗脳』と言う行為は、はっきりと悪魔の所業だと言えると思います。

ですが”優等生”で登場する甲は、原作小説や本篇アニメよりもずっと攻撃的で狂信的です。

義兄である司一から洗脳を受けているからと言うよりも、素のままでブランシュや義兄を信仰している熱狂的な信者と言った印象を受けます。

これはシリアス展開で複雑にからむ人間模様である本篇アニメとは異なり、ほのぼの要素が強い”優等生”において、複雑さをなくしシンプル展開を狙ったことで、勧善懲悪要素を意識した結果、甲が組織や義兄に狂信的な悪者役としたのでは、と推察できます。

そのことから、ほのかたち3人に叫んだ「魔法によって人間の優劣が――断じて認めないっ!!」と魔法全否定宣言しているそばから、自分が魔法を使って高速で走り去ると言うこの行為自体を『矛盾だと思わない』ブランシュと言う組織のお里が知れます。

こういうダブル・スタンダード(二枚舌)行為は、テロ組織などによく見られる行動で、すべての人たちの平等を目指すと言うのは建前で、暴力で権力を奪い、自分たちが奪ったその権力に成り代わりたいことこそが本音であるのは、よくあることです。

その甲ですが、ほのかたち3人を振り切り、校門まであとわずかの地点まで来たのですが、そこには風紀委員の辰巳鋼太郎(たつみ こうたろう)と沢木碧(さわき みどり)が待ち伏せていました。

辰巳「光屈折魔法で、お前さんの映像をリアルタイムで送ってくれた生徒がいたんだ」

沢木「見てましたよ。テロリストと仲良く逃げようとしているところから、……すべて」

これは誰が見ても明らかに、ほのかによる光系統魔法の能力に間違いありません。

この辰巳たちに見せたように離れた場所へリアルタイム映像を送る行動は本篇アニメの2期「魔法科高校の劣等生『来訪者編10話』で、森の夜道を歩くパラサイトたちの動向を監視しするために使用されています。

また、余談となりますが、ほのかは光を屈折させて『見えなくする』ことが得意なことで、

”優等生”の3話「少女探偵団、始動よ!」では見えない壁を作り『新入部員勧誘週間』で暴力一歩手前の激しい勧誘をしてくる先輩たちから身を隠したり、本篇アニメ「魔法科高校の劣等生(横浜騒乱編25話)」では、深雪やエリカたちを救助する自分たちが乗っているヘリコプターの機体を不可視にして、テロリストたちに見つからないようにしています。

ほのかは攻撃魔法は不得意のようですが、こういう光を使った支援系の魔法は得意中の得意で、優秀な支援魔法の使い手と言えます。

話は”優等生”に戻ります。

映像と言う動かぬ証拠で、甲は万事休すです。

そのため目の前の風紀委員ふたりの間を素早くすり抜けようと魔法を発動させますが、マーシャル・マジック・アーツ部所属である近接戦闘の猛者の沢木の技であっさりと倒されました。

そしてそこへ追いついたほのか、雫、エイミィの3人は辰巳にお礼を言われ、「ヤッタァー!!」と、ジャンプしながらのハイタッチで笑顔に包まれます。

これで司波達也襲撃犯を捕らえると言う「少女探偵団」の任務は完遂したこととなります。

そしてここから、ダイジェスト版が始まります。

語り手として、部活連会頭で十師族の十文字克人、生徒会長で十師族の七草真由美、そして最強のお兄さまである司波達也。

この3人で校内で起きたブランシュによるテロ事件が、現場での静止画を交えながら説明されます。

克人「有志同盟はすべて確保。校内に侵入したテロリストの残党も退却した」

真由美「やはり敵はブランシュ……。でも、なぜこんな大規模な行動を?」

達也「これはすべて囮です。ヤツらの真の目的は魔法大学が所蔵する機密文書を盗み出すこと」

ここで静止画像は校内図書館でのシーンとなり、壬生紗耶香がテロリストたちと同行していたことや、千葉エリカとの戦いで敗れる場面が流れます。

これらのシーンは本篇アニメ「魔法科高校の劣等生(入学編第6話)」を見ることで、この”優等生”アニメではわからなかった部分がすべて判明します。

そしてここまででダイジェスト版は終わります。

そして場面は校内テロ事件が終わった直後の保健室となり、ベッドには負傷した紗耶香がいます。

そこで、紗耶香の思考がいつのまにか狭量となり、一科生、風紀委員会、部活連、生徒会、学校を憎み『敵』と認定してしまったのことや、記憶違いで摩利を逆恨みしていたことなどが判明し、紗耶香自身の『洗脳』が溶ける魔法科高校シリーズの名場面のひとつとなります。

その後、この事態の”今後”が話し合われます。

紗耶香のベッドを挟む形で、ここに居並んでいる者たちは、魔法科第一高校の戦力として、くしくも最強に近い布陣となっています。

今、ここにいるのは怪我人の紗耶香を除くと7人となります。生徒会長の真由美、部活連会頭の克人、風紀委員長の摩利、達也と美雪の司波兄妹、そして、エリカ、レオです。(服部刑部や沢木碧、吉田幹比古、十三束鋼など他にも強者はいることはいるのですが……、割愛いたします)

摩利「壬生や司たちは利用されていたってことか。……卑怯な」

深雪「今回の事件、首謀者は先輩たちではありません。扇動されていただけです」

達也「首謀者を潰してしまえば、壬生先輩たちを不問にできるのではないでしょうか?」

エリカ「それってまさか?」

レオ「ブランシュを叩くってことか?」

真由美「無茶よ、そんな……」

摩利「相手は政治結社なんだぞ」

克人「司波。勝算はあるのか?」

達也「……はい」

真由美「十文字くん!」

深雪「これはもはや他人事ではありません。私たちはもう、この事件の当事者ですから」

達也「俺と深雪の平穏な日常を脅かすものがあるなら、……俺は全力で叩きます」

と、このシーンの最後は達也が締めるのですが、ふだんは感情をあまり表に出さない(四葉の術で感情を出せなくなっている)のですが、深雪に関わることだった場合は別であることから、このときばかりは強い決意の顔、つまりホントの怒りでした。

そして場面は軍用大型四駆車でブランシュのアジト(日本支部)に向かっているシーンとなります。

運転しているのは、三年生の克人、そして同乗しているのは二年生の桐原武明、一年生の達也、深雪の司波兄妹と、エリカ、レオです。

本篇アニメ(魔法科高校の劣等生 入学編第6話)では、この人選でひと揉めありました。

達也がこちらから打って出ることを宣言すると、当然のように深雪はお供すると意思表明し、つづいてエリカとレオも同行する意思を示します。

そして、十師族の一員として、そして魔法科第一高校の生徒としても、この事態は看過できないのを理由に克人も参戦を表明します(克人は運転手としての理由も有)。

すると真由美も「じゃあ……」と参加を希望しかけますが、この状況での生徒会長の不在はマズイとの指摘が摩利からあり、真由美はしぶしぶ了解したものの道連れとばかりにテロリストの残党がまだ校内に隠れている可能性から風紀委員長の摩利の参戦にダメ出ししました。

戦闘での火力を考慮すれば、遠距離から精密射撃魔法の使い手である真由美と、対人近接戦闘の達人である摩利は、相手の正確な人数、武装などがわからない以上、ぜひとも必要な戦力なのですが、生徒会長、風紀委員長という重い役職が不在になるという事態は避けねばならないので仕方のない選択でした。

また、この病室での会議にはいませんでしたが、廊下でこのやり取りを静かに聞いていた者がいました。

それが二年生剣術部の桐原武明でした。

そして武明は、出発寸前のクルマの前で克人にブランシュとの戦いでの参戦を直訴しました。

紗耶香のキレイな剣を、なまくらな剣に汚染し、テロ行為に利用したヤツらが絶対に許せないと言う強い意志を示したことで同行を認められました。

武明の紗耶香に対する”愛”。それは男を賭けるに値すると認めた男気あふれる克人らしい判断でした。

これらが病室での会議に不在だった武明が攻撃隊に参加している理由です。

”優等生”に戻ります。

クルマはアジト(放棄された工場跡)に到着しますが、当然、門は閉まっています。

ですがレオが硬化魔法で車体を硬化させたことで、車体を壊すことなく金属製の大きな柵をそのままぶち破ることができたのでした。

そしてその後は魔法科第一高校の生徒たちが、2人ずつ3つのチームに分かれて行動し、戦闘が始まります。

ですが、”優等生”では、このチーム分けや配置について割愛されてしまっているので、ご説明いたします。

本篇アニメ(魔法科高校の劣等生 入学編第7話)でのシーンとなります。

チーム分けと配置は車内で決まりました。克人が「司波、お前が考えた作戦だ。お前が指示を出せ」と言ったことで達也がチーム分けと各チームの配置を行いました。

達也「レオ、お前は退路の確保。エリカはレオのアシストと逃げ出そうとするヤツに始末」

これでレオとエリカのチームが決まり、ふたりは敷地内で建物の外を担当することになりました。

達也「会頭(克人のこと)と桐原先輩は裏口を回ってください。俺と深雪は、そのまま踏み込みます」

そしてこのセリフですべてのチーム分けと配置場所が決定しました。

克人と武明は建物の裏手を担当し、裏側からの侵入となりました。

そして司波兄妹は攻撃隊本体として小細工なしの正面からの進軍です。

このシーンの後、クルマごと鉄柵をぶち破って侵入するところは”優等生”も同じです。

”優等生”に戻ります。

クルマ突入後に、いきなりの戦闘シーンとなります。

悲鳴が響き、打ちのめされたブランシュのテロリストたちが転倒します。相手は武明でした。手にする日本刀で敵を無力化して行きました。

そこでブランシュ側は小銃(もしくはサブマシンガン)を連射して応戦しますが、そこに克人がいることで、まるで効き目がありません。

克人が展開している魔法はもちろん十文字家が誇る鉄壁防御「ファランクス」でした。

場面は屋外へと変わります。

こちらでもブランシュ側は大勢で銃を乱射しながら突撃して来ますが、硬化魔法を得意とするレオには小銃やサブマシンガンで使用されるような小型の銃弾など効きません。

次々とテロリストたちを殴打し倒していきます。

そしてエリカも仕込み杖型の特殊CADで、テロリストたちを倒していきました。

レオもエリカも、この攻撃隊に志願しただけあって、銃器をまったく恐れません。

本篇アニメでも、この”優等生”でも触れていませんが、ふたりは明らかに戦いに場慣れしているのがわかります。

それは発砲される銃に怯まないだけの胆力を持っていることからもわかりますが、それだけでなく、高速で動く標的に対する銃器の命中率の悪さまでもをわかっている上での冷静な判断で動いています。

レオもエリカも30年前に終わった第三次世界大戦で戦ったことは絶対にないですし、戦後の西暦2095年の日本で実弾が飛び交う場面は一般人には全く縁のない環境です。そのことから、ふたりの明らかにされていない過去に、このことを解く鍵がありそうです。

ここで補足となります。

レオとエリカの、このブランシュのアジト殲滅戦においてですが、本篇アニメとは異なった内容となっています。

本篇アニメ(魔法科高校の劣等生 入学編第7話)ではレオとエリカはまったく戦っていません。ふたりとも達也の指示通りに屋外で退路を確保し、逃げ出すブランシュの構成員たちを始末するために配置についていたのですが、ブランシュ側からの攻撃がまったくなかったのでした。

夜。すべての作戦が完了し、警察が到着し捜査が始まったときでした。レオとエリカは合流した深雪と3人で警察の邪魔にならないように建物際に立っていました。

レオ「――これでぜんぶ終わりか……。あっけないな」

エリカ「せっかく来たのに出番なかったわね。つまんないの」

と、どう見ても残念がっているのがわかり、レオもエリカも似た者同士の脳筋で戦闘狂なのが伝わってくる場面でした。

”優等生”に戻ります。

工場跡内の広い空間に深雪と達也が立っていました。そしてその前には大勢のブランシュのテロリストたちが銃を構えています。

そこへ深雪が凛とした声で告げます。

「ブランシュ日本支部リーダー、司一。……あなたの目論見はすべて露見しています。観念しなさい」

一は動揺を隠しきれない表情で立っています。そしてその背後には深雪と達也に銃口を向けるテロリストたちが照準を定めようとしていると、突然に小銃が分解してしまい、各部を構成していたパーツ類は足元にバラバラと落ちていきました。

これはもちろん達也の分解魔法です。実体のない魔法ですら分解可能な能力ですので、部品で構成された銃器など、バラすのは余裕です。

ただこれは重要な意味を持ちました。

司波兄妹に対して圧倒的な数の差を活かし、一斉射撃で返り討ちを企んでいた一の作戦が水泡に帰してしまい、もう反撃手段がないことを意味しているからです。

「……なせだ? なぜ、私のイビル・アイが効かない」

深雪と達也に問うと同時に自分自身にも問いただしているような一のセリフです。

そしてそれの正解を教えるように深雪が伝えます。

「手品まがいの催眠術。あんなものがお兄さまに通じると思っていたのですか?」

「大方、その小賢しい手品で、壬生先輩の記憶もすり替えたんだろう――風紀委員や一科生への偏見の強さも、すべてこの男、司一の仕業だ」

と、達也が分析し、一こそが紗耶香を洗脳した張本人だと断言しました。

「……この、ゲスどもっ!!」

可憐でおしとやかなと称される深雪が口にするとは思えない、激しい罵倒でした。

ブランシュ、そして一のあまりもの外道な所業に、一気に激激オコになってしまったのです。

この深雪の形相を見た一は、部下たちを残しあたふたとひとりで奥へと逃げ去りました。

ここで補足となります。

司一が口にした「イビル・アイ」とは、一が得意とする洗脳魔法です。

そして一は達也にイビル・アイがまったく効かないことで驚愕していますが、これにはもちろん、この”優等生”では割愛されたシーンが存在します。

ここで補足のために本篇アニメ(魔法科高校の劣等生 入学編第7話)でのシーンをご案内いたします。

それは達也と美雪のふたりがブランシュの連中が待ち伏せしている大きな空間を持つ部屋でした。ここに一たちがいるのは達也の探知魔法ですでにわかっていたことでした。

そこにたどり着いた達也、深雪に対して一が芝居がかった大げさな身振りを交え、歓迎の言葉を述べます。

「ようこそ、はじめして司波達也くん。そしてそちらのお姫さまは妹さんの深雪くんかな?」

このように一は、慇懃無礼な演技をつづけました。

ですが、その本意は別にありました。

その後、突然に一はかけていた眼鏡を取り、頭上高く投げました。そして「司波達也、わが同志になるがいい」と叫び、前髪をかきわけ達也と視線を合わせて魔法を行使したのです。

これが「イビル・アイ」でした。

達也が言葉を発します。

「意識干渉型系統外魔法『イビル・アイ(邪眼)』と、称してはいるが、その正体は催眠効果を持つパターンの光信号を明滅させ、相手の網膜に投射する光波振動系魔法。単なる催眠術だ」と分析が完全に完了しました。

そしてイビル・アイが効かないことに衝撃を受けている一に対して、眼鏡を投げる芝居じみた所作は、もう片方の手で一がCADを操作していることから注意をそらすためだと看破し、放たれるのが魔法であれば分解(術式解体〈グラム・デモリッション〉と思われる)できると種明かしをしました。

ここで”優等生”に戻ります。

そして、深雪が一に宣言した「ブランシュ日本支部リーダー、司一。……あなたの目論見はすべて露見しています。観念しなさい」に繋がります。

一は部下のテロリストたちを残し、ひとりで去りました。

「お兄さま、追ってください。ここは私が……」

「わかった」

そう、言葉を残し達也はゆっくりとゆっくりと歩を進めます。

そして進路上にいるテロリストたちは恐怖から身を引き、達也が通れる通路を作ります。

まるで、モーゼの十戒で海が割れるように……。

その中のひとりのテロリストが、不幸にも恐怖に耐性があったようで、無防備に背中をさらす達也を刺殺しようとコンバットナイフを腰だめにして向かいます。

ですが深雪が放つ高難度魔法である振動減速系広域冷却魔法〈ニブルヘイム〉でナイフごと一瞬で氷漬けとなり、倒れました。

その間、達也や歩を緩めたり、振り返ったりは一切しません。

元々ナイフ男の動きなど、完全に察知し分析したことでまったく脅威を感じていない上に、背後にいる深雪の力を十分過ぎるほど知っており、厚い信頼をしているからです。

「愚か者。私がお兄さまに向けられた害意を見逃すことなどありません」

深雪は感情を押し殺したような淡々とした声で、そうテロリストたちに告げます。

そしてテロリストたちは、唖然としています。

いくら魔法科高校の生徒とは言え、ただの少女にこれだけの戦闘力があるとは思ってもみなかったかも知れません。

「ほどほどにな。この連中に、お前の手を汚す価値はない」

達也は、コツコツと硬質の床に靴音を響かせて去って行きました。

そしてここで、今回のサブタイトルでもある深雪のセリフが登場します。

「そこから先はお兄さまの戦いです。手出しはさせません」

”手出しをさせません”その言葉が意味することは、これからののちの深雪により告げられます。

ですが今は……、深雪は宣言通りに達也の方へとつづくテロリストたちの背後に背丈よりも高い氷壁を一瞬で作ります。

これは達也を追えぬようにするともに、テロリストたちを逃さないようにするためです。

「……ば、化け物」

狼狽えたテロリストのひとりが思わずつぶやきました。

「……あなたたちには判らないでしょうね。化け物と恐れられるような強大な力を持たされた者の想いなど……」

そして深雪を化け物扱いした男は、恐怖を抑えきれなくなり、思わず拳銃を深雪に向けてしまうのですが、今の深雪には容赦はなく、拳銃ごと右腕を凍らせました。

この深雪が口にした”強大な力をもたされた”と言う言葉は、ここにいるテロリストたちには理解不能なワードです。

そして深雪はそれを彼らに説明する気はさらさらありませんし、理解できないことも深雪は十分に心得ています。

ではなぜ、それを口にしたかと言うと、「魔法科高校の優等生 第4話(友達)」で、ほのかと雫とエイミィの少女探偵団が、ブランシュの構成員たちに殺されそうになり、それを深雪が助けたシーンと繋がるからです。

捕縛した構成員のひとりから深雪は”化け物”と呼ばれました。

自分が他人、特に非魔法師から”化け物”扱いをされたことは過去に何度もあったことですが、それでも自分は人間でありたいと思い続けている深雪には、悲しくツライことなのは容易に想像できます。

しかもこの圧倒的な魔法力は自らが望んだ能力ではなく、四葉家に持たされたものなのです。

兄の達也が四葉家の魔法能力実験体として”分解と再成”の魔法以外は”魔法演算領域”に占有されていることで、他の魔法が使えないのと同様に、深雪も四葉の手にかかった調整体で、しかも既存の調整体の欠点をすべて克服した技術を基に作られた”完全調整体”であり、決して自分が望んで得たわけではなく、無理矢理植え付けられた力です。

そのことから深雪自身も自嘲して、自分が”化け物”であることを理解していると推測できます。

つまり、深雪は自分自身のことをいちばん怖がっているのだと思います。

「私はこの日常が好きです。お兄さまがいて、ほのかやエリカたち、すてきな友人がいて、生徒会長のように尊敬できる先輩方がいて、みんなが笑顔でいられる、この当たり前の日常が大好きです。――そんな日常を守るために、お兄さまは戦っているのです。そしてお兄さまが守りたいと願うものを私も守っていきたい。だからそれを壊そうとする者を私は決して許さない。――お前たちは運が悪い。お兄さまに手出しをしようとさえしなければ、少し痛い思いをするだけですんだものを……」

先ほど深雪が口にした”手出しをさせません”は、この言葉を対象としています。

これらすべてに”手出しをさせません”と宣言しているのです。

深雪はこの思いの丈を込めた言葉を話しながら、殺意を持って拳銃やナイフで襲いかかる敵たちを鎧袖一触で凍らせていきます。

また、ひとりの男は手榴弾で深雪を爆殺しようと試みますが、振りかぶって投げる直前に凍らされ、足元に落ちて数人の仲間を巻き込み自爆となりました。

――そしてニブルヘイムの完全開放。

ひときわ大きな魔方陣が床に浮かび、テロリストたち全員を捉え、圧倒的な冷気がその空間に展開され、そこにいる者、あるモノ、すべてを容赦なく凍てつかせました。

「祈るがいい。せめて命のあることを……」

もはやその姿は『魔女』と形容しても差し支えないものでした。

この後、司一を追う達也や、裏口から侵入した克人と武明たちのシーンが、この”優等生”では割愛されています。

そのことから、この後にどういう展開があったかを説明致します。それらは本篇アニメ(魔法科高校の劣等生 入学編第7話)で見ることができます。

一を追った達也は、探知系の魔法で居場所を突き止めます。

そこには一だけでなく、先ほどのように大勢のテロリストたちも銃を手にして待ち伏せしていました。

居場所へと侵入した達也は『分解』の魔法で、またしても銃器を分解し敵を無力化します。

すると一は自らも含み、大勢のテロリストたちを一斉にキャストジャミングを達也に使用します。

「どうだい魔法師、本物のキャストジャミングは?」

達也のなんちゃってキャストジャミングではなく、軍隊が使うアンティナイトを使用した本物となります。

ですが達也にはまったく効きません。

この場でキャストジャミングを行っているのは、ほとんどが非魔法師だと考えられます。

この中には一以外にも魔法師がいる可能性はあるのですが、結果を見れば『分解』の魔法を持つ達也の動きを止めるには弱すぎると言うことです。

「――パトロンは、ウクライナ・ベラルーシ再分離独立派。そのスポンサーは大亜連合か?」

ブランシュに大量に配備されているアンティナイトの調達方法から、達也はブランシュの背後組織を推理しましたが、唖然とした顔の一を見ると、どうやら図星のようでした。

そして一の配下のテロリストたちが、ひとり、またひとりと、足や肩、腕などの急所を外した達也の攻撃で無力化されました。

その事態から一はさらに逃亡を試み、背後にある鉄扉を開けようとするのですが、その扉が向こう側から刀に切り裂かれ、崩れます。

表れたのは桐原武明で、手には扉を斬った日本刀があります。これだけたやすく鉄扉を切り裂けることから、使われたのは武明の得意な魔法「高周波ブレード」に間違いありません。

そして狼狽えている一が、ブランシュ日本支部支部長であることを聞かされた武明は怒りのままに一の右腕を切断するのでした。

そして腕を失い大量出血をしている一が、このままでは死亡することから、十文字克人が魔法で止血したことで戦い終了となり、こうしてブランシュ日本支部は壊滅したのでした。

そして、”優等生”に戻ります。

場面は屋外となり、アジト襲撃から時間がだいぶ経過していました。

ブランシュがアジトとして使用していた工場跡地のそこかしこに現場検証のために訪れた大勢の警察官たちの姿が見えます。

そして深雪はエリカとレオの3人で、仲間たちを待っています。

「達也くんのこと、心配?」

エリカが深雪に話しかけます。

「え?」

深雪はどこか気もそぞろに応えます。

「あいつなら大丈夫だって」

レオが元気がないように見える深雪に気をつかって話します。

「……お兄さまのことなら心配ないわ。……そうではなくて……」

エリカとレオは、深雪の真意がわからずに戸惑い顔です。

(……どうしよう。……私は大勢の人を……)と、先ほどのニブルヘイムでテロリストたちを殺してしまったかもしれない、と今になり後悔してしまったようで顔には沈痛の表情を浮かべていました。

あそこまでする必要があったのか、もっと上手く無力化する手段があったのではないか、と悔恨の思いで心が乱されているように見えます。

テロリストたちを前にして”手出しをさせません”と宣言して戦ったときは、冷静でいるつもりでいたはずなのに、こうやってすべてが終わった後に振り返ると、はたしてあれは最善の行動だったのかと、自責の念に囚われるこの様子を見るに、すべて覚悟の上で容赦はしない兄の達也と比べると、深雪はやはりひとりの少女であって、戦う力は持っていても、心は荒事向きではないのがわかります。

そこへ達也と克人と武明が戻ってきました。

「お兄さま、ご無事でしたか?」

「ああ、俺は大丈夫だ」

達也の言葉に安心し、笑顔が戻った深雪ですが、すぐにまた沈痛な表情に戻ってしまいます。

そして、懺悔の言葉を口にします。

「あの、お兄さま、私、実は……」

ですが、達也はこのとき、なにに深雪が悩んでいるのかを完全に理解していました。

「大丈夫だよ。深雪」

そのとき深雪の目の前を、ブランシュの生存者を乗せたストレッチャーが何台も通過します。

生存者は深雪が凍らせたテロリストたちでした。

「お兄さま、まさかっ……?!」

「お前が気に病むようなことは、なにもない」

と、達也が微笑しながら応えます。

深雪は生存者たちを見て、一瞬で悟ってしまいました。彼らの命を救ったのは達也の魔法『再成』であることです。

【補足】

本篇アニメ(魔法科高校の劣等生 入学編第7話)で、腕を切り落とされた一と、配下であるテロリストたちをそのまま残して、克人、武明は出口に向かいます。

ですが達也は、その途中で振り返り、CADを操作します。

なぜ、この場でCADを使ったのか? そしてその後どうなったのか説明は一切されておりません。

そこで考えられるのは、達也はそのとき『再成』の魔法を使用して、一とテロリストたちの負傷を直したのではないかと言うことです。

達也は『敵』には容赦ないないダークな面を持っています。深雪と深雪の平穏を脅かす者がいれば、それが誰であっても許しません。

そのことで、九校戦で暗躍し、一高を優勝させないためにあらゆる妨害をしていた香港系国際犯罪シンジケートの「ノーヘッドドラゴン」ですが、あろうことか深雪のCADに細工をしようとしたことで、達也の怒りを買い、遠距離狙撃で皆殺しにされてしまいました(魔法科高校の優等生 第13話ゆずれぬ想い/魔法科高校の劣等生 九校戦第18話)。

そのことから推測すると、ブランシュは深雪個人には一度も手を出しておらず、被害に遭ったのは、判明しているだけですと、壬生紗耶香、光井ほのか、北山雫、明智エイミィくらいです。

深雪がいちど、学校近くの路地裏で、少女探偵団の3人を救うためにブランシュの構成員たちと戦いましたが、鎧袖一触で擦り傷ひとつも負っていません。

そのことから、ブランシュは深雪には手を出していないことで、武士の情けを受けられたと思われます。

そしてもうひとつ大事な理由があります。

それはブランシュのアジトで深雪が大勢のテロリストたちを無力化するために振動減速系魔法『ニブルヘイム』を使用してしまった件です。

深雪は達也に悪意が向けられるのを許しません(達也と似た者同士です)。その怒りから『ニブルヘイム』を行使したのですが、これがオーバーキルとなってしまい、明らかな”やり過ぎ”になってしまったことです。

深雪が当然に感じるのであろう、後悔や心痛を和らげるためには深雪は誰も殺していない状況を作り出す必要があり、深雪に倒されたテロリストたち全員の命を助け出したのですが、そうなると達也、克人、武明が負傷させたテロリストたちの命も助けないと釣り合いが取れません。

この釣り合いとは、

A:深雪が倒したテロリストたち → 助ける。

B:達也、克人、武明が倒したテロリスト → 助けない。

の、ことで、Aだけ助けた場合だと深雪が「お兄さまが、私が倒したテロリストたちだけを助けたのは、私に悔恨の思いを抱かせないため……。つまり、私はまたお兄さまに助けられてしまった。私はまた、お兄さまにいらぬ心配をさせてしまった……」と自己嫌悪で落ち込むのがわかりきっていたため、武士の情けでブランシュ全員の命だけは助けたと考えられます。

場面は夜。司波家。深雪は自室のベッドの上で、落ち込んでいました。

(あれは、私がニブルヘイムで凍らせた人たち……。お兄さま、お使いになったんだわ。あの魔法を……。――エイドスの履歴をさかのぼり、損傷を受ける前の状態に復元する魔法、……『再成』。でもその代償として負傷した者の味わった苦痛がすべて圧縮されて、お兄さまに……)

「……申し訳ありません。深雪はまたお兄さまに……」

この深雪の心の声から推測できるのは、深雪はブランシュとの戦いで、テロリストたちを即死にはしていなかったと思われます。

達也の魔法『再成』は、命さえあれば助けられる魔法なことから、達也が深雪が戦った場所に戻ったときは、まだテロリストたち全員の息があったことになります。

『再成』は死者には効果がないので、そのことは確実です。

そしてそこから考えられることとして、テロリストたちはニブルヘイムで、一瞬で凍り、肉体はコールドスリープ状態にあった、もしくは氷漬けとなった状態でも、呼吸や血液の循環など基礎的な新陳代謝は残されていたと推測できます。

また、凍るのではなく手榴弾での自爆もありましたが、爆発に巻き込まれたテロリストたちも四肢に大きな損傷があっても、首は繋がっていたことでなんとか生きていたと理解できます。

深雪の自室へ戻ります。

深雪は自己嫌悪と達也への申し訳ない気持ちでベッドの上で泣いていました。

「深雪。大丈夫か?」とドアをノックする達也が声をかけます。

「はい……」と、なんとか返事ができた深雪でした。

そして場所は司波家のリビングとなります。

ふたりでソファに並んで座り、コーヒーがテーブルにあります。

「お兄さま。少しこのままでいいでしょうか?」

深雪は達也の肩に頭を預けます。

「すみません、お兄さま。また甘えてしまって……。いつか私がお兄さまを守れる立場にならなければ……。でも、それまでは、少しだけ……。」

と、姿勢を変えて達也の胸に額を押しつけて甘える深雪でした。

翌朝。日課のトレーニングを終えた帰宅した達也は、玄関で振り袖エプロン姿の深雪に三つ指をつくあいさつで迎えられます。

「深雪、どうしたんだ、その格好は?」と達也が問うと、「今日は特別な日ですから」と着物姿の理由を話す深雪は満面の笑顔です。

この格好は”優等生”第4話「友達」で、深雪が着替えを迷っているときに来ていた着物です。

その特別な日は達也の16歳の誕生日でした。

達也を祝うパーティには、深雪以外に、レオ、エリカ、美月、ほのか、雫、エイミィが集まってくれました(補足:この時点では、まだ吉田幹比古とは仲良くなっていないので不参加。そして、本篇アニメではそれほど達也に接触がないエイミィが参加しているのが”優等生”らしいです)。

会場は説明がないので確かではないのですが、第一高校近くの喫茶店「アイネブリーゼ」を貸し切りで使用したのだと思われます。

そこで深雪の心の声がします。

「私はうれしいです。お兄さまがご友人に囲まれる姿を見ることができて……。あの人たちの反対を押し切って、第一高校に入学して本当によかった……」

深雪はこの第一高校に入学するまでに友人らしい友人はいなかったのですが、それは兄の達也も同様で、原作小説、本篇アニメ、そして”優等生”でも、友人とのエピソードがありません。

なので深雪がこういう感想を持ったのは、自分だけでなく達也までもが、この高校に入って幸せになれた、この毎日のすばらしさを感じたからこその”うれしさ”だと思われます。

そして深雪が自分のこの想いをしみじみと味わっていると、エリカが寄ってきて、壬生紗耶香と桐原武明が交際していることを教えてもらい、驚く場面があります。

この”優等生”では、結果報告的に、紗耶香と武明の恋はこの会話だけで終わりますが、本篇アニメの『魔法科高校の劣等生 入学編第7話』で詳しく描かれております。

パーティが終わっての帰路。

達也と並んで歩く深雪が突然に話しかけます。

「……お兄さま。深雪はどこまでもお兄さまについて行きますから。――例えお兄さまが音の速さで駆け抜けて行かれても、天空を突き抜け星々の高みに駆け登られても……。深雪はお兄さまのお側を離れません」

「どちらかと言えば、置いて行かれるのは俺の方だと思うんだが……。ただ今は天に昇るより、足元を固める方が大事だ。深雪と過ごす日常のために……。――お前のためなら、俺はなんだってやるさ。俺の望みはただひとつ、……深雪。お前に笑っていて欲しい」

そう言った達也は深雪に近づき、その頬に触れます。

「はい。……深雪はしあわせです。お兄さまの妹でいられて……」

(――お兄さまが望んでくださるなら、私は側でずっと笑っていよう。この平穏な日常こそが、私たちが思い描いていたものだから……)

夕陽が照らす道を深雪は達也と手をつないで歩いて行きました。

この「どこまでもお兄さまに……」は、魔法科シリーズの名シーンとなります。

詩のような言葉ですが、深雪のこの先の決して平坦ではない人生に対する決意が伝わりますし、達也が深雪を守り続けたい抱負も理解できる素敵なシーンです。

そしてもちろんこの場面は本篇アニメでも登場します。

『魔法科高校の劣等生 入学編第7話』で壬生紗耶香が退院し、深雪と達也が病院を去るシーンです。

いくつか表現が、この”優等生”とは異なりますが、基本は同じです。そして病院の敷地から出るときに、深雪と達也が手をつないで去るのも同じです。

ふたりとも今の日常をとても好ましく思っていて、決して不可能とはわかっているのですが、いつまでもこういう日常を送りたいと想う心は同じだろうな、と推察できる場面です。

エンディング曲が流れ、その後のCパートとなります。

そしてここから物語の雰囲気が一気に塗り変わります。

突然、女子のリーブル・エペー(魔法を使ったフェンシング競技で、魔法を使った剣道である剣術と似たような位置づけになると思われます)のシーンとなります。

そこで相手を圧倒して勝負を決めた少女が、師補十八家(しほじゅうはっけ)の名門である一色家の令嬢である一色愛梨(いっしき あいり)です。

(追記:師補十八家とは、魔法界の貴族家のような位置づけである十師族を補佐する18家のことで十師族に欠員が出たときに、推挙されて十師族になったり、逆に降格させられた十師族家が所属することになる名門家の集まりです。2097年の師族会議で十師族だった九島家が降格となり、師補十八家だった七宝家が十師族に推挙された経緯があります)

ここから急展開が始まることを物語るように、とある人物のモノローグから始まります。

その人物とは国立魔法科大学付属第三高校の九校戦代表選手である水尾佐保(みずお さほ)です。

佐保は愛梨のふたつ上の三年生で、幼い頃から愛梨をよく知る少女です。

「さすが愛梨。名門、一色家に名を連ねるエクレイル(稲妻)・アイリの名は伊達じゃない」

競技を終えた愛梨がマスクを外すと長い金髪がふわりとこぼれ、愛梨が美しくクールなイメージの美少女であることがわかります。

端正かつ引き締まった表情には、家の名誉と誇りを重んじる気高い女騎士の印象を受けます。

そして次は九校戦の正式種目であるバトル・ボードの風景となります。

そこにはボードの上で、真っ赤なウェットスーツを着た長髪を風になびかせる小柄な美少女が見事な滑りを見せて一着でゴールします。

「……い、一着、一年。四十九院沓子(つくしいん とうこ)」と、アナウンスが入ります。

沓子は周囲の生徒達に手を振り、愛想を振りまいていることで明るくよく笑う屈託のない様子は細かいことなど気にしそうもない少女だと伝わります。

また、自分の一人称を年老いた男性のように「儂(わし)」と呼ぶ興味深い選手です。

そして最後にスピード・シューティング競技会場となります。スピード・シューティングとは魔法を使ったクレー射撃のような競技です。

ここでもひとりの少女が注目されていました。その少女は一年生の一七夜栞(かのう しおり)です。

肩までの短い髪、すらりとした体躯の美少女で、高い知性を感じさせる少しキツめな表情を持っています。

その栞は一度の射撃で空中にある計6個のクレーを破壊しました。それは一発でクレーをひとつ破壊し、その飛び散る破片で残りの5個を砕くと言う離れ業です。

「ウソでしょ。クレーだけじゃなく、破片の位置まで把握しているの……?」

「空間把握能力が桁違い……」

と、見ていた他の女生徒たちを畏怖させるほどの圧倒的な存在感を示しました。

これらのシーンはおそらく第三高校内での九校戦代表選手を決める予選だったと思われます。

そして周囲の驚きようから、本人たちは全員一年生で、三年生も交じった試合だったにも関わらず、勝利を収めたようで、相当の実力者であることが伝わります。

そしてこの3人ですが、別々の競技を行っていましたが、3人でシャワーを浴びていることから、友人関係であるのがわかります。

シャワールームで隣り合ったブースを利用した3人が会話を始めます。

愛梨「私にとって九校戦出場は当然のことなのに、あんなに大騒ぎするなんて、まったく軽薄で嫌になるわ」

沓子「それだけお主が優れた存在と言うことじゃ。結構結構」

沓子は二人称も『お主』、語尾は『じゃ』と徹頭徹尾、年老いた男性口調だとわかります。

栞「愛梨に勝てる生徒なんて、この第三高校には存在しない。……きっと他の魔法科高校にも……」

愛梨「一色家の者として当然でしょ」

沓子「儂らに加えて、男子は一条のクリムゾン・プリンスにカーディナル・ジョージもおる」

栞「負ける要素なんて見当たらないわ」

愛梨「一高を倒し、今年の九校戦に優勝するのは私たち第三高校よ」

と、実績に裏付けられた彼女たちの自信に満ちた発言となりました。

そして場面は国立魔法科大学付属第三高校の正門となります。

白亜の校舎を特徴とする第一高校と異なり、第三高校はレンガ造りの校舎だとわかります。

ここには、彼女ら3人だけでなく、沓子の言葉にあったように、クリムゾン・プリンスの異名を持つ十師族一条家の嫡男『一条将輝(いちじょう まさき)』と、カーディナル・ジョージと呼ばれる魔法学の研究者でもある『吉祥寺真紅郎(きちじょうじ しんくろう)』の強力な魔法師もいます。

九校戦で連覇を続ける第一高校に唯一対抗できる第三高校の刺客たちは出そろいました。

魔法科高校の優等生第5話「手出しはさせません」の見どころ


魔法科高校の優等生 第5話「手出しはさせません」の個人的な見どころは2つあります。

雫さん、校則違反です

ブランシュの下部組織である『有志同盟』と第一高校の生徒会長である七草真由美との公開討論会が終わった頃です。

このときブランシュは銃器、携帯式ミサイル、手榴弾などの兵器で武装した大勢のテロリストたちを第一高校へ侵攻させて来ました。

ロケットランチャーの命中で煙を上げる校舎、銃を乱射しながら突撃してくるテロリストたち、と、平穏だったはずの学校が一瞬で戦場となってしまったのです。

そしてほのかと雫のふたりは講堂前にいました。

ですが爆発があちこちで起こり、ふたりは爆煙に包まれてしまい周囲の様子がわかりません。

すると、煙の合間からテロリストたちが武器を手にして、ほのかと雫に迫ってきたのです。

ですが、攻撃される寸前に、エイミィが登場し、狩猟部から借りてきたと言う小銃型のCADでテロリストたちをあらかた撃退したのでした。

一息ついたほのか、雫、エイミィたちですが、そこへ手榴弾が転がって来ました。煙で視界が効かないこの状態を利用し、3人を攻撃できる最も有効な手段でした。

とっさのことで避難できない状況でしたが、雫が物理防御のバリア魔法を使うことでギリギリ間に合ったのです。

……ですが、ここで”なぜ”、雫は魔法を発動することができたのかの疑問があります。

ほのかは、ここが校内であり、しかも下校時刻にはなっていないことからCADを持っていないのは当然ですし、エイミィも装着していないからこそ、狩猟部からCADを借用(おそらく無断で……)してしまっています。

そのことを考慮すると、雫も身につけていないと考えるのが当然なので、もしや雫も深雪同様に強力な事象干渉力を持っているのでは……? と、推測できるのですが、真相はどうやら違うようでした。

このバリアのシーンをよく見ますと、雫の右手人差し指が左手の手首辺りに触れています。これは明らかに”ナニカ”を操作している仕草です。
……そうです。そうなのです。

つまり、雫はこっそりとCADを装備していたようです。

これは、言ってしまえば明確な校則違反となります。

雫は普段から密かに装着している常習犯なのか、それとも今日に限って虫の知らせがあって装着していたのかは”優等生”アニメでは説明がされていないので、判断ができません。

ですが、それはこの場に限って言えば大正解の違反でした。

すばらしい演出です

それはある1カットです。

そのカットは物語の進行の上で、絶対に必要ではなく、ぶっちゃけ言えばなくてもなんの問題がないただの1カットです。

ですが、見ている者に、それが起きた事態をしっかりと悟らせる見事な効果をもたらしています。

その1カットとは、『花壇の靴跡』です。

これは演出のひとつに過ぎないのですが、とても象徴的なカットとなっています。

花々は心を満たすモノ。そのたくさんの色に人は足を止め、屈み、愛でるのです。

そこには日々の平穏を感謝する気持ちと、平穏だからこそ、美しさ楽しむことのできる喜びがあります。

しかし、咲いた花は必ず散るものから、平穏と言う日々は、いつでもあり続けるものではなく、なにかが起こるとたやすく失われてしまうことの暗示でもあります。

映像における、こういう手法は芸術作品などで、そのものを見せずに影響を受けた他のモノを見せることで視聴者に暗に伝える高等技法なのですが、この”優等生”でも使用されていました。

場面はブランシュが攻めてきた最中で、爆発のあった実技棟方面へ向かう達也と美雪がほのか、雫、エイミィたちがテロリストたちを無力化していたところです。

この時点では、ほのかたち3人は、襲撃者の目的も正体もわからず、正当防衛として倒しましたが、そこには勝利の勝ち鬨もなく、ただ戸惑いや不安、そして謎が3人にありました。

そこに達也と美雪が到着したのですが、八つ当たりと判っていてもこの事態の事情をおそらく知っている達也に強く問いただすのです。

そして達也が簡潔ながら、十分な情報を提供します。

「そいつらは恐らく、反魔法国際政治結社ブランシュ。『有志同盟』もその仲間。そして俺を襲ったヤツも……」

ほのか、雫、エイミィは、その想像すらできなかった相手の正体と、校内に遙か前から『有志同盟』と言う下部組織を潜ませていた狡猾さ、そして一般では手に入れられない小銃やサブマシンガン、携帯式ミサイル、手榴弾などの軍用兵器を多数配備し、それを躊躇なく使用してくる怖さを理解したのです。

そしてほのかが、

「……じゃあ、今起きていることはぜんぶ……」

と口にすると、辺りを見回します。すると、校舎内部で起こった火災の黒煙が流れでる廊下の窓、ミサイルの爆発で大穴が穿たれた外壁。

……そして無残にも土足で踏みにじられた花壇の花々と、そこの土に残るテロリストが履いているコンバットブーツの靴跡……。と、描かれています。

『花壇の靴跡』は、まさに土足で踏み込まれ、踏みにじられた、第一高校の平穏な日常そのものを現していました。

雫「自分たちの意見を押し通すために……、こんなこと」

エイミィ「意味わかんないっ。こんな形で主張しても、なにも変わらないよっ。こんなの絶対間違ってるっ」

雫とエイミィの顔には明らかに怒りがあります。

そして、ほのかは、今にも泣きそうな顔でした。

「ちゃんと伝わるのに、成績や才能が計れない大切なモノ……。私たちは同じ一高の生徒だもん。なのに……。どうして……」

自分たちの思想だけが正義であり、それに異議を唱える者たちは実力で排除することも、また正義であると考えているのがテロリストなのですが、彼らのやり方は、目の前にいるたった3人の少女たちにすら賛同してもらえないやり方でした。

ですが、テロリストたちがそれに気づくことは、けっきょく、これからもありませんでした。

テロリストが残せたのは、野蛮な行為の傷跡だけです。そして、その許可もなく他人の心に土足でズカズカと入り込んだ粗暴な行為の象徴として登場したのが『花壇の靴跡』だったのだと推測します。

魔法科高校の優等生第5話「手出しはさせません」のネタバレ感想


魔法科高校の優等生 第5話「手出しはさせません」の重要なネタバレを2つ解説します。

名もなき魔法は秘密の魔法?

深雪が、顔や手、服に付着した汚れを落とす魔法を使う場面が魔法科シリーズになんども登場します。

今回の第5話「手出しはさせません」でも、ブランシュが校内テロ事件を起こしている最中に、達也ととも爆発現場に向かう途中、幾人ものテロリストたちを無力化していた、ほのか、雫、エイミィたちの顔や制服の汚れを清浄するに使用しています。

この魔法で汚れがない顔、手、制服になるのですが、3人とも、かなり驚いています(実は、ほのかだけは2回目です)。

……実はこの魔法には名前がありません。

原作小説でも、本篇アニメでも、この”優等生”でも明かされていないのです。

ここ以外では、第2話「ご一緒してもいいですか?」の放課後の校門での森崎たちの嫌がらせのシーンで、一科生の同級生男子に突き飛ばされて汚れてしまった、ほのかを清浄したときに使っています。

この魔法を使用し、白い制服に付いてしまった汚れを完璧に落とすと、ほのかが「……これっ!!」と驚きの声を上げるのですが、深雪は「内緒ね」と口の前に指を立てました。

この”内緒”の意味ですが、二通り考えられます。

①:深雪が一部の人たちを除き、いちおう秘密にしているため。

②:魔法の不正使用疑惑の件で、生徒会長の七草真由美と風紀委員長の渡辺摩利が、この場にいたため、魔法行使を隠したいため。

①だった場合は、この魔法が実はかなりの高等魔法なので、軽々しく大勢の人に見せるべきではないことが理由となります。

この名無しの魔法ですが、収束系、吸収系、発散系の複合魔法のようです。

汚れ除去の流れは、汚れが存在しない状態を作り、汚れを分離し、分離した汚れを放出、となります。確かにムズカシそうな魔法です。

②だった場合は、時と場所さえわきまえて騒ぎにならなければ、使用に問題ない魔法と思えるのですが、深雪以外に使用している魔法師が登場せず、また、少女探偵団の3人に使用したときに、3人がかなり驚いているので、有名な魔法ではないのかもしれません。

使われた側が驚くことから、存在がほとんど知られていない魔法となります。

①の場合と②の場合では、①は『清浄化の魔法は、高等魔法なので使える魔法師がほとんどいない』とも言えます。

そして②は『この魔法の存在は知られていない』と言えますので、『深雪以外に使える者がいない、そして使うとその効果に驚かれるけど、ぜんぜん 知られていない魔法』として成り立つのです。

また、補足資料として他のシーンでの登場もご紹介します。

この深雪の清浄魔法が初めて登場したのは本篇アニメの「入学編第1話」で、九重寺の九重八雲との体術稽古で顔や服に土が付いてしまった達也と膝を突いたことで汚れた自分の制服に使いました。

その際に深雪は自分のCADにショートカットを登録していたので、そうなると使用頻度が高い魔法と言えると思います。

と、なりますと、①と②の材料から推測できた『深雪以外に使える者がいない、そして使うとその効果に驚かれるけど、ぜんぜん知られていない魔法』に、この九重寺でのショートカットがあることから使用頻度が高い件を加味しても、『深雪以外に使える者がいない、そして使うとその効果に驚かれるけど、ぜんぜん知られていない、深雪自身では使用頻度の高い魔法』となりますが、いちおう理屈は通じるので、それほど不自然なところはありません。

ですが、ここで①とも②ともに該当しない③が浮上してきます。

それは本篇アニメ「横浜騒乱編第24話」での使用例です。

毎年秋に行われる9校の魔法科高校による全国高校生魔法学論文コンペティションの会場でです。

この催しの最中に、大亜連合の武装したテロリストたちが、会場となった建物のホールに乱入するのですが、このテロリストのひとりに対して達也が素手で相手の腕を切り落としたときに、多量の返り血を浴びてしまいます。

そして、側にいた深雪が、涼しい顔でこの清浄化の魔法を使います。

「お兄さま、血糊を落とします。少しそのままで」

と、言い、CADのキーを叩いて魔法を発動させて、達也に付いた血液を落とすのですが、そこは各校の生徒たちが大勢集まったホールなのです。

そのことで、この魔法と魔法を行使した深雪をかなりの数に目撃されたことになるのですが、それに対して、特段なにかの騒ぎが起きたとか、その後に生じたエピソードがある、と言うこともありませんでした。

すると『深雪以外に使える者がいない、そして使うとその効果に驚かれるけど、ぜんぜん知られていない、深雪自身では使用頻度の高い魔法』とされたはずが、清浄化する魔法の効果を見ても驚愕しているような人物はいません。むしろ分解魔法で敵の銃弾を粉にしたり、相手の腕を素手で切り落としたりする達也の方が驚かれています。

そうなると、この魔法は『秘密でもなんでもないけど、深雪以外に使える者がいない、そして使うとその効果に驚かれるけど、ぜんぜん知られていない、深雪自身では使用頻度の高い魔法』となってしまい、訳がわからなくなってしまうのです。

ですが、本篇アニメと”優等生”では、それほど多くはありませんが、設定などが微妙に異なっていることが、いくつかありましたので、この清浄化の魔法も本篇アニメと”優等生”では、設定が異なっているのかも知れません。

そこで具体的に違う点を洗い出してみます。

”優等生”

A:第2話「ご一緒してもいいですか?」の放課後の校門で起きた森崎たちとのトラブルで、突き飛ばされて転倒したときに汚されたほのかの制服の汚れを落とすために使用。ほのかが「……これっ!!」と、その魔法に驚きの声を上げる。

B:第5話「手出しはさせません」で校内でテロ行為を行うブランシュの構成員たちを、ほのか、雫、エイミィの3人で倒した後に、やって来た深雪が3人の顔、手、制服の汚れを落とす。3人ともに、この魔法に驚きの声を上げた。

本篇アニメ

A:「入学編第1話」で、八雲との体術稽古で顔や服に土が付いてしまった達也と膝を突いたことで汚れた自分の制服に使用。自分のCADにショートカットを登録していた。

B:「横浜騒乱編第24話」全国高校生魔法学論文コンペティションの会場にて。

テロリストの腕を切り落としたときに、多量の返り血を浴びた達也から血糊を落とすために使用。会場には大勢の人たちがいた。

判明したのは、本篇アニメと”優等生”との違いは『驚き』があるかないかとなります。

そこで考えられることは、

”優等生”では、この魔法は『存在を知られていない、もしくは知られているが使える魔法師がいない』ことになります。

本篇アニメでは、この魔法は『深雪がよく使う魔法であり、使える魔法師は多くはないが珍しいと言うほどではない』

と、言えるのではないかと推察します。

もはや宿命と言えるのでは…

魔法科シリーズには、森崎駿と言う少年が登場します。

森崎は、二科生を見下す一科生の代表選手として、悪役の立ち位置で、二科生の達也と同じ風紀委員です。

その森崎ですが、この”優等生”では本篇アニメではなかった”特殊な属性”が付けられています。

それは同級生の美少女に自分のことをちゃんと憶えてもらえていないと言う、”美少女から見て影が薄い属性”となります。

そしてその美少女とは光井ほのかとなります。

森崎はほのかと同じクラス1-Aです。そして森崎は決して目立たぬキャラではなく、むしろいらつくほどに目立つ少年なのですが、ほのかにちゃんと憶えてもらえていません。

その原因は、ほのかが森崎を好ましく思っていないからとなります。

この『魔法科高校の優等生 第5話(手出しはさせません)』では、テロリストたちを倒した、ほのか、雫、エイミィの3人が避難のために講堂前まで来たときです。

そこには、講堂から避難する大勢の生徒たちがいて、そしてそこに森崎がいました。

「押さないで。風紀委員の指示に従って」と、生徒たちをキビキビ誘導していたのです。

そしてこの場に到着した、ほのかがぽつりとつぶやくのです。

「森崎くん、風紀委員だったんだ」

これは強烈です。

森崎は承認欲求が人一倍強い人物なので、自分が風紀委員に選ばれたときに教室で取り巻きたちに大声で、自慢していましたからです『魔法科高校の優等生 第3話(少女探偵団、始動よ!)』。

そしてその後も教室で、風紀委員としての自慢をあることないこと口にしていたこと可能性もとても高いですが、ほのかはまったく知らなかったのです。

この件以外でも、『魔法科高校の優等生 第2話(ご一緒してもいいですか?)』に、やはり、ほのかが森崎にちゃんと憶えてもらえていないことがわかるシーンがあります。

それは入学初日の放課後で校門付近で行われたトラブルです。

これは達也と達也の同級生であるレオ、エリカ、美月たちといっしょに帰りたい深雪に対して、森崎とその取り巻きが起こした事件でした。

深雪は一科生なのだから、一科生といっしょにいるべきだと言う言いがかりです。そこへ、ほのかと雫が通りがかるのですが、森崎たちのあんまりな差別に憤慨してしまいます。

そこで出た脳内セリフが「とくにアイツ。……なんだっけ? モリヤマ? 空気読めなさすぎっ!」でした。

このトラブルのときは苗字を間違い、その後のテロ事件のときは風紀委員だったことを憶えていない。

自分にとって好ましくない森崎ですが、同じクラスですし、風紀委員と言えば達也が所属していることから、達也の口か、それとも深雪の口から、一度は話があったと思えるのですが……。

好きな人には、せいいっぱい尽くす性格のほのかですが、そうじゃない人には無関心なのがよくわかります。

まとめ

ここまで魔法科高校の優等生 第5話「手出しはさせません」のネタバレやあらすじ、感想や見どころについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

最後にここまでの内容をまとめておきます。

・第5話タイトル「手出しはさせません」は、テロ組織ブランシュを達也と深雪が殲滅するべく、アジトに乗り込んだとき、リーダーを追う達也の行く手を阻もうとしたテロリストたちを排除するときに宣言した言葉です。

公開討論会で弁論で、二科生の多数を味方に引き入れる行為も、紗耶香を使って達也を同志に仕立てる作戦も失敗したブランシュが、とうとう実力行使を打って出ました。

銃やナイフ、ミサイルなどで武装した構成員たちを魔法科第一高校の校内に乱入させ、建物を壊し、生徒たちを殺害も厭わない完全なるテロ行為でした。

校舎外に出ていた、ほのか、雫、エイミィの3人は、なにが起きているのかわからずに、テロリストたちと戦うことになってしまいました。

そこへ深雪と達也が通りがかります。

そこで、ほのかたち3人は、「テロリストたちは反魔法国際政治結社ブランシュ、有志同盟はその仲間、そして達也を襲った者も同じ」と聞かされ衝撃を受けます。

その後、ほのかたち3人は他の生徒と同様に避難すべく講堂前に集まるのですが、そこでテロリストたちと逃亡を企てる剣道部主将で、実はブランシュ所属のテロリストでもある司甲を発見します。

そして3人は、テロリストたちを倒しますが、甲には逃げられそうになりましたが、予め連絡を伝えていた風紀委員の辰巳と沢木が捕獲に成功し、ほのかたち3人の『少女探偵団』はその役目を果たしました。

それから達也と美雪は、部活連会頭の十文字克人と剣術部2年の桐原武明、そしてレオとエリカの6人でブランシュのアジトへ向かい、殲滅を始めることになりました。

6人は3つのチームに分かれ、深雪は達也と正面から攻撃することになりました。

そしてブランシュの支部長である司一と多数の武装したテロリストたちと対峙することになるのですが、達也の『分解』の魔法によって銃はすべてバラバラになりました。そして逃げる一を追うために達也が先に進もうとするのですが、残りのテロリストたちが妨害します。そのため深雪が『ニブルヘイム』を発動させ、全員を氷漬けにするのでした。

「そこから先はお兄さまの戦いです。手出しはさせません」と、今回のサブタイトルが口にされるのでした。

そしてテロ事件が終わり、達也が16歳の誕生日を迎え、友人たちがパーティを開いてくれました。

達也が友人たちに囲まれて祝福されていることや、自分も今の高校生活が楽しいことを深く噛みしめるのでした。

そして場面は急展開し、場所は国立魔法科大学付属第三高校となります。

そこで、一色愛梨、四十九院沓子、一七夜栞の3人の美少女三校生が登場します。この3人は圧倒的な成績で三校の九校戦代表に選ばれます。

そして九校戦で連覇を続ける第一高校に唯一対抗できる第三高校として、一高を倒して優勝することを誓うのでした。

 

・第5話「手出しはさせません」の見どころは「雫さん、校則違反です」と「すばらしい演出です」です。

①雫さん、校則違反です。

2095年4月23日。テロ組織ブランシュは、武装したテロリストたちを第一高校に侵入させました。

校内では銃が乱射され、ミサイルが校舎を破壊して、大混乱となります。

そんな中、ほのかと雫とエイミィの3人は爆煙に包まれて視界が悪い状態で立ち往生させられているときに手榴弾による攻撃を受けます。

至近距離からの爆発だったのですが、雫がとっさに展開したバリア魔法で難を逃れました。

ですが、下校前でCADを学校に預けているにも関わらず、なぜ雫が魔法を使えたのか……。

それを検証してみました。

②すばらしい演出です。

尺の問題から、どうしても本篇アニメ『魔法科高校の劣等生』よりもカットとダイジェスト版が多くなってしまう『魔法科高校の優等生』ですが、なかには本篇アニメに存在しなかった見事な演出がありました。

2095年4月23日。反魔法国際政治結社ブランシュが銃器やミサイル、手榴弾などで武装させた大勢のテロリストを突入させました。

テロリストたちを戦闘不能にしたほのか、雫、エイミィの3人ですが、達也によってテロ組織はブランシュであること、『有志同盟』も達也を襲ったヤツもその仲間だと教えられた、ほのかが、唖然として周囲を見回したときに、テロリストが残した足跡がありました。

それは花壇に土足で入り、花々を踏みつけて残ったコンバットブーツの靴跡でした。

この花壇の絵に込められた意味を推察してみました。

 

・魔法科高校の優等生第5話「手出しはさせません」のネタバレ感想

<名もなき魔法は秘密の魔法?>

深雪がときどき使う、顔や手、服についた汚れを落とす魔法。

”優等生”でも今回の第5話、そして第2話にも登場します。そしてこの魔法は本篇アニメの入学編第1話と横浜騒乱編第24話にも登場します。

同じこの魔法ですが、”優等生”と本篇アニメでは、設定が異なると思えるエピソードを交え、それぞれを考察してみました。

 

<もはや宿命と言えるのでは…>

ほのか、雫、深雪が所属する1-Aで、悪目立ちしている少年が森崎駿です。それは、森崎がとても狭量で承認欲求が強いからです。

二科生を常に見下し、対等の立場として認めないことと、自分がいかに優れているかを日々、吹聴しているからです。

そのようなことから深雪や雫は相手にせず関わらないようにして過ごしています。そしてほのかなのですが、基本的に深雪や雫と同じ態度なのですが、ふたり以上に嫌悪している様子が感じられ、そのことからか森崎に関心がなく、実は彼のことをちゃんと憶えていないことが判明します。

もはやこれは、ほのかの芸風ではないかとも思われるポンコツ美少女ぶりを紹介いたします。

拙文を最後までお読みくださり、誠にありがとうございました。